世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)日本語学科設立から15周年を迎えて

ラオス国立大学
田邉 知成

筆者の赴任先であるラオス国立大学にラオス初の日本語学科が設置されてから早くも15年の月日が経ちました。この節目を迎えたことをトピックに、今回のレポートでは「日本語学科15周年記念イベント」と「ラオス人教員の入れ替わり」についてご紹介したいと思います。

日本語学科15周年記念イベント

2018年は日本語学科設置から15周年を迎えるということで、ラオス人教員の有志が集まって準備を進め、記念パーティーが開催されました。当日は現役の学生と教員、昔の先生や卒業生合わせて約180名が集い、昼から夜まで語り明かしました。オープニングでは1期生から順に自己紹介がありましたが、勤務先の紹介を聞くと日系企業や大学、省庁、NGOなど様々な方面で活躍しているようでした。国際交流基金からの派遣も設置当初から続いており、同じく15年を迎えました。卒業生からは「私のときは日本人の〇〇先生と〇〇先生にお世話になりました」という話もあり、改めて歴代の専門家たちのサポートの中でこの日を迎えることができたことを実感しました。日本語学科の家族として里帰りした卒業生は皆かつてを思い出し、また、現役の学生は卒業生の活躍を目の前にして大いに刺激を受けたのではないでしょうか。

学科設立15周年パーティーの集合写真
学科設立15周年パーティーにて。
パーティーの最初に全員で集合写真を撮影した。

ベテラン教員の退官、そして、新しい教員の仲間入り

2018年、日本語学科では設立当初から学科を支えてきた副学科長が退官され、新しく2名の先生が仲間入りするという出会いと別れの一年となりました。

これまで、国立大学の日本語学科はみんなの父親的存在の学科長と母親的存在の副学科長が支える一つの家族のようでした。家族からお母さんがいなくなってしまうのは寂しいことですが、新しい教員たちと力を合わせてまた新たな風を吹かせることができればと思っています。新しい2名の教員はどちらも日本語学科の卒業生で一年間の訪日留学を経験しています。その経験を武器に今後の活躍が期待されています。

新人教員2名は、ともに日本語を教えた経験はないため、現在筆者と、この4月まで在籍していた指導助手で授業を見学したり、研修をおこなったりしているところです。これから1,2年生を中心に授業を担当していくため、まずは「初級授業の流れ」をつかむことを中心に勉強会をおこなっています。両名とも現在はボランティアの非常勤という立場なので、なかなか同じ時間に集まることができず、研修はまだ数回しか行えていませんが、今後もあせらずゆっくりサポートを続けていけたらと思います。

『みんなの日本語』を使用して実践練習を行っている写真
教師研修にて。
初級授業の流れについて学び、実際に『みんなの日本語』を使用して実践練習を行っている様子。

これからの日本語学科

日本語学科は上述のラオス人教員の入れ替わりだけでなく、国際交流基金の派遣メンバーもこれまでの2名派遣(上級専門家・指導助手)から1名派遣(上級専門家)となります。少しずつ現地の先生たちで日本語学科を運営できるよう、今後も自立化のためのサポートをしていきたいと思います。

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