世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ミャンマーの日本語教育の新たな展開

ヤンゴン外国語大学
佐藤 直樹・國頭 あさひ

教師育成プログラムの開講

日本語学習者の増加や日本語学習熱の高まりを受けて、ミャンマーでも新しい教師育成事業がスタートしました。このプログラムによって、ミャンマー人の日本語の先生を集中的に育成することが期待されています。1期目となる今年は、ヤンゴン外国語大学の4年生と、民間日本語学校の現役教師または教師希望者を対象に開講しました。

教師育成プログラムのペアワークの様子
教師育成プログラムのペアワークの様子

このコースでは受講生の横の連携を意識しています。知識を与える暗記式の日本語教育から脱却するためにもグループワークやペアワークを多く取り入れ、コミュニケーションを重視した教育を実体験できるように工夫しています。はじめは肩に力が入っていた受講生たちも、次第に打ち解け合い、お互いの教育現場の相談相手のような関係性がつくられてきました。プログラムを通して、ミャンマーの教室で起きる問題をミャンマー人の教師が協力しあって議論し解決する道筋をつくれるよう、ヤンゴン外国語大学の担当講師とともに支援しています。

第10回ミャンマー日本語教師セミナー開催

このセミナーは毎年2回(春・秋)実施しており、国際交流基金(以下、JF)の日本語専門家(以下、専門家)のみならずミャンマー人日本語教師の発表も行っています。2019年春に開催したセミナーでは、JFの日本語教師訪日研修に参加したミャンマー人の先生に発表をお願いしました。浦和にある日本語国際センターで学んできた新しい語彙の教え方「語彙マッチングゲーム」をみんなで体験する活動を通し、聞くだけ、見るだけのセミナーではなく、一緒に考え一緒に体験できるセミナーとなりました。今後もミャンマー人日本語教師と一緒に作り上げるセミナーを展開していければと思っています。

日本語教師セミナー参加者の写真
日本語教師セミナー参加者(ヤンゴン)

日本語パートナーズの活躍

2014年に“日本語パートナーズ(NP)”派遣事業が開始され、ミャンマーへは2015年からNPが派遣されるようになりました。2018年5月から2019年3月まではミャンマーの第4期NPが、ヤンゴン外国語大学へ3名、マンダレー外国語大学へ2名派遣されました。

このNP事業により大きく変わったことは学生たちが直に日本人と触れ合えるようになったこと。これまでは「教科書の中に書いてあること」という知識だったのが、「日本人に教えてもらったこと」に変わったとある学生が言っていました。

派遣されるNPも20代から60代と年齢も経験も異なるため学生たちは多くのことを学ぶことができているようです。そして、それは一緒に日本語を教えるミャンマー人の日本語の先生たちも同じです。ビジネス日本語の教え方についての相談は社会経験の長いNPに、若者文化や若者言葉については若いNPに相談ができるため先生方も今まで以上に自信を持って教えることができると言います。

また、この大学では日本の年中行事や食べ物についてNPによる文化紹介も多く行われています。日本語の授業の中だけでなく、様々な形で日本を紹介してくれるNP活動は日本語学習者のモチベーションをぐんぐん上げてくれています。

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