世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 中等機関のモデル校を目指して!

国際交流基金バンコク日本文化センター
(東北部中等教育機関)
武井 康次郎

スラナリーウィッタヤー校の写真
スラナリーウィッタヤー校

 タイ東北部に赴任し、3年目となりました。今年度からは、配属機関がウドンターニー県にあるウドンピッタヤヌクーン校から、ナコンラチャシーマ県にあるスラナリーウィッタヤー校(以下、スラナリー校)に変わりました。

 ナコンラチャシーマ県はタイ東北部の入り口にあります。人口はバンコク都に次ぐ2番目の県です。近年は、日系企業の工場が数多く進出しており、今後さらに増えることが予想されています。そのナコンラチャシーマ県の中心部にあり、同県の中心となる学校がスラナリー校です。スラナリー校は県内有数の女子高で、日本語科の学生の80%以上が、大学の日本語科へ進学します。

 私は2年間、タイ東北地方のあらゆる学校を訪問してきました。そこで、様々な支援をしてきたつもりなのですが、私がしている支援は本当に役に立っているのだろうかということを日々考えます。私が良いと思って行うことと、タイ人の先生が良いと思うこととは違うのではないかということです。タイ人の先生には同じタイ人からアドバイスしたほうが良いこともあるのではないかと考えるときもあります。また、私の支援はその場だけのもので、将来的に役に立つものではないのかもしれないと思いました。

 そこで、支援する際に、同じタイ中等教育機関の学校で、実績を残している学校のやり方をモデルとして提示すれば、支援を受ける学校や教師も目に見える目標になるのではと考えました。そのモデル校として考えたのが、スラナリー校です。

朝礼の写真
朝礼

 まず、私がしようと思っているのは、スラナリー校がやってきたことを出していくことです。タイの学校は学校同士の横のつながりがとても弱く、あまり交流がありません。数年前から、タイ教育相が日本語センター校構想を打ち出し、各地域に日本語の中心校(日本語センター校)を決め、そこを中心に、周りの学校が協力をし合い、日本語に関する様々な活動を行っています。しかし、ここでは教育相から指示された活動を行うだけで、授業に関する交流は、ほとんどありません。また、タイ人の先生は日々の授業やその他の仕事が忙しく、他校を訪問する時間は、あまりないようです。しかし、私が訪問することで、学校同士の情報交換が可能になります。訪問した際に、モデル校での例などを伝え、少しでも役に立てればと考えています。

 今年度もコンケン大学に派遣されている国際交流基金の上級専門家と協力し、タイ東北部の中等教育機関で働いている日本語教師や、コンケン大学教育学部の教育実習生のためのセミナーを行います。さらに、コンケン大学の基金上級専門家、タイ北部中等教育機関派遣の基金専門家と協力して、ティームティーチング事例を集めることになっています。私の配属機関であるスラナリー校も事例を提供することになっています。これが、モデル校としての第一歩になることを期待しています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 バンコク日本文化センター(東北部中等教育機関)
Japan Foundation, Bangkok
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
スラナリーウィッタヤー校は国立の6年制女子中等学校である。1997年に選択科目として開講、現在は専門科目として開講されている。専門家は日本語クラスをタイ人教師と協力して運営している。それ以外の業務として(1)タイ東北部の日本語教育実施中等教育機関への学校訪問および情報収集、(2)同地域のタイ人日本語教員に対する研修、(3)同地域のネットワーク構築などがある。
所在地 248 Mittraphap Rd.,A.Muang.,Nakhon Ratchasima 30000
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
外国語部
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