世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)研修でつながれ! 日本語教師の輪

国際交流基金バンコク日本文化センター
早川直子 大田祥江 関山聡之

教師研修でつながった!日本人×タイ人、大学×日本語学校…広がる輪!!

タイの日本語教育といえば、ここ数年の教育省の手厚いサポートによる中等教育の大躍進があります。ここ国際交流基金バンコク日本文化センターでも、日本語ブラッシュアップ(NBU)、教授法ブラッシュアップ(KBU)らの教師研修に始まり、日本語学習教材『あきこと友だち』や『こはる』シリーズの開発、日本語キャンプなど中等教育への支援が主要な業務となっています。

そのような中、JF日本語教育スタンダード準拠教材『まるごと 日本のことばと文化』(以下、『まるごと』)のタイ語版が中級1まで発刊されたことにより、そこかしこで『まるごと』をどのように使ったらいいのかわからないという声を聞くようになりました。そこで、せっかくなら中身も教え方も一度に知ってもらおうという欲張りなコース「『まるごと』を知るコース」を開講しました。

コースでは『まるごと』初心者である教師同士の学び合いを大事にするため、コースの目的を「『まるごと』の教え方を知りたい教師が、他の参加者との協学を通して、JF日本語教育スタンダード準拠教材のコンセプトを理解し、教え方の基礎を身につける」としました。コース前半の内容は理論編としてJF日本語教育スタンダードや『まるごと』の紹介を、後半は実践編としてグループで1つの授業を作る「授業体験」をしました。

「『まるごと』を知るコース」に参加した教師たちの写真
「『まるごと』を知るコース」に参加してくれた教師たち

今回のコースに集まったのは、大学や日本語学校で教えている15人の熱心な教師たちで、3か月はあっという間に過ぎていきました。普段、他の教師の授業見学をしたり、自分の授業にコメントをもらう機会がないという教師たちは、他の教師からのコメントを好意的に受けとめ、これからの自分の授業を磨いていくために、一人ずつ丁寧にコースのふりかえりをしました。

このコースを実施したことで、大学間、および、大学と日本語学校の間で交流が生まれ、より広域な教育段階の支援の一助を担えたのは嬉しいことでした。

”日本語パートナーズ”が全国に広げる先生たちの輪!

アジアの中学・高校にティーチングアシスタントとして派遣され、現地の先生と共に中等教育機関で日本語や日本文化を教えている”日本語パートナーズ(以下、NP)”。2014年に始まったNP派遣事業も今年2019年で6年目を迎え、タイの日本語教育を草の根から支えてきました。2018年度までに派遣されたNPは計290名(短期派遣NPおよび大学連携NPを除く)、今年度もインドネシアに次いで2番目に多い85名をタイ各地の85校にそれぞれ10ヵ月間派遣しています。

国際交流基金バンコク日本文化センターでは、NPのタイ到着時(5月)と派遣中間時点(10月)の2回、NPおよび受入校のタイ人カウンターパート教師(以下、CP)がいっしょにティームティーチングの仕方や教授法を学ぶための研修を実施し、NPの活動をサポートしてきました。今年度からは通常のNPCP研修に加え、新規派遣校と派遣2年目校のCPを対象とした「新人CP研修」を行い、支援を更に強化しています。

研修は知識習得の場であるだけでなく、普段はなかなか会う機会のない全国各地の先生方と幅広い横のつながりが持てる貴重な機会となっています。研修後のアンケートでも「他校のNPCPから新しいテクニックや授業計画などの知識が得られた」「他校のCPとのネットワーク作りができてよかった」といったコメントが複数寄せられたほか、新人教師からは「研修で知り合ったベテラン教師にカリキュラムの相談をしたり、試験の作成方法を指導してもらった」という声も聞かれました。

研修を通じてタイ全土の日本語の先生たちの輪が広がり、NPと共にタイの日本語教育をますます盛り上げてくれることを願っています。

5月に行われたNP・CP合同研修の様子
毎年5月のNP到着時に行われるNPCP合同研修にて

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 国際交流基金バンコク日本文化センター
The Japan Foundation, Bangkok
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
タイ人専任講師6名と共に、タイ国全土の日本語教師・学習者支援のためのさまざまな日本語事業を実施している。教師支援事業では、中等教員向け各種研修、大学教員向けセミナー、日本語パートナーズ支援、一般日本語教育向けには『まるごと 日本のことばと文化』教師研修を開講している。学習者支援では、日本語キャンプの開催やJF日本語教育スタンダード講座をはじめとする一般講座を開講している。また、教材開発にも力を入れており、中等教育向け日本語教材や「みなと」のコンテンツを開発した。その他、カンボジアやラオスなど周辺国の日本語教育支援を担っている。
所在地 Serm Mit Tower, 10F, 159 Sukhumvit 21 (Asoke Road) Bangkok 10110, Thailand
Tel: 66(2)260-8560~64 Fax: 66(2)260-8565
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名、専門家:2名、指導助手:1名
国際交流基金からの派遣開始年 1994年

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