世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)地方でも日本語頑張っています!(2)

バリアブンタウ大学
笹村はるか

ベトナム南部にある私立バリアブンタウ大学に着任し、2年目に入りました。着任してこれまでの間に、学部名が2回変わり、2017年9月からは2学期制だったものが3学期制に変わりました。変化し続けている大学ですが、ベトナム人教師たちと協力し対応しながら授業やカリキュラム整備、勉強会など活動を行っています。

日本語専攻外クラス

様々な体制の変化にはいい面も含まれています。昨年のこのレポートにも書きましたが、英語学科の学生が第二外国語として学んでいた日本語クラスに、理系を含む他学部の学生も入れるようになりました。このクラスでは2017年度の学期より国際交流基金(以下、基金)の『まるごと』を使用し、授業を行っています。『まるごと』の使用を開始するにあたって、基金ベトナム日本文化交流センターの他の専門家にもサポートしていただき、授業開始前に大学において3日間の日程で教師向け勉強会を開催しました。私にとっても、ベトナム人教師にとっても初めて使う教科書ですので、授業が始まってからは授業担当のベトナム人教師と週に1度は顔を合わせる時間を取り、学生に配布する教材を一緒に作成しています。配布した教材を学生たちがきれいにファイリングしてくれているのを見ると、よりバリアブンタウ大学のこのクラスに合う教材を作っていかなければならないという気持ちになります。また、この教材、そして試験のやり方についても、今ではベトナム人教師のほうからバリアブンタウ大学に合うアイデアが出てくるようになりました。学生たちの反応のよさが、クラスを担当するベトナム人教師のモチベーションや自信につながっているのかもしれません。

綺麗に保存された教材の写真
教材はきれいに保存!

日本語専攻クラス

日本語専攻クラスでは私も授業を担当しています。今まで勉強してきた日本語や、自分が伝えたい日本語を「思う存分使ってほしい!」という気持ちで、いくつかの活動を行ってきました。2017年度は自分たちが今住んでいる町を紹介するというテーマで、2年生は動画作成に、3年生はガイドブック作成に取り組んでもらいました。ありきたりなテーマではありますが、どのグループも大学生の目線で、インターネットにはない情報を日本語で伝えてくれました。

動画作成に対して最初は「えぇ~…」という反応でしたが、どのグループもこちらの思惑通り、楽しみながら一生懸命日本語で伝えようとする気持ちが溢れた動画となりました。3~5分という短い動画で、一人一人が話す量はそれほどではありませんでしたが、その短い発話のために日本語だけでなく表情や動きまで意識し、教室で教科書の会話を練習するだけではできない体験を学生自らしてくれたようです。ガイドブック作成も同様でした。グループの中で日本語が得意な学生は日本語の文章作成の中心となり、そうでない学生たちはガイドブックという形にする作業で力を発揮するなど、それぞれが自分にできる役割を探し関わろうとする姿が見られました。作品をグループ同士で披露する日の学生の表情には小さな達成感が見られた気がしました。

日本語で作成したガイドブックの写真
バリアブンタウの穴場を紹介します!

ベトナム人教師と学生たちが持っているアイデアを形にするきっかけや場を作ること、それが形になったという達成感を感じてもらうことを目標に、これからもサポートを続けていきたいと思います。

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