世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)益々増える日本語学習者数

ミンスク国立言語大学
小野崎亮

ベラルーシで専門的に日本語学習ができるのは、首都ミンスクに設置されているベラルーシ国立大学とミンスク国立言語大学の二つの大学です。国際交流基金からベラルーシに派遣される日本語専門家はこの二つの大学が配属先となります。どちらもベラルーシでは大変権威のある大学です。ミンスク国立言語大学(以下「言語大学」)では「翻訳・通訳」の専門家の育成が第一目標に掲げられています。

増える日本語学習者数ときめ細やかな外国語教育。どちらも言語大学の財産です。

言語大学では日本語コースが始まった1993年から、日本語主専攻の学生を5年に1度募集しています。1年生から5年生までを少数精鋭で教育するのが特徴です。現在、主専攻の学生は3年生に在籍しています。文法、語彙、会話という日本語の授業のほか、文学や日本事情など通訳・翻訳家として必要な知識を学ぶ研鑽の日々を送っています。ところが日本語は人気の外国語で、5年に1度という限られた機会では多くの学生たちの要望に答えることができません。そこで数年前から副専攻の日本語コースがスタートしました。今年、副専攻で日本語を学習しているのは4年生と2年生、約40名です。ここ言語大学では、副専攻といえども高いレベルの日本語教育が行われています。過去、言語大学からモスクワ国際学生弁論大会に出場し、入賞した学生はここで日本語を学んでいるのです。更に今年は嬉しいことがありました。5月にモルドバで開かれた第3回GUAM+ベラルーシ国際弁論大会に出場した言語大学の学生が3位と4位になったのです。3位に入賞したのは4年生。日本語副専攻の学生でした。

副専攻の学生たちと一緒の写真
副専攻の学生たちと一緒に。

言語大学の校舎の写真
言語大学の校舎。中はまるで迷路のようです。

日本人の新しい先生とともに…

さて、これまで基金から派遣されてきた専門家は、当地では数少ないネイティブスピーカーの一人でもありました。言語大学では「翻訳・通訳」の専門家の育成が目標ですから、学生たちの会話力向上に主軸を置き、ネイティブならではの指導が専門家に求められていました。しかし、2015年2月から新たにネイティブの日本語教師が加わり、言語大学ではネイティブによる日本語及び専門科目がスタートしました。日本語の授業の他、専門科目も日本人から指導が受けられるというすばらしい教育環境がスタートしました。これから現地ベラルーシ人及び日本人教員、そして専門家が協力し、効果的に高い教育が行えるように更なる協力体制の強化が課題となっています。

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