世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ミンスク国立言語大学における日本語教育

ミンスク国立言語大学
相原 幹子

大学と大使館街の写真
大学と大使館街

国際交流基金から派遣されているベラルーシの専門家は2つの大学で業務を行っています。その一つがミンスク国立言語大学です。専門家は週4コマの授業を担当しています。ミンスク国立言語大学は地下鉄の駅のすぐ近くにあり、大学の前の通りには各国の大使館があります。大学の門を出るとすぐ生の外国語の掲示板があるというのは外国語を学ぶ大学の周辺らしい風景と言えるでしょう。

日本語の教科書を持っている学生を見て、以前日本語を勉強していたと声をかけてくる他言語専攻の学生がいたり、自分で本とインターネットで日本語を学習していた他の大学の学生がやってきたりと、ここでも外国語を専門とする大学らしい風景を見ることができます。また、専門は他の言語なのに、なぜか日本語の方が得意になってしまったという学生がいるというのも、言語大学ならではのことではないでしょうか。

3月にはベラルーシ日本語弁論大会が行われ、言語大学からも学生が参加しました。報告者が担当するクラスの学生も自ら希望して参加したのですが、準備の段階で非常に学習意欲が高まった様子が見られました。間違いを指摘されて修正していくのではなく、読んだ人からの質問を受けてよくわかるように書き直す、また更に質問を受けて修正するということを何度も何度も繰り返しました。発表の内容を聞いたクラスの人からまた質問を受けて、相手が分かるように答える準備をするという、非常に自律的に準備をしていく様子が見られました。弁論大会の準備を通しての経験が、その後の学習にもいい影響を与えているようです。

クラスの人たちが協力して学習している写真 詳細は以下
一人で調べたり、友達と相談したり。

また弁論大会の前だけでなく、それ以外の時間にもクラスの人たちが協力して学習していく様子がよく見られます。学生が選んだ日本に関するニュースを一緒に読むときには、日本語の理解だけでなく、ニュースに出てきた事柄自体の理解を協力しながら行っています。

弁論大会といえば、日本語弁論大会の時にはベラルーシでロシア語を学ぶ日本人留学生のロシア語でのスピーチも行われます。ロシア語で日本人のスピーチを聞くのもいい経験になっているようです。 ミンスク国立言語大学では、5年に1度日本語主専攻の学生の募集が行われます。今年度はその年であり、新しい主専攻の学生を迎えることができました。しかし、それ以外にも副専攻で学ぶ学生がたくさんいます。日本語学習者が増えることは喜ばしいことなのですが、一人の教師が担当するクラスがかなり多くなり負担になっています。学習者数とともに、教師数も増えていってほしいものです。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Minsk State Linguistic University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ミンスク国立言語大学の日本語専攻コースは、東洋語講座に設置されている。日本語コースの学生募集は5年に1度行われている。主にプロの通訳・翻訳家の育成を目指している。主専攻で日本語を学ぶ学生の他、英語学部等に在籍し、副専攻として日本語を学ぶ学生も多い。またミンスク国立言語大学の学生以外も日本語を学ぶことができるクラスも設置されている。専門家は週に4コマの授業を担当するとともに、他教師へのアドバイスなどを行う。
所在地 St.Zakharova 21,Minsk,220034,Belarus
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
東洋語講座
日本語講座の概要
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