世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ベラルーシ国立大学における日本語教育

ベラルーシ国立大学
相原 幹子

ベラルーシでは二つの大学で日本語教育が行われています。その一つがベラルーシ国立大学です。国際交流基金から派遣された日本語専門家は基本的に週6コマ授業を担当することになっています。2018年度は主専攻として日本語を学ぶクラスだけでなく、副専攻のクラスも担当しました。

副専攻のクラスは、国際経済を専門とする学生です。このクラスの学生は、短い時間で、自分に必要なことを判断し、必要な情報を入手することができます。授業時間は少ないけれども、非常に効果的に学習をしている、という印象を受けました。

主専攻の学生たちの写真
主専攻の学生

主専攻のクラスは、日本留学から帰ってきた学生や日本留学を目指す学生がほとんどです。会話の授業は、2017年まではどちらかと言えば、まず日常的な会話を重点的に行っていましたが、2018年度は特に日本の大学で学ぶことを念頭に入れた授業を行いました。学生同士が協力して学習しています。

「話すときにロシア語の言葉が頭に浮かんだとしても、それを直接一つの難しい日本語の単語に訳そうとするとうまくいかないことがある」とか「無理に難しい言葉を使うのではなく、自分の言葉で伝えるように」などという話が、学生の間から聞かれるようになりました。また、一度あまり他の人には耳慣れない言葉を使って話したあと、質問があった場合には、ほかの言葉に言い換えてわかりやすく説明することができるようになってきました。また、書き言葉と話し言葉の違いにも気を配るようになっています。

また、日本語弁論大会の準備や練習は昨年より自律的に行われていると感じました。司会も含めた練習をし、学生同士でするどい質問をし、的確なコメントをしていました。また発音練習は、弁論大会参加者のみならず、他の学生の発音練習にもなりました。

弁論大会ポスターの写真
弁論大会ポスター

2017年度同様、2018年度もベラルーシ国立大学が弁論大会の会場になりました。弁論大会に参加するだけでなく、ポスター作製、司会進行なども学生によって行われました。司会はベラルーシの二つの大学の学生が日本語とロシア語とで行います。ベラルーシ国立大学の学生は、2017年は日本語を担当し、2018年はロシア語を担当しました。

ベラルーシ国立大学では2018年度まで日本語を5年間学んでいました。2019年度からは4年になり、日本語の授業時間も短くなります。授業で集中して学ぶことはもちろん、自分に必要なことを自分で考え、自分で学習を進めていくことが更に必要になるでしょう。自律的学習を行っている現在の学生の様子は、来年度の新入生が学習を進めていくときにも、非常に参考になると思われます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Belarusian State University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ベラルーシ国立大学の日本語・日本研究コースは、国際関係学部の中に設置されている。国際関係学部は、ベラルーシの政治や外交の場面で活躍できる人材の輩出を目指している。そのため、当コースでも、日本の政治や経済、外交問題についても造詣が深い知日家を育成し、ベラルーシと日本との国家レベルでの交流を担う人材を輩出することを目指している。専門家は週に6コマの授業を担当するとともに、他教師へのアドバイスなどを行う。
所在地 Leningradskaya St.20, Minsk, 220050, Belarus
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
国際関係学部東洋学講座
日本語講座の概要
What We Do事業内容を知る