日本語専門家 派遣先情報・レポート
ベラルーシ国立大学

派遣先機関の情報

派遣先機関名称
ベラルーシ国立大学
Belarusian State University
派遣先機関の位置付け及び業務内容
ベラルーシ国立大学の日本語・日本研究コースは、国際関係学部の中に設置されている。国際関係学部は、ベラルーシの政治や外交の場面で活躍できる人材の輩出を目指している。そのため、当コースでも、日本の政治や経済、外交問題についても造詣が深い知日家を育成し、ベラルーシと日本との国家レベルでの交流を担う人材を輩出することを目指している。専門家は授業を担当するとともに、他教師へのアドバイスなどを行う。
所在地
Leningradskaya St.20, Minsk, 220050, Belarus
国際交流基金からの派遣者数
専門家1名
日本語講座の所属学部、学科名称
国際関係学部東洋学講座(日本語・日本研究コース)
日本語講座の概要

「オンラインだからこそできること」の追求

ベラルーシ国立大学
山岡洋輔

ベラルーシはロシアとポーランドに挟まれた「世界最北の内陸国」です。日本の約半分の国土には大きな森や湖が点在し、首都ミンスクでは、歴史ある建造物が美しい街並みを際立たせているとのことです。こうした情報はすべて派遣先であるベラルーシ国立大学の学生たちから教えてもらいました。

私はまだベラルーシの地を踏むことができていません。本来であれば2020年8月に同国へ日本語専門家として派遣される予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で現地赴任時期は未定で、2021年9月より国内からの遠隔という形で業務が始まりました。

ベラルーシ国立大学での授業

私の派遣先であるベラルーシ国立大学では隔年で日本語主専攻の学生を受け入れており、2022年3月現在、3年生(中級)と1年生(初級)が在籍しています。私はこの2つのクラスの「会話」の授業をオンラインでZoomを使って担当しています。このオンラインによる授業実施は、派遣先にとっても学生にとっても、もちろん私にとっても新しい試みであったため、9月の新学期開始時は通信がうまくつながらなかったり、マイクやスピーカーが作動しなかったりするなど機器のトラブル続きでしたが、回を重ねるごとに最適な方法を双方で模索し、試行錯誤を続けた結果、今ではほとんど不自由なく授業を行うことができています。

授業中のスクリーンショットの写真
3年生の授業

とはいえ、やはり対面と違って学生の反応が把握しづらいため、一方的にこちらが話す展開になってしまいがちです。そうならないようにロールプレイやプレゼンテーションを多く取り入れ、学生たちから少しでも多くの発言を引き出す工夫を日々考えています。学期の最後となる1月には、私が非常勤で勤めていた大学の協力を得て、日本語教師を目指す日本人学生のクラスとベラルーシ国立大学の3年生のクラスとの合同授業を行いました。合同授業はプレゼンと交流会の2部構成で行い、プレゼンでは、「紹介したいベラルーシの○○」というテーマで3年生がグループごとに事前準備をして、日本人学生に紹介しました。交流会はテーマだけを決め、ブレイクアウトセッションで自由に話す形式にしましたが、ファシリテーターを任せた「日本語教師の卵」である日本人学生たちがうまく盛り上げ、双方にとってとても有意義な時間となったように思います。オンラインだからこそできたこの活動はベラルーシの学生たちにも好評で、チャンスがあれば今後も同じような活動をどんどん取り入れていきたいです。

その他の活動

現地の日本語教師会についてもイベントがことごとく中止になったこともあり、活動自体がほとんど行われていないようです。ただ、ベラルーシ国立大学の教員の呼びかけで教師研修会を行っていこうという話が出ており、その第1回を近々オンラインで行う予定です。

今後の課題

課題はやはり「遠く離れた日本にいる」ということに尽きます。オンラインの画面越しでは人間関係の構築は容易ではなく、現地の先生方や学生たちの信頼を得るにはまだまだ働きが足りないと感じています。また、日本語専門家にはベラルーシの日本語教育全体の支援も求められますが、情報収集すら充分にできていないのが現状です。とはいえ、結局、制限された行動範囲の中でできることを精一杯やっていくしか術はないので、できないことに目を向けて嘆くより「オンラインだからこそできること」を追求して、日本からのオンライン業務を楽しみたいと思っています。

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