世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) JF講座スタート

カザフスタン日本人材開発センター
建木 千佳

KJCの桜の写真
KJCの桜

 3月にも結構雪が降ったので、去年植えた桜の開花はいつになるかと思っていたら、4月に入ると、あっという間に花が咲きました。カザフスタン日本人材開発センター(以下KJC)では、桜の開花に合わせ、「桜祭り」を行い、アルマティの方々と、日本とは一味違う花見を楽しみました。

 淡いピンクの花がすっかり黄緑色の葉に姿を変え、夏のような気候となったアルマティでは、120番学校、2つの大学、そしてKJCで、日本語教育が行われています。

JF講座の特徴

 KJCでは、今年の2月から、国際交流基金と共催する日本語講座「JF講座」が本格的にスタートしました。入門コースは、JF日本語教育スタンダード準拠教材の『まるごと 日本のことばと文化』を使用し、既存のコースは、『みんなの日本語』他をメインテキストとし、各課に1つだけ「~できる」という 記述の学習目標を設定しました。この学習目標の達成を目指し、授業では、耳からのインプットと、いろんな形でのアウトプットに力を入れるようになりました。これは、従来のKJCの日本語教育と大きく変わるところです。

受講生の変化

耳からのインプットを重視した日本語授業の写真
耳からのインプットを重視した日本語授業

 受講生は、耳から入ってきた日本語がわかるようになってきました。入門コースの人達も、授業で覚えた言葉を話しています。クラスでは、友達の話について、日本語で質問したり、コメントしたりしています。まだちょっとわかりにくい日本語ですが、「楽しく日本語が勉強できる」というコメントも寄せられています。これは、新しいものに貪欲に取り組んでくださった、現地の先生方の成果だと思います。

今後の課題

 受講生の日本語学習の目標の多くは、「日本語が話せるようになりたい」でした。これは、 JF講座がめざす「相互理解のための日本語」と合致していました。しかし、中には従来の文法学習を希望する人もいます。また、人は常に上を目指すものです。ちょっと話せるようになったら、次は、日本語能力試験や、日本留学を目標にする人も出てくるに違いありません。今後、さらに多様化するであろう受講生のニーズに、JF講座としてどう応えていくかが、次の大きな課題となるでしょう。

 もう1つは、走り出したJF講座の精度を高めていくことです。これは、すばらしい先生方がいらっしゃるので、回を重ねるごとによくなっていくだろうと楽観視しています。

先生方への期待

 学期前のJF講座研修会は、参加型の研修で、新しい教材のテストを作り、模擬授業もしました。3日間の研修でしたが、先生方は自信を持たれ、コースが始まってからは、果敢に新しいものにチャレンジしてくださいました。今後も、その勢いで前に進んでいってください。そのサポートは、日本語専門家の仕事です。必要なものがあったら、何でも言ってください。

 KJCが、アルマティの大学とは違う日本語教育を提供していくことで、大学との共存を図り、アルマティの日本語教育にバリエーションを持たせることができます。そして、それは、日本語学習者増につながると思います。先生方、これからもよろしくお願いします。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Japan-Kazakhstan Center for Human Development
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際協力機構(JICA)とカザフスタン政府との協定により設立された機関で、日本語コース、ビジネスコース、相互理解の事業を行っている。昨年10月から、日本語コースと相互理解事業は、国際交流基金との共催による”JF講座”として新しくオープンし、今年の2月から、JF日本語教育スタンダード準拠の日本語教育が始まった。日本語専門家は、その新しい日本語教育のサポートとして、コース設計やシラバス作成、現地講師への助言、研修会等を行う。
所在地 55 Jandosov str. Almaty Rep. of Kazakhstan
国際交流基金からの派遣者数 専門家1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
日本語コース
日本語講座の概要
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