日本語専門家 派遣先情報・レポート
ヤギェロン大学
派遣先機関の情報
- 派遣先機関名称
- ヤギェロン大学
- Jagiellonian University
- 派遣先機関の位置付け及び業務内容
- 派遣先機関の位置づけ:日本学を主専攻にもつ国立四大学の中の一機関 業務内容: 1. 派遣先機関における学部生、大学院生への日本語教育。「実用日本語」を担当。2. カリキュラムや教材に関するアドバイザー的な役割。3. ポーランド日本語教師会、ポーランド南部日本語教師の会などポーランドの日本語教育に関する支援 4. ポーランド国内の日本語関連のイベントのサポート
- 所在地
- Aleja Adama Mickiewicza 9, Krakow, Poland
- 国際交流基金からの派遣者数
- 専門家1名
- 日本語講座の所属学部、学科名称
- 文献学部東洋学研究所日本中国学科
- 日本語講座の概要
-
沿革 講座(業務)開始年 選択:1978年から
専攻:1987年から国際交流基金からの派遣開始年 1987年 コース種別 主専攻 現地教授スタッフ 常勤11名(内、邦人3名)、非常勤2名(内、邦人1名)、基金派遣専門家1名 学生の履修状況 履修者の内訳 学士課程 各学年約20-30名、修士課程約30名 学習の主な動機 日本研究、ポップカルチャーへの関心など 卒業後の主な進路 進学、日系企業就職、通訳翻訳など 卒業時の平均的な
日本語能力レベル学士: N2、修士: N1 日本への留学人数 10名程度
平和を願って
ヤギェロン大学
栗原 幸子
2020年春に始まったコロナ禍から2年が経過しています。国際交流基金(以下、JF)派遣専門家(以下、専門家)が派遣されているヤギェロン大学でも、2021~2022年度の新学期は、10月に対面形式で始まったものの、11月にはオンライン授業へと切り替わり、その後も、感染者数の増加、政府の対応などに合わせて、対面授業とオンライン授業を行ったり来たりしてきました。当初とは異なり、このような変化に徐々に慣れては来ているものの、学生たちや教師たちも柔軟な対応が求められています。最近では感染者の数も少しずつ減ってきており、大学の授業は対面に戻っていますし、国内での規制も緩和されてきました。
対面授業に戻って
ポーランド日本語教師会勉強会
2006年に発足したポーランド日本語教師会には、国内外に70名程度の会員がいます。教師会は、ポーランド日本語弁論大会の実施、運営を行ったり、日本語教育について研鑽を深めるため、年に2回、勉強会を開催しています。例年は、会員がワルシャワで集まって開催される勉強会ですが、2021年の勉強会は2回ともオンライン開催となりました。
2021年7月の勉強会は、同年の2月にJFブダペスト日本文化センター主催でオンライン開催された「中東欧日本語教育研修会2021」の招聘参加者たちが研修報告を行い、その報告を受けて、参加メンバーがグループに分かれて、自身の授業の振り返りを行いました。また、2021年12月には、外部から講師をお招きして、「作文指導」をテーマにした勉強会が開かれました。
日本学科設立35周年記念学会
ポーランドでは、ワルシャワ大学、クラクフにあるヤギェロン大学、ポズナンにあるアダム・ミツキェヴィチ大学、トルンにあるニコラウス・コペルニクス大学の四大学が日本学の主専攻を有しています。そのうち、アダム・ミツキェヴィチ大学と、専門家が派遣されているヤギェロン大学はともに2022年に日本学科設立35周年を迎えることから、同年3月に、JFの助成を受けて、両大学共催での記念学会がオンライン開催されました。
https://35-shunen.web.amu.edu.pl/
ポズナン&クラクフ日本学専攻科設立35周年記念学会
両大学の教師陣、大学院生の多大な協働により学会の準備、運営が進められ、3日間の学会では「言語・言語学・教育」「文学・演劇・映画・芸術」「歴史・宗教」「法律・政治・社会問題」の四つのテーマを主軸として、日本研究の様々なテーマで、100本を超える学術発表が行われました。オンライン開催で、ポーランド国内からだけではなく、つながりを持つ中東欧地域や他のヨーロッパ諸国、日本、北米など、多くの国や地域からの発表や参加がありました。これまでのネットワークをさらに深め、そして広げる機会でもあり、日本研究のさらなる発展につながっていくことと思います。
ポーランドのウクライナ人支援
2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まってから、3月時点でポーランドには200万人を超えるウクライナ人たちが避難してきています。ウクライナ人はもともとポーランドにおける大きなマイノリティグループの一つで、ウクライナとポーランドは歴史的なつながりが深いこともあり、ポーランドは、国のレベルでも個人のレベルでも、様々な支援を行ってきています。ヤギェロン大学でも、ウクライナ人学生達へのサポートや、支援物資を集めるイベントなどが行われています。
日本学科の学生の中にも何人かのウクライナ人がいますし、専門家が担当する日本語の授業でも、ポーランドのウクライナへの支援、ウクライナから避難してきた人たちのサポートなどについても話し合い、学生たちといっしょに私たちは何ができるのか考えています。
一刻も早く平和な世界が戻ってくることを心から願っています。