日本語専門家 派遣先情報・レポート
ブカレスト大学
派遣先機関の情報
- 派遣先機関名称
- ブカレスト大学
- University of Bucharest
- 派遣先機関の位置付け及び業務内容
- ブカレスト大学の日本語専攻は、ルーマニア国内の日本語教育、日本文学研究の中心であり、日本語だけでなく日本文学、日本文化について幅広い知識を身につけるための教育が行われている。専門家は日本語専攻での日本語教授、カリキュラム・教材作成に対する助言、現地教師へのアドバイス等を行う。
- 所在地
- Strada Pitar Moş nr. 7-13, Sector 1, Bucharest, Romania
- 国際交流基金からの派遣者数
- 専門家: 1名
- 日本語講座の所属学部、学科名称
- 外国語外国文学部東洋言語学科日本語専攻
- 日本語講座の概要
-
沿革 講座(業務)開始年 副専攻: 1975年から
専攻: 1987年から国際交流基金からの派遣開始年 1978年 コース種別 主専攻 現地教授スタッフ 常勤3名、非常勤2名(うち邦人1名)、基金派遣専門家1名 学生の履修状況 履修者の内訳 各学年約40名 学習の主な動機 言語そのものへの関心、日本文化への興味、など 卒業後の主な進路 大学院進学、留学、ガイド、日本語教師、日系企業に就職など 卒業時の平均的な
日本語能力レベル日本語能力試験N3程度 日本への留学人数 年に10名程度
ルーマニアの日本語学習者たち
ブカレスト大学
本橋啓子
2021年10月にルーマニアに来て5か月、街中でアジア人に会うこともほとんどなく、生活圏には東アジア料理店もなく、ここは日本から遠く離れた国だと実感する日々です。一方で、持ち帰りのおかずを買った食材店で店員さんから日本語で「ありがとう」と言われたり、道を歩いているとルーマニア人から突然英語で「日本人ですか」と話しかけられたりと、ここにも日本に興味を持ってくれている人がいるのだと感じられる瞬間があるのも、またうれしい事実です。
1.ブカレスト大学
着任以来、ずっとオンライン授業が続いています。オンラインならではの良さを理解しつつも、やはりまだ直接大学の教室で学生たちに会えずにいることには寂しさを感じています。そんな中、学生たちのことを少しでも知りたいと思い、いっしょに授業を担当する先生方と新入生にアンケートをしてみました。まず「なぜ日本語を専攻することにしたか」ですが、「日本語そのものへの関心」が最も多く、多いだろうと予想した「日本の大衆文化への興味(例:アニメ、マンガ、J-POP、ファッションなど)」はそれほどでもなく、「日本文化に興味がある(歴史、文学、芸術など)」に次ぐ第3位でした。また、「将来日本語を使って仕事をしたいか」という質問には90%の学生が「はい」と答えており、特に「翻訳をしたい」と答えた学生は60%にもなりました。日本語専攻ではヨーロッパの他の大学同様、以前から翻訳に力を入れており、また日本語専攻を卒業するとルーマニア政府公認の翻訳者の資格が取得できるそうですので、毎日の授業は未来の優秀な翻訳家を育てる第一歩と考え、気を引き締めて臨んでいます。
ブカレスト大学本部校舎(ただし、日本語専攻の校舎はここではありません)
2.日本語能力試験(JLPT)
ここルーマニアではJLPTは年1回、12月だけの実施です。ルーマニアで日本語?と思われるかもしれませんが、実は毎年JLPTを受験する学習者は500人程度おり、決して少なくはありません。コロナ禍のため、2020年のJLPTは中止になりましたが、2021年12月は予定通り実施することができました。当日は前年に受験できず、実施を待ち望んでいた多くの受験者たちが集まりました。実施の中心となって活躍してくださっているルーマニア日本語教師会の先生方は、直前まで「保健省から突然の中止命令が出たらどうしよう」などと不安でいっぱいだったようですが、無事実施でき、安堵されていました。報告者も試験前日の会場設営、当日の試験監督などで協力しましたが、担当したN1の教室にはコスプレをした高校生やスペインからの留学生など、さまざまな受験生が集まっていました。また聴解の音響テストをした際には、口頭ではなく、指でグッドマークを作ってよく聞こえるという意思表示をしてくれた受験者がたくさんいたのは楽しい経験でした。コロナ禍が収まり、来年も無事に実施されることを祈っています。
JLPTの試験会場であるルーマニア・アメリカ大学