世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ウズベキスタンの日本語教育事情②

ウズベキスタン日本センター
山崎紀子

ウズベキスタンの人は言語能力が高いなぁ。

これは赴任当初からずっと思っていることです。ウズベキスタンの首都タシケントにはウズベク語とロシア語のバイリンガルが多く、彼らの会話を聞いていると不思議なことに気づきます。ウズベク語で話されているときもあれば、ロシア語で話されているときもあるのです。文の途中でウズベク語からロシア語、ロシア語からウズベク語に変わるのもごく普通のことで、お互いに何語で話すか決めていないそうです。

ソ連から独立した4年後の1995年にウズベキスタンの公用語はロシア語が消え、ウズベク語1言語になりました。地方ではロシア語が解せない若者も増えていると聞きますが、公的文書はロシア語の使用が認められていることもあり、依然としてロシア語の地位は高く維持されています。学術やビジネスの分野でもロシア語が使えると有利に働くことも多く、ビジネスで成功したければウズベク語とロシア語はもちろんのこと、英語と他にもう一つの外国語が必要だとも言われているそうです。ですから、ウズベキスタンでは外国語を勉強することは特別なことではなく、当たり前のことのようです。

配属先のウズベキスタン日本センター(以下、UJC)では一年を通じ約270名の受講生が日本語を学習しています。現在10代の受講生が全体の約半数を占めますが、社会人の受講生も徐々に増えてきました。ここ数年ウズベキスタン国内では多くの日本語学校が設立され、また昨年からタシケントの一部の初中等教育機関でも正規科目として日本語の授業が開始され、日本語学習者は小学生から社会人までと多様化しています。そのような中、UJCでは他の機関にはない独自の教育の提供を目指しています。 以下、その一部をご紹介します。

UJC日本語コース祭り

毎年6月にUJC日本語コースの最大のイベント、日本語コース祭りを行っています。昨年は受講生とその家族や友人が200人以上参加し、大いに盛り上がりました。プログラムの内容は受講生による歌やダンスの披露、クラスで製作したビデオの上映、日本や日本語に関するゲームなどです。祭りの企画、運営はUJC日本語コーススタッフで行いますが、受講生も歌の練習など前もって準備します。この祭りを受講生は楽しみにしており、運営側としてもその期待に応えようと企画や準備にも力が入ります。

日本文化体験とビジターセッション

『まるごと』コースでは3ヶ月に1度、日本文化体験とビジターセッションの授業を取り入れています。日本文化体験ではおにぎり作り、和菓子作り、書道、折り紙、日本の伝統玩具遊びを実施しました。和菓子作りと書道はUJCの茶道教室と書道教室の講師に協力していただきました。折り紙では全く初めての受講生にとっては鶴も難しかったようで、必死に格闘している姿が微笑ましかったです。受講生は皆日本文化に興味を持っており、どんな内容でも楽しんでいます。

ビジターセッションでは毎回在留邦人の方々に来ていただき、受講生によるプレゼンテーションと交流会をしています。受講生はいつも自分たちの日本語が通じるのか心配していますが、プレゼンテーションと日本人との会話によって、「できる」ことを一つずつ増やしています。

『まるごと』をプレゼンテーションする様子の写真
『まるごと』のプレゼンテーション

子供向け『まるごと』短期コース

UJCの『まるごと』コースは14歳以上の受講生を対象にしています。『まるごと 日本のことばと文化』は一般成人向けに作られた教科書ですが、UJC専任講師とともに入門レベルの10~14歳の子供向け短期コースとしてアレンジし、昨年夏にモジュール1として4週間コース(90分×8回)を2回開講しました。

子供向け『まるごと』短期子供コースで発表している写真
子供向け『まるごと』短期子供コースでの発表

正直に言いますと準備は大変でした。トピックが決まったらどんな内容にするか打合せ。それが終わればスライド作成に取り掛かり、音声会話はどうするか、どんな活動を入れるか、また細かい打合せと修正。開講1週間前に行ったのはJICAボランティアを巻き込んでの音声録音。たった8回分の授業準備に半年以上費やしました。8回のうち5回はトピック(「家族」、「趣味」、「好きな食べ物」など)について、残り2回は「保護者と一緒に巻きずし作り」、発表準備と練習、最後の8回目はトピックについての発表でした。発表には保護者も招待し、4週間の成果をしっかりと見ていただきました。

モジュール2は今年の夏開講予定です。UJCの夏の風物詩になるようなコースを目指し、今担当講師と準備に取り掛かっています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Uzbekistan-Japan Center
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ウズベキスタン日本センター(UJC)は、国際協力機構(JICA)とウズベキスタン政府との協定に基づき2001年に設立された公益法人である。現在ビジネスコース、日本語教育、相互理解促進事業、聴覚障碍者向けITコースの4事業を活動の柱としている。日本語教育事業では2012年より国際交流基金による事業運営協力が行われており、一般向けの日本語講座を中心に短期特別コースなども開講している。また、教材の現地語化やUJC独自の教師研修、教材制作、日本語能力試験の実施を通じて当国全体の日本語教育の発展に努めている。
所在地 6th Floor, International Business Center, 107-B, Amir Temur str., Tashkent, 100084, UZBEKISTAN
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2001年。2010年度に一度中断し、2012年度に派遣再開。

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