日本語教育通信 授業に役立つホームページ 第12回

 NHK(日本放送教会)は、これまで日本の小学生から高校生までを対象にテレビで配信していた学校放送番組をインターネットで提供し始めました。

 現在、17の番組をインターネットで視聴することができます。ここでは、例として「おこめ」を見てみましょう。「おこめ」は、一回15分、全20回の番 組です。小学校5年生、6年生を対象とし、「米」について総合的に学習するための番組ですが、日本人と関係の深い「米」についてのこの番組は、海外の日本語教育の現場でも利用できそうです。日本の四季や、日本人とお米の関わりを伝える様々な映像とともに、「日本人とお米」について知ることができます。

NHKデジタル教材の画面キャプチャ画像1

番組の内容

第1回 おこめの一生
第2回 たんぼを作ろう
第3回 日本人とおこめ
第4回 農薬を使わないこめ作り
第5回 農薬なしではやっていけない
第6回 田んぼのある風景
第7回 世界のこめ作り
等々

NHKデジタル教材の画面キャプチャ画像2

 NHKデジタル教材には、(1)放送番組、(2)短い教材映像のクリップ、(3)教材クイズやゲームがある教材ページ、(4)他の学校と交流ができる掲示板、の4つのコンテンツがあり、ページ上の4色のボタンを切り替えて、どの番組も同じように利用することができます。

 青いボタンの「ばんぐみ」をクリックすると、インターネットで、いつでも番組を視聴することができます。画面の下には、音声の内容が文字で表示され、映像と音声とともに見ることができます。また、見たいシーンだけを何度も視聴することもできます。

NHKデジタル教材の画面キャプチャ画像3

 赤のボタンの「クリップ」をクリックすると、1~2分の動画がたくさん入った映像資料が利用できます。

 日本の学校教育の現場では、先生が授業の提示用教材として使ったり、生徒の調べ学習に利用したりしているようです。

NHKデジタル教材の画面キャプチャ画像4

 緑のボタンの「きょうざい」をクリックすると、各番組の内容をより深く学ぶことができる教材ソフトを利用することができます。クイズやゲームなどがたくさん提供されています。

NHKデジタル教材の画面キャプチャ画像5

 黄のボタンの「けいじばん」をクリックすると、学校の枠を越えて番組について話したり、グループでテーマを決めて話したり、成果を発表したりすることができます。掲示板は、パスワードで保護されていて、大学の研究者などが運営に協力していますが、海外の学校でも、クラス(クラスがない場合はグループ)単位で、担当の先生が代表になって掲示板に登録すれば、掲示板のかいぎしつで話をしたり、発表したりすることができ、日本の小学校との交流もできるようになるでしょう。

NHKデジタル教材の画面キャプチャ画像6

 本サイトでは、たくさんの番組が視聴できますのでいろいろな利用法が考えられますが、ここでは、「おこめ」の第一回「おこめの一生」と「リーディングチュウ太」を組み合わせた利用方法を紹介します。

 「リーディングチュウ太」の「レベル判定ツール」を使って、教師が内容のレベルチェックを行うことができます。「ばんぐみ」のテキストの部分を選択して、コピーします。

「リーディングチュウ太」の画面キャプチャ画像1

 コピーしたテキストを「リーディングチュウ太」の「レベル判定ツール」にペーストします。

「リーディングチュウ太」の画面キャプチャ画像2
あらすじ全体をコピー&ペーストした画面

 「レベル判定ツール」では、「★★やさしい」という結果になりました。日本語能力試験の級ごとに語彙が分類され、内容の難易度を判断するための目安にすることができます。全体の語彙の7割が3級と4級の語彙ということがわかります。
  「ばんぐみ」のページで、「あらすじ」→「いんさつ」ボタンをクリックして、あらすじを印刷することもできます。また、あらすじ全体を「リーディングチュウ太」でレベル判定することも可能です。

「リーディングチュウ太」の画面キャプチャ画像3

 学習者は、自主学習用教材として興味がある番組を視聴することができますが、視聴前にチュウ太の「辞書ツール」を使って概要を理解してから視聴したり、視聴後に内容をより深く理解するために「リーディングチュウ太」の「辞書ツール」を使って勉強することも可能でしょう。

「日本人とお米」に関連したアイディアは、「みんなの教材サイト」でも紹介されています。

 画面の左の「キーワードでさがす」に「米」と入力して、さがしてみてください。いろいろなアイディアがあります。番組を見る前のウォーミングアップとして使えるアイディアもあります。
 NHKデジタル教材では、番組に関連したゲームも充実しています。ことばについてのゲームも、助詞の場所を変えるとももたろうのお話が変わるゲームなど、面白いものがたくさんありますので、是非、挑戦してみてください。

このコーナーの担当者:島田徳子(日本語国際センター専任講師)
王崇梁(日本語事業部企画調整課専任講師)

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