日本語教育通信 授業に役立つホームページ 第15回
辞書・ふりがなツールを使って読む 使い方
第15回 練習問題を作ろう
みなさんは、ウェブページの日本語練習問題にチャレンジしたことがありますか。ウェブの練習問題は、好きな時間に好きな場所でやってみることができ、コンピュータが解答をすぐにチェックしてくれます。こんな練習問題を、やってみるだけではなく、自分で作ってみたいと思ったことがありませんか。
練習問題作成ソフトを利用すれば、自分でも練習問題を作ってウェブ上に公開したり、CDに入れて学習者に渡したりすることができます。教師が学習者のレベルや興味に合った問題を作ることができたら、学習者の学習支援にとても役に立ちますね。
練習問題作成ソフトには、ホームページ上で直接アクセスできるものとダウンロードが必要なものがありますが、今回はダウンロード型の練習問題作成ソフトをひとつとりあげて紹介します。
*他のソフトの情報については最後の「参考情報」を見てください。
<目次>
Hot Potatoes とは?
- カナダのビクトリア大学の人間コンピュータメディアセンタ-が開発した練習問題作成ソフトで、自動採点されるウェブ上の練習問題を、簡単に作ることができます。現在、公開されているHot Potatoes Version 6は多言語対応なので、日本語で問題を作ることもできます。
- このソフトは、Hot Potatoesのホームページからダウンロードできます。インストールが必要ですが、多機能なのが特徴で、使用登録して使うといろいろな機能が使えます。
- Hot Potatoesはフリーウェアではありませんが、非営利で教育を目的とする場合は、無料で使用することができます。それ以外の場合は、ライセンスの購入が必要となります。ライセンス購入については、www.halfbakedsoftware.com/hot_pot_licence.phpを見てください。
問題を見てみよう、やってみよう
Hot Potatoesでは、多肢選択(multiple-choice)、穴埋め(gap-fill exercises)、マッチング(matching/ordering)、並べ替え(Jambled-sentence)、クロスワードパズル(crossword)、の5種類の練習問題とその統合問題を作ることができます。
使っているコンピュータのOSやブラウザによっては使えるソフトに制限がありますが、ここでは、多肢選択問題、穴埋め、マッチング、並べ替えの3種類を紹介します。実際に練習問題をやってみて紙ベースの練習問題とどこが違うか比べてみてください。
- 多肢選択問題
正しい答えをいくつかの選択肢から選ばせる問題です。選択肢はいくつでもいいです。 Hot Potatoesの作成例へ - 穴埋め問題
空所に適当な言葉を入れさせて文を完成させる問題です。 Hot Potatoesの作成例へ - マッチング問題
絵と単語、文と文など、2つのもの結びつける問題です。
Hot Potatoesの作成例へ
※果物の写真は「みんなの教材作成サイト」からとりました。 - 並べ替え問題
文字や単語を並べ替えさせて、正しい単語や文を作らせる問題です。 Hot Potatoesの作成例へ
練習問題を作ってみよう
練習問題を作るのに、むずかしい操作は必要ありません。問題と答えを準備して、ボタンを押せば、自動的に練習問題を作ってくれます。では、いっしょに練習問題を作ってみましょう。
- <JQuiz>を使って多肢選択問題を作成する
ステップ1.問題のデータを作成します。
- (1)JQuiz を起動します。
- (2)Titleを入力します。
- (3)問題のタイプ(Multiple-choice)を選択します。
- (4)問題文を入力します。
- (5)答えの選択肢を入力します。
- (6)ヒントがあったらFeedbackに入力します。
- (7)正しい答えをチェックします
ステップ2.書式を整えます。
(1)ツールバーのをクリックします。
(2)サブタイトルや指示文を入力して、OKをクリックします。
(3)必要に応じて、他のボタンをクリックして、コメントや、ボタンの種類や、ページレイアウト(背景色、文字色)や制限時間の設定をします。
ステップ3.文書をHTMLページに出力して保存します。
(1)ツールバーの下のボタンをクリックして、HTML形式で保存します。
(2)下のボタンをクリックすれば、Webページを表示させて、練習問題を確かめることができます。
(3)HTML形式で保存するだけではなく、修正をするためにHot Potatoes形式でも保存しておくと便利です。
HTMLファイルをWeb上にアップロードすればできあがりです。
- <JCloze>を使って 穴埋め問題を作成する
ステップ1.問題のデータを作成します。
- (1)JCloseを起動します。
- (2)Titleを入力します。
- (3)問題文を入力します。
- (4)空所にするところを選択して、Gapボタンをクリックします。
- (5)必要なら、Clueにヒントを入力します。
- (6)もし、他の答えがあったら、Alternative correct answersに入力して、OKボタンをクリックます。
ステップ2~ステップ3の手続きは、前のJQuizと同じです。⇒ できあがり
- <JMatch>を使ってマッチング問題を作成する
ステップ1.問題のデータを作成します。
- (1)JMatchを起動します。
- (2)Titleを入力します。
- (3)マッチングさせたい言語や文や画像などを入力します。左の欄の項目と右の欄の項目は一致させるようにします。
- (4)画像を挿入したいときは、ツールバーののボタンを押します。
- (5)挿入したい画像を選んで、「開く」をクリックします。
(6)絵を確認して、サイズや位置をきめてOKをクリックします。
ステップ2~ステップ3の手続きは、前のJQuizと同じです。
Jmatch使用例
http://homepage1.nifty.com/netsuma/workshop/comp/words/index.htm
マッチング問題作成機能を使った練習問題例です。国際交流基金クアラルンプール日本文化センターの根津誠さんが作りました。 - <JMix>を使って並べ替え問題を作成する
ステップ1.問題のデータを作成します。
- (1)Jmixを起動します。
- (2)Titleを入力します。
- (3)問題文を分けて入力します。
- (4)正答が2つ以上ある場合は右側のAlternate sentencesに入力します。(この機能は使用登録をしないと使えません)
ステップ2~ステップ3の手続きは、前のJQuizと同じです。
Hot Potatoesの利用を考える
ウェブページの練習問題は、紙ベースのものと違い、(1)解答をすぐにコンピュータがチェックしてくれるのでフィードバックを与えやすい (2)同じ選択肢でもアクセスするたびに問題の順番を入れ替えることができるので何回も練習できる (3)画像や音声などを自由に組み込ませて魅力的な問題を作ることができる (4)ヒントを設定することができ学習者の自律学習支援ができるなどの利点があります。国際交流基金の「みんなの教材作成サイト」 の「読解」コーナーには、10種類の読解素材があります。この読解素材を使って問題を作ってみてはどうでしょう。テキストをコピーすれば、問題文を入力す る必要はありません。みなさんのアイデアで、穴埋め問題や、内容の理解についてきく多肢選択問題を作ってみてください。
参考情報
- 日本語のマニュアルを見たい人は
問題例はフランス語ですが、使い方を詳しく知りたい人は是非見てください。また、もっと詳しい使い方を知りたい人はHot PotatoesのHelpを見てください。 - 練習問題作成ソフトや実際の作成例について詳しく知りたい人は
「インターネットを利用した情報発信と共有 」
http://homepage1.nifty.com/netsuma/workshop/comp/hasshin.html
国際交流基金クアラルプール日本文化センターの日本語教育アドバイザー根津誠さんのページです。練習問題作成ソフトだけではなくコンピュータにつての役立つ情報が満載です。
★このページは、国際交流基金クアランプール日本文化センターの根津誠さんの協力を得て作成しました。
このコーナーの担当者:藤長かおる・島田徳子
(日本語国際センター専任講師)