国際交流の夕べー能と狂言の会2022【動画配信(無料)】※2023年12月25日(月曜日)14時配信終了
海外からの留学生や外国人の方々、国際交流基金(JF)のフェロー、関西国際センター研修生に、日本の伝統文化にふれていただく機会を提供することを目的として、毎年秋に「国際交流の夕べ-能と狂言の会」を開催しています。より多くの方に舞台をご覧いただくため、2022年度も収録した舞台の公演映像を1年間無料配信いたします。
配信日時 |
2022年12月24日(土曜日)14時配信開始 ※1年間無料配信 |
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演者・演目 | 狂言/大蔵流 茂山千五郎師『二人大名(ふたりだいみょう)』 能/観世流 片山九郎右衛門師『大会(だいえ』 (能・狂言とも、あらすじの英語字幕付) |
主催 | 独立行政法人国際交流基金(JF)京都支部 |
協力 | 公益財団法人片山家能楽・京舞保存財団 有限会社茂山狂言会 公益社団法人京都観世会 立命館大学アート・リサーチセンター |
お問い合わせ | 国際交流基金(JF)京都支部 電話:075-762-1136 |
演目紹介
狂言『二人大名(ふたりだいみょう)』

<あらすじ>
二人の大名が連れ立って京都へ上ります。供を連れずに自ら太刀を持って出かけので、たまたま通りかかった男に無理矢理太刀を持たせます。偉そうに接する大名に腹を立てた男は、隙を見て大名に切りかかります。立場が入れ替わった大名は丸裸にされて、鶏や犬の真似をさせられてなぶり者にされます。
下克上をテーマにした作品ですが、なぶられている事を忘れた大名は次第に興に乗り、最後は男と一緒に楽しみだします。中世のおおらかさを持った作品となっております。
<狂言とは>
狂言とは、室町時代に能と共に形成された滑稽なお芝居です。平安時代末期から日本各地で起こった「猿楽」が元になっております。その後、能と狂言を合わせて「能楽」と呼ばれるようになります。能が悲劇的な歌舞劇なのに対し、狂言は喜劇的なセリフ劇です。観て笑って楽しむ芸能で、観客に緊張を与える能の間で、まるでサーカスの道化師のような役割を担ってきました。また生活の中の失敗談であったり、夫婦喧嘩を笑ってみたりと、現代でも変わらないものが笑いのテーマになっています。昔から伝わる普遍的な笑いの芸能が狂言なのです。
能『大会(だいえ)』

<あらすじ>
大会とは佛教の大きな法要のことです。ここでは釈迦の説法の法要を意味します。
僧が修行していると、山伏姿に身をかえた天狗が現れ、命を助けてもらった礼に、何でも望みを叶えましょうと言います。実は天狗が鳥に化けていたとき、木から落とされ、殺されかけたのですが、この僧によって救われたのでした。僧は、釈迦が霊鷲山で説法する場面を見たいと言い、天狗は望みを叶えると約束しますが、決して信心しないようにと言い、去ります。
天狗の家来が現れ、天狗が命を助けられたいきさつを話します。
さて天狗が釈迦の姿になって現れ、大会を行うと、僧は信心を起こして礼拝します。それを見ていた、佛教を守る帝釈天は、悪い天狗が僧をだましていると、急に現れます。帝釈天に気づいた天狗は慌てて化けていたのが元の姿になり、さんざん責められて詫びをし、消えていきます。
天狗とは佛教を破却するものです。日本では後の時代になると、鼻の高い天狗の顔が一般的になりますが、能の天狗は鼻が高くありません。様々な種類の能の中には、このような御伽噺のような、テンポの早い能もあります。
<能とは>
能は14世紀以来絶えることなく演じられてきました。はじめは庶民の楽しむ芸能であり、五穀豊穣を願い、幸せを祈るものでありました。やがて先行文学を取り入れ、文藝的な深い世界を描くものになっていきます。神の祝福、死者の鎮魂、美的世界の現出、危機に瀕したときの人間の心など、主題は普遍性を持ち、その故に古くならずに演じ継がれています。
能の表現は、長年の研鑚により、端正に磨き上げられ、また観客の想像力によって、いろいろなことを表現する手法をとります。能面、能装束、音楽、所作、これらの中には日本文化を支える特質が宿ります。能を通して、ひととき日本の心を感じてください。
出演者プロフィール
狂言師 茂山 千五郎 師

1972年、五世茂山千作の長男として生まれる。本名は正邦。
4歳の時『以呂波』のシテにて初舞台。過去には「花形狂言会」「狂言小劇場」「TOPPA!」「心味の会」を主宰し、狂言のみならず能楽のファン開拓にも力を注ぐ。現在は「茂山狂言会」HANAGATA改め「Cutting Edge KYOGEN」弟茂との兄弟会「傅之会」落語家桂よね吉との二人会「笑えない会」を主宰し、幅広い年代層へ狂言の魅力を伝える。また上海京劇院・厳慶谷や川劇変面王・姜鵬とのコラボ公演など、他ジャンルとの共演も精力的に行う。2016年十四世茂山千五郎を襲名。2005年文化庁芸術祭賞新人賞、2008年京都府文化賞奨励賞受賞。
能楽師 片山 九郎右衛門 師

観世流能楽師シテ方。昭和39年片山幽雪(九世片山九郎右衛門)の長男として京都に生まれる。祖母は京舞井上流四世家元井上八千代、姉は五世家元井上八千代。父及び八世観世銕之亟に師事。片山定期能楽会を主宰。全国各地で多数の公演に出演する他、ヨーロッパ、アメリカでの海外公演にも積極的に参加。また、学校公演及び学校における能楽教室の開催、「能の絵本」の制作、能舞台のCG化など、若年層のための能楽の普及活動も手掛ける。 重要無形文化財(総合指定)保持者。京都府文化賞奨励賞、京都市芸術新人賞、文化庁芸術祭新人賞、日本伝統文化振興財団賞、京都府文化賞功労賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
公益社団法人京都観世会会長、公益財団法人片山家能楽・京舞保存財団理事長。