国際交流基金賞50周年記念 欧州日本研究協会(EAJS)からのメッセージ

昭和50(1975)年度 国際交流奨励賞
欧州日本研究協会(EAJS)
[欧州]
EAJSから国際交流基金賞50周年に寄せて
欧州日本研究協会(EAJS)は、国際交流基金賞50周年に際し国際交流基金に心からのお祝いを申し上げます。1973年以来、国際交流基金は、学術、芸術、その他の文化活動を通じて日本と諸外国との国際相互理解や友好親善を促進することに多大な貢献をした個人および団体に、国際交流基金賞を授与してきました。


EAJS は、国際交流基金賞の創設からわずか2年後、そして欧州日本研究協会設立から2年後でもある1975年に、国際交流奨励賞を受賞しました。1973 年、EAJS は2つの主要な目標を念頭に置いて設立されました。1 つは、ヨーロッパにおける日本研究の統合的な研究領域を創設し、この分野で既存の各国の研究コミュニティ間の架け橋となること、ヨーロッパ諸国間および日本との共同研究活動を奨励すること、各国の日本研究協会をヨーロッパやそれ以外の地域の同様のコミュニティと結びつけること、そして次世代の日本研究者にヨーロッパで、また日本との間で、国境を越えた仲間作りの機会を提供することです。2 番目の目標は政治的なもので、ヨーロッパ中の大学において日本研究を促進するとともに、ヨーロッパの大学や研究機関による日本関連研究プログラムの構築を支援することでした。
1975年に国際交流基金から授与された国際交流奨励賞は、設立されたばかりの欧州日本研究協会にとって素晴らしい契機となりました。奨励賞の受賞により、 EAJS は日本とヨーロッパの両方で高い知名度を得ることができました。また、これが日本研究におけるヨーロッパ コミュニティ形成への努力を後押しし、 EAJS を世界の日本研究協会の地図の中にしっかりと位置づけてくれました。したがって、国際交流基金による評価と国際交流奨励賞は、欧州日本研究協会 に大きな推進力を与え、 EAJS が、例えば米国内の日本関連研究コミュニティなどとつながりを確立するのにおおいに役立ったと言えます。
その後数十年の間に、国際交流基金の貴重な支援のおかげもあり、欧州日本研究協会は日本研究を専門とする世界最大の学術団体へと成長しました。今日、EAJSには54か国から1400名以上の会員が参加しています。EAJSの国際学術会議は3年ごとにヨーロッパの大学で開催され、ヨーロッパ全土から、また日本研究のあらゆる分野から、常に1000人以上の参加者を集めています。会議では、言語学や文学から、歴史、芸術、社会科学、経済学、法学に至るまで、日本に関連する幅広い学問分野やテーマが扱われます。
欧州日本研究協会は、国際交流基金が学術会議やワークショップといったEAJSの活動を長期にわたり支援してくださっているのに加え、組織的な支援もいただいていることに深く感謝しています。EAJSはまた、特に日本研究がまだ成長中の領域において、国際交流基金がヨーロッパでの日本研究に多大な支援をしてくださっていることに謝意を表します。東京の国際交流基金本部やブダペスト、ケルン、ロンドン、マドリード、パリ、ローマにあるヨーロッパ地域の各事務所による強力な支援がなかったら、ヨーロッパにおける日本研究はこれほど盛んな研究と教育の分野にはならなかったでしょう。国際交流基金は、日本研究の新しいプログラムや学術会議、ワークショップに資金を援助するとともに、新たなプログラムの活性化や個々のキャリア支援に力を注いでおり、ヨーロッパとその他の地域の日本研究にとって切実に必要とされている強力な資源を提供しています。国際交流基金賞と国際交流奨励賞は、この分野における個人や機関の功績に光を当てるとともに、日本とヨーロッパの間に確立された強力なネットワークと協力関係を可視化するものと言えます。こうしたネットワークは、政治的、経済的、文化的に高い価値をもつものであり、特に危機の際には尚更です。
あらためて、私たちは国際交流基金賞50周年記念に際し、心からのお祝いを申し上げるとともに、今後も国際交流基金がその極めて重要な仕事を未来に向け継続されることを祈念いたします!
EAJS評議会を代表して
欧州日本研究協会
会長 アンドレアス・ニーハウス
前会長 ヴェレナ・ブレヒンガー・タルコット
(原文 英語)