2019年度国際交流基金地球市民賞 受賞団体

多様な文化の共生の推進

2019年度 受賞

四日市市立西笹川中学校多文化共生サークル

三重県四日市市

代表者
小林 正人
設立年
2015年
ウェブサイト
http://www.yokkaichi.ed.jp/~nisisasa/cms2/htdocs/?page_id=48
四日市市立西笹川中学校多文化共生サークルの写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

授賞理由

中学生が主体となって地域の活動に参加し、多文化共生のまちづくりに貢献

西笹川中学校は外国人が多く暮らす四日市市笹川地区にある唯一の中学校で、外国にルーツを持つ生徒が 3 割を占めています。
長年にわたる試行錯誤の中から、「多文化共生の鍵は若者にある」と考えた大人たちの呼びかけに応じ発足した「多文化共生サークル」は中学生が主体となって防災行事や夏祭り、文化祭等、地域のイベントに密接に関わりながら、多文化共生のまちづくりに参画しています。
中学生による地域活動は、地域への愛着がわいた生徒たちが卒業後もサークルを立ち上げたり、まちの行事に参加したりする等、外国人・日本人の垣根を越えた顔の見える関係づくりに貢献しています。
こうした取り組みはこれから外国人住民の増加が見込まれる他地域の参考となると考え、本賞を授与します。

受賞団体活動紹介

西笹川中学校多文化共生サークルは5年前(2014年度)に多文化共生や地域貢献について考える自由加入の活動としてスタートしました。現在は15名が参加しています。人口減少、少子高齢化、多国籍多言語化等、地域に顕在化する課題に対して学校や学年という大きな枠組みの外で、主体的に参加するための組織です。四日市市市民文化部多文化共生推進室多文化共生サロンが主催する地域づくりへの理解と地域活動への参画について学ぶ「ジュニアサポーター養成講座」と連携しています。
本校区は平成22年(2010年)度より四日市市の多文化共生モデル地区に指定されています。笹川地区の取り組みの成果を、四日市市における多文化共生の施策として、全市的に普及させることを目的としており、本校区の取り組みが多文化共生の嚆矢となることが期待されています。
多文化共生サークルでは、主に地域との関わりの中で多文化共生啓発に取り組んでいます。8月の地域住民が参加する「笹川ふれあい夏まつり」では3年前からヨーヨー釣りのブースを立ち上げました。日本に古くからある夜店を知ってもらうとともに、数少ない年少者向けの店として好評を得ています。9月には地域・防災団体・多文化共生推進室が連携した行事「防災セミナー」にスタッフとして参加し、その中で「防災迷路」や「非常時持ち出し品クイズ」等を企画運営しました。この活動は中学生の地域活動への参加による地域活性化を目的とした「ジュニアサポーター」認定の養成講座も兼ねています。他には、6月に全校行事として、多文化共生やキャリアについて考える「パネルディスカッション」の運営及びパネラー、学校内で様々な国の料理を調理・実食する「国際クッキング」、サークルのPR(中学校文化祭、地域文化祭、多文化共生サロン発表会)等も実施しています。最近では、本サークルのOBが地域行事に参加する姿もみられ、継続的な地域貢献につながっています。

受賞の言葉

この度は、2019年度の国際交流基金地球市民賞に選んでいただき誠にありがとうございます。
四日市市立西笹川中学校多文化共生サークルは設立5年目という若い団体です。外国人集住・少子高齢化が進むこの地域で、中学校として何ができるのかを考え、試行錯誤を経て「既存の部活動・生徒会とは違う自主的な活動」である本サークルが生まれました。私どもがこのような喜びを得ることができましたのは、この活動の発起人である小林誠前校長はじめ、諸先輩方の絶え間ない努力と地域の方々の支えやご指導に恵まれたおかげです。心から感謝しております。
今後も地域社会と多文化共生のために尽力していきます。


市民連携・国際相互理解の推進

2019年度 受賞

特定非営利活動法人 ハート・オブ・ゴールド

岡山県岡山市

代表者
有森 裕子
設立年
1998年
ウェブサイト
https://www.hofg.org
ソーシャルメディア
https://www.facebook.com/heartsofgold.japan/
https://twitter.com/NPOHEARTSofGOLD
ハート・オブ・ゴールドの写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

授賞理由

「心身ともに健全な育成」―対等な交流と多様な連携に基づき協働を実現

ハート・オブ・ゴールドは、1996年12月にカンボジアで開催された国際ハーフマラソンの運営に関わった人々によって設立されました。 その活動は、被災地や紛争地および開発途上国の子どもたち、障がい者、貧困層の人々に対して、体育教育支援や養護施設・青少年人材の育成を目的とした日本語教室の運営、県内各所と連携した交流等、「心身ともに健全な育成」という理念に基づき、大きく拡がっています。
こうした支援活動の多くが、支援する側とされる側の立場に格差が生じがちですが、同団体は、対等な交流を目指し、マラソン大会の運営や日本語教室の活動を現地に移譲する等、現地で、自立かつ持続的に活動ができるような枠組みを作っており、また官・学・民を大きく巻き込んで連携し協働を実現している点は、複雑な社会課題の解決方法として注目されるもので、支援活動に関わる全ての団体にとって一つの手本となると考え、本賞を授与します。

受賞団体活動紹介

ハート・オブ・ゴールドは1998年より、世界から地雷を無くし、そして地雷被災者支援を目的とした「アンコールワット国際ハーフマラソン」の運営支援を始めました。その中で、貧困から立ち上がるため、自分たちの力でカンボジアを復興するための人材育成を求める声が寄せられました。それらを受けて、現地と話し合いながら下記の「人づくり国際協力活動」に取り組んでいます。
1. スポーツを通じた開発支援:カンボジアの小・中学校における体育教育の普及活動
2. 子どもたちの自立支援:カンボジアでの養護施設運営と日本語教育の推進
3. 国際理解/交流事業:日本の子どもたちが世界を知って、実践する力を養う
ハート・オブ・ゴールドは20年間で、困難を乗り越え、現地の人と話し合いながら、お互いの違いを受け入れ信頼を深めて、これらの活動を現地に渡していくことを目標に進んでいます。

受賞の言葉

ハート・オブ・ゴールドが20年にわたって活動してきたミッションは、人材育成―人づくり―です。機会を与えられなかった人々が自ら起き上がって、自分で人生を変えていく力とチャンスを「教育」という手段でコツコツと進めてまいりました。人づくりは時間がかかります。でもハード支援と違って、ソフト支援は朽ちることはなく広がっていきます。
今回の名誉ある国際交流基金地球市民賞の受賞は、共に活動していただいた学校、企業、団体、個人の方々等に頂いた賞と感じ、共に育つ(共育)団体として今後も邁進して参ります。ありがとうございました。


文化・芸術による地域づくりの推進

2019年度 受賞

国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ実行委員会

沖縄県那覇市

代表者
下山 久
設立年
2013年
ウェブサイト
https://riccariccafesta.com
ソーシャルメディア
https://www.facebook.com/nuchigusuifest.jp/
https://twitter.com/riccariccafesta
国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ実行委員会の写真 クリックすると紹介動画にリンクします。

授賞理由

豊かな芸術体験は「命の薬」―地域と世界と人々をつなぐ国際児童演劇祭を運営

国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ実行委員会が沖縄で運営してきた同フェスティバル(通称「りっかりっか*フェスタ」)は、ファミリーのための国際舞台芸術フェスティバルです。
豊かな芸術体験は「ヌチグスイ=命の薬」との考えから、子どもたちや地元の人々が独創的で上質な世界中の舞台公演に気軽に触れる機会を長年提供してきました。
ノンバーバル(言葉を用いない)を中心とした作品によって子どもたちの感受性や想像力を育み、お互いの違いを受容し認め合うことを目指し、毎回10か国前後の約20作品を上演。いまや世界各国の演劇関係者が集うアジアの演劇フェスティバルネットワークのハブとなり、鑑賞者と劇場、劇団員、地元住民、商店街、ボランティア、海外からのインターン等、地域と世界と人々の心をつなぐ国際文化交流の好事例となっています。

受賞団体活動紹介

「りっかりっか*フェスタ(正式名称:国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ)」は、1994年初開催、2005年より毎年開催され、2019年で16回目を迎えた児童、青少年、ファミリーのための国際舞台芸術フェスティバルです。親子、家族、友達と感動体験を共有してほしい、国や文化は違うけれど舞台を通してお互いの違いを受け入れ、認め合い、交流することで平和な世界へ歩みをすすめてほしい、という理念を持ち世界各国から舞台作品を沖縄に呼び上演しています。
フェスタでは「劇場は命薬(ヌチグスイ)」をテーマとし、「児童青少年にこそ最も上質な芸術を提供する」というモットーのもと、0歳から大人までが一緒に豊かな芸術体験を共有し心の栄養剤(ヌチグスイ)を得られるようなプログラムづくりを行っています。
これまでのあゆみのなかで多くの国と交流を持ち、シンポジウムを開催する等、児童青少年演劇についての積極的な意見交換や情報交換を行ってきました。特に東アジア、東南アジアの児童青少年演劇関係者とのネットワークは世界から注目を集めており、スコットランド、デンマーク、ベルギー等の政府文化機関や国際児童青少年演劇協会との連携も進んでおります。
良質な作品が観れるという認知度が高まるにつれ、日本、アジア、世界から参加するカンパニーが増え、アーティストにとっては、お互いに刺激し合い、高め合える場となっております。年々、参加したいというアーティストや関係者、演劇学生等も増加してきております。また、国内外の大学からのインターン生やボランティアを受け入れ、国際的な文化芸術活動の担い手を育成する取り組みも進めています。

受賞の言葉

この度は、名誉ある賞を頂きまして、誠にありがとうございます。
この度、受賞できましたのは、日々応援して下さっている関係者の皆様、支えて下さっているスタッフの皆様、そして、フェスティバルを楽しみにしていて下さるお客様のおかげであると身に染みて感じております。
感謝の言葉を述べると尽きませんが、この賞を頂いた喜びをたくさんの方々と共有させていただき、感謝の気持ちを伝えさせていただきたいと思います。
そしてさらに、この賞に恥じぬようますます精進していきたいと、身の引き締まる思いで決意を固めております。

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