UNATTAINED LANDSCAPE 未完風景展 (アーティスト・キュレーター等紹介)

アーティスト紹介

小泉 明郎

1976年群馬県生まれ。横浜市在住。国際基督教大学卒業後、ロンドンのチェルシー・カレッジ・オヴ・アート・アンド・デザインで映像を学ぶ。激しい身振りを伴う自身のパフォーマンスや、俳優や一般人がプロットを演じる様子を収めた作品は扇情的で暴力性に満ち、権威主義や社会通念を痛烈に批判する一方、その裏に潜む脆弱性や諧謔を顕わにする。主な個展に「MAM Project 009:小泉明郎」(森美術館、2009年)、「Broken Hero, Beautiful Afternoon」(アート・スペース、 シドニー、2011年)、「Defect in Vision」(アネット・ゲリンク・ギャラリー、 アムステルダム、201年)、「Projects 99: Meiro Koizumi」(ニューヨーク近代美術館、2013年)など。

サイモン・フジワラ

1982年ロンドン生まれ。日本、イギリス、スペイン、アフリカで幼少期を過ごす。私的な人間関係、家族関係、政治、建築、歴史などにまつわる緻密なドラマを作り出すフジワラは、パフォーマンス、ヴィデオ、インスタレーションに短編小説を組み合わせて、伝記や「現実」の物語を探っている。
彼は、しばしば自分自身として、あるいは人類学者から官能小説家にいたるさまざまな人物に扮して作品に登場するが、その一方で、友人や家族、協力者を自分の創出したドラマに本人役で登場させ、彼らの人生を描くこともある。架空の人物と実在の人物、場所と出来事を結びつけながら、現実と幻想のあわいを探究することで、フジワラは、その差異自体こそが空想であることを明らかにする。

寺山 修司

1935年青森県弘前市生まれ。中学生の頃から短歌や俳句を作り、新聞や雑誌に投稿。早稲田大学在学中も詩歌に傾倒しながら、山田太一、大岡信、谷川俊太郎らと交流を深める。1955年、病気のため大学を中退。詩歌や随筆を収めた作品集を刊行するが、1959年頃からラジオやテレビドラマの脚本を手がけるようになる。1967年 には、横尾忠則、東由多加、九條映子らと「演劇実験室・天井桟敷」を結成。「青森県のせむし男」を皮切りに、「大山デブコの犯罪」「毛皮のマリー」などの  前衛演劇を次々に上演して話題を呼ぶ。また、自らの脚本による映画や実験映画も数多く手がけ、演劇とともに国内外で高い評価を得る。1983年、肝硬変により都内の病院で死去。享年47。

米田 知子

1965年兵庫県生まれ。ロンドンを拠点に活動。1991年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。記憶や歴史をテーマに、ジャーナリスティックな視点を交え意欲的に作品を発表。主な展覧会に「記憶と不確かさの彼方」(資生堂ギャラリー、2003年)、「ノン・セクトラディカル」(横浜美術館、2004年)、「雪解けのあとに」(シュウゴアーツ、2004年)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2007年)、「米田知子展―終わりは始まり」(原美術館、2008年)、「六本木クロッシング 2010展:芸術は可能か?」(森美術館、2010年)、Kuandu Biennale(台北、2010年)、キエフビエンナーレ(2012年)など。2013年7月20日(土)から東京都写真美術館にて個展予定。

マリナ・アブラモヴィッチ

ユーゴスラビア、ベオグラード生まれ。ニューヨーク在住。1970年代の初頭から、視覚芸術の一形態としてのパフォーマンスに先駆的に取り組み、きわめて重要な作品を手がける。アブラモヴィッチにとって身体は、主題でありメディアである。日常の何気ない行為を儀式化する作品で、自身の肉体と精神の限界に挑みながら、痛みや疲労、脅威に耐えて、感情や精神の変容を探究し続けている。

マウリッツィオ・カテラン&ピエルパオロ・フェラーリ

マウリッツイオ・カテランとピエルパオロ・フェラーリは、2010年に、写真雑誌『トイレットペーパー』を創刊。そこで用いられた写真は毎週のように世界中の美術雑誌に取り上げられ、『Vice』や『Hunger』の雑誌の特別号に登場している。また2012年5月には、ニューヨーク、チェルシー地区のハイライン公園そばの広告看板にもなった。同年、創刊号から第6号に掲載された写真に、テキストを組み合わせたアンソロジーを出版。同書は『ニューヨーク・タイムズ』紙の「写真集ベスト10」に選ばれた。現在、カテランとフェラーリのふたりは、本年6月の発行に向けて第8号に取り組んでいる(出版・配本:ダミアーニ出版社)。

ケレン・シター

テルアヴィヴ生まれ。ニューヨーク在住。シターは、実験的に物語を創りあげる手法で、社会の現実を描き出す映像作品やヴィデオ・インスタレーション、ドローイングなどの作品を制作している。彼女の映像作品では、サウンドや音楽が非常に重要な役割を果たし、登場人物の感情の変化に合わせて時に単調に時に情熱的にと映像に織り込まれていく。非線形的で何度も繰り返される筋立てを特徴とするその作品は、言葉による会話と伝統的なものの解釈が幾重にも重なりあうイメージで構成される。D.I.E.Now (Dance International Europe) 劇団を主宰し、ダンス、ヴィデオ、音楽から構成される舞台も手がける。

リクリット・ティラヴァ-ニャ

ニューヨーク、ベルリン、チェンマイを拠点として活動。90年代初頭から、ティラヴァーニャは新しい美の規範である双方向性について探求してきた。自ら料理して観客に振る舞い、美術館に録音スタジオを設置し、ギャラリー内に自分のアパートを再現して来訪者が自由に利用できるようにするなど、アートのための空間で日常的な行為を営むことのできる場を数多く提供してきた。
ティラヴァーニャは、観客が参加し、行動する状況を作り出す。観客の間で共有された経験は、作品を活性化し、作品に意味づけをし、その形を変えていく。

タシタ・ディーン

カンタベリー(英国)生まれ。ベルリン在住。ディーンの映像やドローイングは、きわめて独自性が高いことで知られる。近年のフィルムを用いたポートレート作品は、絵画や写真では決してとらえられないものを描き出すまさにフィルムそのものといえる。ディーンは過去を認めつつも、あらゆる学術的なアプローチとの関わりをもたない。そして、歴史、時間、場所、光の特性、フィルムそのものの本質を語る作品を手がけている。明晰かつ野心的なそうした作品は、瞬間のもつ真実、媒体としてのフィルム、そして個人の繊細な感受性に主眼を置いている。

奥 浩哉

東京在住。『週刊ヤングジャンプ』にて1992年から「変」~ 鈴木くんと佐藤くん ~ シリーズを連載開始。その後「HEN」、「01  ZERO  ONE」を発表。2000年より現在連載中の「GANTZ  - ガンツ -」の連載を開始。同作は2004年にはTVアニメ化、2011年には実写映画化され、シリーズ累計2000万部を売り上げる大ヒットとなった。

ジム・オルーク

シカゴ生まれ。東京在住。マース・カニンハム舞踏団の音楽を担当するなど、現代音楽とポップミュージックの橋渡し的な存在となる一方で、ソニック・ユースのメンバーとしても活動し、数枚のアルバムに参加、より広範な支持を得る。2004年には、「Wilco/A ghost is born」のプロデューサーとして、グラミー賞を受賞。現代アメリカ音楽シーンを代表する一人として、高く評価されている。
日本文化への造詣も深く、坂田明、ボアダムスとのコラボレーションや、若松孝二映画監督の作品の評論などさまざまな活動を 行っている。

デイヴィッド・ピース

ウェスト・ヨークシャー(英国)生まれ。東京在住。作品には、イギリスの公共放送局チャンネル 4で三部作のシリーズとして再構成されて2009年に放映された 「Red Riding Quartet」(ヨークシャー四部作; 1974, 1977, 1980, 1983)、ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞を受賞した「GB84」、「The Damned Utd」(映画版は 2009年公開)などがある。高い評価を受けている東京三部作は、第1部「Tokyo  Year  Zero」が 2007年、第2部「占領都市  TOKYO  YEAR  ZERO  II  」が 2009年に発表されている。

キュレーター紹介

ディディエ・フォスティノ

パリ在住の建築家・アーティスト。身体と空間の密接な関係性についての作品を手がける。虚構性、批判的視点、規範に縛られない自由な姿勢や、個人や集団が新たな体験ができるようにすることを特徴とする彼のプロジェクトの一部は、ニューヨーク近代美術館、グルベンキアン美術館、ポンピドゥー・センターなど主要美術館に所蔵されている。2009年にボルドーで開催された新たな都市型アートイベント EVENTO のキュレーターを務めた。現在は AA スクールで教鞭をとるかたわら、フランス及び国外で複数の建築プロジェクトを手がけている。

三宅 暁子

現代美術センターCCA北九州共同創設およびプログラム・ディレクター。1997年CCA開設以来、80以上のプロジェクトを手がけるともに、これまで70冊以上におよぶCCAアーティスツ・ブック・シリーズおよび実験音楽関連書籍等を企画・編集・出版する。2001年から継続するアート・科学・人文科学を 横断しつつ世界各地で開催する国際会議『ブリッジ・ザ・ギャップ?』を企画構成。「横浜トリエンナーレ2008」キュレーターの一人。

アンジェラ・ヴェッテーゼ

ヴェネチア建築大学の大学院ヴィジュアル・アーツ学科長を務め、ミラノのボッコーニ大学でも教鞭を執る。2002年からベヴィラクア・ラ・マサ財団理事長。コモのラッティ財団キュレーター(1995年~2004年)、モデナ市立美術館館長(2005年~2009年)を歴任。第53回ヴェネチア・ビエンナーレでは審査委員長を務めた。著書や評論も多数出版している。

林 寿美

インディペンデント・キュレーター。1989年から2012年まで、DIC 川村記念美術館(千葉県)に勤務。同館では、「なぜ、これがアートなの?」(1998年)、「眠り/夢/覚醒」(2002年)、「ロバート・ライマン」(2004年)、「ゲルハルト・リヒター」(2005年)、「マーク・ロスコ」(2009年)などを企画。「第14回  アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ」では 日本コミッショナーを務め、現在は国内外のアート・プロジェクトに携わる。

難波 祐子

2006年~11年、東京都現代美術館学芸員を経て、展覧会やワークショップの企画運営を行う株式会社I plus Nを設立。著書に『現代美術キュレーターという仕事』(青弓社)など。企画した主な展覧会に「Interweaving Cultures (文化を織り成す)」(ジム・トンプソン・アートセンター、バンコク、2004年)、「こどものにわ」(東京都現代美術館、2010年)、「呼吸する環礁:モルディブ—日本現代美術展」(モルディブ国立美術館、マレ/スパイラル、東京へ巡回、2012年)

展覧会デザイン

ビュロー・デ・メザルシテクチュール

2002年にディディエ・フォスティノとパスカル・マゾワイエールによって設立され、さまざまな分野・規模の建築を手がける。インスタレーションや実験、舞台装置、感覚に影響を及ぼし空間の利用法を問い直す装置など、活動は多岐にわたる。

カタログ&グラフィック・デザイン

ザック・キース/ザック・グループ

ロンドンを拠点に活動するグラフィック・デザイナー。2005年にザック・グループを設立。2006年からロンドンのアーキテクチュアル・アソシエーション (AA) でアート・ディレクターを務めるとともに、2008年に AA 内にベッドフォードプレスを共同設立。デザイン・オフィスであるザック・グループは、美術や建築の広報、ロゴ、展覧会デザイン、アートディレクションなどを専門とする。さまざまな形のコラボレーションを積極的に展開しつつ、グラフィック・デザインと出版・調査・建築等が統合されるプロジェクトに携わっている。

[お問い合わせ]

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)
文化事業部 欧州・中東・アフリカチーム
担当: 森 /小山田 E-mail

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