日本と海外のアーティストのコラボレーションを支援
2023年度 舞台芸術国際共同制作

2023年は公募により以下の団体からの申請案件を採択しました。

ATAK
渋谷慶一郎×ジュスティーヌ・エマール×アパッシオナート

企画名:渋谷慶一郎 アンドロイド・オペラ®『MIRROR』

音楽家 渋谷慶一郎氏の写真
渋谷慶一郎
(c)Ayaka Endo
ビジュアルアーティスト ジュスティーヌ・エマール氏の写真
ジュスティーヌ・エマール
(c)Shin Suzuki
オーケストラ アパッシオナートの写真
アパッシオナート
(c)Rémi Rière

アンドロイド・オペラ®は、先鋭的な電子音楽やピアノソロ、映画音楽ほかさまざまなジャンルを横断しながら国内外で活動を広げる音楽家・渋谷慶一郎がコンセプトと作曲を務めるアンドロイドの歌手が中心となるオペラ作品。本作『MIRROR』(パリ・シャトレ座公演)は、2022年ドバイ国際博覧会で発表したアンドロイドとオーケストラ、そして1200年の歴史を誇る仏教音楽・声明、電子音によるコラボレーションをもとに、ドバイ公演時よりさらに進化したアンドロイド「オルタ4」と、現地オーケストラ「アパッシオナート」そしてビジュアルアーティスト・ジュスティーヌ・エマールを迎え、新たな演出・新曲を加えた国際共同制作作品となっている。
アンドロイドの進歩は目覚ましく、渋谷氏の曲に合わせて歌声を披露するほか、声明に呼応して歌う即興場面もあり、またその歌詞は今世界中で話題の対話型AIサービス「Chat GPT」に声明のテクストを解釈させている。その他にも、フランス人小説家のミシェル・ウエルベックによる著作『ある島の可能性』や、オーストリア人の哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの遺作『確実性の問題』の抜粋を用いたテクストもアンドロイドによって歌われる。
さらに舞台上では、エマール氏が作り出す映像やスクリーンに投影されるアンドロイドのリアルタイムプロジェクション、照明が、響く音楽と同期され劇場全体を包み込んでいく。 最先端テクノロジーと伝統的な芸術様式の表現を通じ、人間とテクノロジーの新しい芸術の調和モデルを探求する―。

<成果発表>2023年6月21日~23日 会場:シャトレ座(フランス・パリ)
※詳細はATAK(アタック・トーキョー)のホームページまたはシャトレ座のホームページをご確認ください。

場所と物語
石神夏希×ナッタモン・プレームサムラン(タイ)

企画名:パラレル・ノーマリティーズ『Whispering Blue ー 青い車の後部座席から聞こえた君の声』

劇作家 石神夏希氏の写真
石神夏希
撮影:黒羽政士
劇作家・作家 ナッタモン・プレームサムラン氏の写真
ナッタモン・プレームサムラン
撮影:Rinrada Pornsombutsatien

パラレル・ノーマリティーズは、都市やコミュニティを素材にサイトスペシフィックな演劇やアートプロジェクトを手がける劇作家・石神夏希が京都で2017年に制作した演劇 『青に会う』プロトタイプ版をもとに、石神と劇作家・作家のナッタモン・プレームサムランが翻案版を共同制作した作品。
タイのルーイ県ダーンサーイ郡及び静岡県にて日タイのアーティストチームが共同で調査・滞在制作を行い、成果発表はダーンサーイ郡で7月に開催されるルーイアートフェス2023にて上演時間約1週間の作品としてノンストップ上演される。観客は前日までに公開される戯曲を読み、特定の日時と場所に居合わせることで、上演される「日常」を目撃する。また本作ではその創作プロセスを通じ、演劇の手法によって地域のナラティブに力を与え、それぞれの住民が自身の暮らす土地で「ふつう」または「日常」と見なされることの魅力・価値を再発見していく。

<成果発表>2023年7月17日~23日 会場:ダーンサーイ郡各地(タイ・ルーイ県)
※詳細はPrayoon for Artのフェイスブックページをご確認ください。

京都国際舞台芸術祭実行委員会
荒木優光、塚原悠也×ウィチャヤ・アータマート(タイ)

企画名:『ジャグル&ハイド(演出家を探すなんだかわからない7つのモノたち)』

荒木優光氏の写真
荒木優光
Photo by Kai Maetani
塚原悠也氏の写真
塚原悠也
Photo by Lieko Shiga
ウィチャヤ・アータマート氏の写真
ウィチャヤ・アータマート
Photo by Bea Borgers

タイを拠点とする演出家、ウィチャヤ・アータマートがメンバーである演劇カンパニーFor What Theatreとサウンドデザイナーの荒木優光、ドラマトゥルクとしてパフォーマンス集団contact Gonzoの塚原悠也が共同制作で行う演劇プロジェクト。
これまでの作品においても、アータマートは政治と個の生い立ち、表現との関わりを問うてきた。タイの政治史における事件を参照する中で、決して表現の自由が保障されていない創作環境を反映して、さまざまな出来事や人物などを示すメタファーとして小道具が多用されてきた。本作では俳優は出演せず、それらの小道具たちが登場キャラクターとなり、演劇作品における権威的存在である演出家、つまり本作においてはアータマートの権力に対して反旗を翻す、というストーリー。
遊び心がありながら転覆的な演出は、タイ国家のみならず、知らず知らずのうちに大きな権威構造に飲み込まれる自己・他者のありよう、そして過酷で不条理な状況を問い、乗り越える問題提起の方法へのアプローチを示唆する。

<成果発表>2023年9月30日、10月1日 会場:京都芸術センター 講堂
※詳細はKYOTO EXPERIMENTウェブサイトをご確認ください。

現代人形劇センター
白神ももこ×ラタナコーン・インシシェンマイ(ラオス)

企画名:ラオス×日本 ろう者と聴者が協同する『アジアのオブジェクトシアター』

振付家・演出家 白神ももこ氏の写真
白神ももこ
(c)北川姉妹
劇団カオニャオの主宰者 ラタナコーン・インシシェンマイ氏の写真
ラタナコーン・インシシェンマイ

ろう者と聴者が協働する専門人形劇団である劇団カオニャオ(ラオス)とデフ・パペットシアター・ひとみ(日本)に、柔軟な発想と構成で新しい空間を生み出す振付家・演出家の白神ももこ(モモンガコンプレックス主宰・日本)が加わり、人形とモノと身体による新しい創造を目指す国際共同制作。
両劇団は2018年から互いの創作背景を共有する共同ワークショップを重ね、表現の可能性を広げる模索を続けてきている。白神は劇団カオニャオを主宰するラタナコーン・インシシェンマイと2021年に対談し、また2022年にはデフ・パペットシアター・ひとみの公演を演出したことをきっかけに、今回の共同制作に至る。アニミズム的精神世界を色濃く残すラオスの精神文化を、現代社会に眠る普遍的なものとして捉え、協働によって新たな世界を創造する。

<成果発表>2023年11月26日 会場:神楽坂セッションハウス
※詳細は公益財団法人現代人形劇センターのホームぺージをご確認ください。

[お問い合わせ]

国際交流基金(JF
文化事業部舞台芸術チーム
電話:03-5369-6063
メール:pa@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角に変更してください。)

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