2025年度 舞台芸術国際共同制作
国境を越えた創造の現場から
2025年は公募により以下の団体からの申請案件を採択しました。
KYOTO EXPERIMENT
温又柔×Jang-Chi× ネス・ロケ(フィリピン)× 李銘宸(台湾)
企画名:『クルージング:旅する舌たち』

日本、フィリピン、台湾を拠点とする4人のアーティストが「食」をテーマに、文化やアイデンティティの多層性、混交性に着目してリサーチと創作を行うプロジェクト。台北アーツフェスティバルのリサーチプログラム「Cruising」から展開される本プロジェクトの参加アーティストは、台湾生まれで幼少より日本に暮らす小説家の温又柔、アーティスト・コレクティブ「オル太」メンバーの Jang-Chi、フィリピン出身で俳優・ドラマトゥルクであるネス・ロケ、台北拠点でパフォーマンスとビジュアル・アートを横断した活動を行う李銘宸(リー・ミンチェン)の4名。京都と台北で重ねたリサーチをもとにコレクティブなクリエーションに取り組み、記憶と食べもののつながりから言語の広がりまでを旅するパフォーマンス作品を上演する。
<成果発表>
2025年9月に台北、10月に京都での初演を予定
※詳細は後日発表
SandD
小㞍健太×ハネス・マイヤー(ドイツ)
企画名:『Engawa, The Self in Season』
小㞍健太
(c)momoko japan
ハネス・マイヤー
ダンサー・振付家の小㞍健太と、ドイツを拠点に活動する建築家・アーティストのハネス・マイヤーによる協働プロジェクト。新たな視点をダンス作品へ導くために、建築、日本庭園、都市デザインなど多分野の専門家と連携し、2023年より「縁側」という日本独自の空間概念を手がかりに、上演環境におけるパフォーマーと観客の新たな相互関係を探求している。 本事業では、これまでのリサーチと対話の蓄積をもとに、ダンス作品を創作。協働リサーチの集大成として「舞台」を最終プロセスの場と位置づけ、愛知県豊橋市と神奈川県横浜市の二都市で上演を行う。 季節のうつろいと私たちの暮らしをつなぐ縁側という視点から、環境と共存する身体の在り方を問い直し、建築と身体、内と外、そのあわいに生まれる余白から新たな想像と感覚をひらいていくことを目指す。
<成果発表>
豊橋公演:2025年11月29日、30日(会場:穂の国とよはし芸術劇場PLAT)
横浜公演:2025年12月5日、6日(会場:横浜赤レンガ倉庫1号館)
※詳細はSandD | Kenta Kojiri ウェブサイトをご確認ください。
みんなのしるし
みんなのしるし×Omah Gamelan(インドネシア) ×陳 光輝、陳 世興(台湾)
企画名:『髪長姫 The Thread of Heaven: The Legend of Kaminaga-hime』
みんなのしるし
左:Omah Gamelan 中:陳 光輝 右:陳 世興
日本・インドネシア・台湾など、自然災害と共生するアジアの地が文化で繋がり、未来への創造力を育む国際共同制作。2021年に始動した三陸とアジアを結ぶ文化交流事業「ふえLABO」を土台とし、アジアの民俗芸能に欠かせない“竹笛”を共通言語として、三陸、ジョグジャカルタ、台北の芸能団体が協働で新作舞台『髪長姫』を創作する。 三陸に伝わる民話に、災害、海洋ごみ、少子化、そして継承の危機に瀕する地域文化へのまなざしと未来への祈りを重ね、伝統と現代を往還する新たな舞台芸術の地平をひらく。創作にあたっては、三陸国際芸術祭で培った芸能交流をもとに、オンラインと現地での対話を重ね、各地の芸能・音楽・舞踊が融合する作品として結実。そのプロセスや公演は映像としてまとめられ、国内外へ発信される。文化交流の活性化、被災地間の連携、そして次世代の芸能継承者育成へとつながる取り組みである。
<成果発表>
ショーケース公演:2025年10月12日(会場:陸前高田市文化会館 奇跡の一本松ホール)
本公演:2026年2月28日、3月1日(会場:八戸市南郷文化ホール)
※詳細は国際共同制作 〜ふえLABO〜 民俗芸能舞台作品「髪長姫」決定 - 三陸まちづくりARTをご確認ください。
わをん企画
た組×四把椅子劇團(台湾)
企画名:『どうも不安なようす』
加藤拓也
(c)浦田大作
四把椅子劇團
日本の劇作家・演出家の加藤拓也が主宰するた組と、台湾のFour Chairs Theatre Company(四把椅子劇團)による国際共同制作プロジェクト。2023年に台湾での加藤作品上演を契機に始動し、2025年から2026年にかけて複数回のワークショップや滞在制作を経て、2026年4月に台北での本公演実施を予定している。創作テーマは「呪い(Making the Curse)」で、異なる言語・文化を持つ俳優たちが共同でフィールドワークや創作を行い、新たな演劇表現を模索。また両国での単なる上演に留まらず、演出法や表現技術の相互共有、将来的な東アジア圏ツアー展開も視野に入れた持続可能な国際交流のモデルケースを目指している。
<成果発表>
2026年4月予定
※詳細は後日発表
鈴木ユキオ×Stopgap Dance Company 国際共同制作実行委員会
鈴木ユキオ×Stopgap Dance Company(英国)
企画名:『Beyond(仮)』
鈴木ユキオ
(c)Yoshikazu Inoue
Stopgap Dance Company
(c)Chris Parkes
国内外で活躍するコンテンポラリーダンサー・振付家の鈴木ユキオが、世界的にも著名なイギリスのダンスカンパニー、Stopgap Dance Company(ストップギャップダンスカンパニー)のメンバーと協働し新作を発表。ハンディキャップの英国人ダンサーとYukio Suzuki Project の日本人ダンサーとのコラボレーション作品となる。Stopgapは健常者と障害者が障害のあるなしを超えて一緒に舞台を創造し表現するという価値観をもとに、イギリスで設立された最初のインクルーシブカンパニー。そうした先駆的ダンスカンパニーと、日本で生まれた身体表現である舞踏出身の鈴木が、互いに刺激し合いながら多様な身体性の豊かさとダンスの新たな可能性を追求する。この事業では創作過程を重視するワークインプログレス発表公演を行い、観客との意見交換や日本のインクルーシブカンパニーMi-Mi-Biとの競演、ワークショップやインクルーシブダンス指導者へのレクチャーなど、広くこの分野の普及を促進する交流プログラムを実施する。
<成果発表>
ワークインプログレス公演:
2025年9月2日(会場:英国ギルフォード・トリニティセンター)
2025年9月14日、15日(会場:ArtTheater dB KOBE)
本公演:詳細は後日発表
鳥の劇場
鳥の劇場×トム・ポウ&ガロウェイアグリーメント(英国)
企画名:『TOWA MURA』
鳥の劇場
トム・ポウ&ガロウェイアグリーメント
(c)Kim Ayres
日本の人口最小県鳥取で演劇活動をする鳥の劇場の演出家・俳優と、英国スコットランドの人口流出に悩む地域ガロウェイを拠点に活動する詩人・楽団・俳優が、コミュニティの消失を主題にした新作音楽劇を共同して作る。台本作者は欧州各地の人口衰退地域をたずね、消えゆく村の物語を集めてきた老詩人のトム・ポウ。鳥の劇場が毎年開催する国際演劇祭・鳥の演劇祭での上演をきっかけに、鳥取の過疎村を訪ね、その取材を踏まえて今回の台本が生まれる。低成長の人口減少社会では、小さな村の消滅は必ず起きてしまうこと。消えるのは、そこに今暮らす何人かの暮らしだけではない。過去そこに生きたすべての人たちの積み上げた蓄積や思いや願いも失われる。それに想いを馳せる創作はただの郷愁ではない。人間の良き未来を考える普遍的営みともなるはずである。2025年夏に立ち上げの稽古を行い、遠隔で準備を重ね、2026年夏に英国と日本で上演する。
<成果発表>
2026年夏 スコットランドツアー
2026年9月 鳥の演劇祭にて2回公演(予定)
※詳細は後日発表
[お問い合わせ]
国際交流基金(JF)
文化事業部舞台芸術チーム
Eメール:pa@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角に変更してください。)