日本・シンガポール外交関係樹立60周年記念 黒川能シンガポール公演

左:黒川能『羽衣』で天人が天冠をつけて舞う場面、右:『猩々』で猩々が扇を手に舞う場面

国際交流基金(JF)は、日本・シンガポール外交関係樹立60周年を記念し、シンガポールの国立舞台芸術施設「エスプラネードーシアターズ・オン・ザ・ベイ」が主催するフェスティバル「A Tapestry of Sacred Music」において、日本の重要無形民俗文化財である山形県鶴岡市の黒川能の公演を行います。世界各地の神事芸能や宗教音楽が集う本フェスティバルにおいて、黒川能が注目される公演の一つになるであろう、またとない機会です。

また、公演に加え、ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)においてレクチャー・デモンストレーションも実施。能をはじめとする日本の舞台芸術に造詣の深いシンガポール国立大学(NUS)日本研究学科長のリム・ベンチュー氏を講師に迎え、実演を交えながら、地域コミュニティに根ざした「神事能」としての精神性や様式美を紐解きます。
500年以上にわたり人々の信仰心と能楽への愛着によって守り継がれてきた黒川能の魅力を通して、両国の文化交流がさらに深まることに期待します。

日本・シンガポール外交関係樹立60周年のロゴ

本事業は、日本・シンガポール外交関係樹立60周年(SJ60)記念認定事業であり日本と ASEAN の次世代の交流促進と人材育成を目的とする包括的な人的交流事業「次世代共創パートナーシップ-文化の WA2.0-」の一環として行います。

【黒川能シンガポール公演】

概要
開催日程 2026年4月30日(木曜日)22時15分開演 エスプラネード コンコース 演目「猩々」
2026年5月1日(金曜日)20時45分開演 エスプラネード コンサートホール 演目「羽衣」
(すべて現地時間 公演前にトークイベントを実施予定です)
チケット 入場無料(詳細は「A Tapestry of Sacred Music」の公式ウェブサイトでお知らせします)
主催 エスプラネードーシアターズ・オン・ザ・ベイ
共催 国際交流基金(JF)
協力 公益財団法人黒川能保存会
後援 在シンガポール日本国大使館

【レクチャー・デモンストレーション】

概要
開催日程 2026年4月29日(水曜日)
会場 ジャパン・クリエイティブ・センター (JCC)
出演者 黒川能 上座
演目 仕舞「難波」
講師 リム・ベンチュー(シンガポール国立大学(NUS)日本研究学科長)
主催 ジャパン・クリエイティブ・センター
共催 国際交流基金(JF)
協力 公益財団法人黒川能保存会

黒川能について

黒川能『羽衣』で天人が舞う蠟燭能の場面

黒川能は、山形県鶴岡市黒川にある春日神社の「神事能」として、氏子たちによって継承されてきた。この能楽は、世阿弥が大成した後の猿楽能の流れをくみ、現在の五流 (観世・宝生・金春・金剛・喜多) と同糸であるが、いずれの流儀にも属さずに独自の伝承を続け、演式、演目などに古式を残していると言われている。

黒川にどのようにして能楽が入ってきたのか、まだ究明されていないが、江戸時代のはじめには、すでに能太夫がいたことや能楽の維持に難渋をきたしていることが記録され、また、室町時代に織られた能装束 (三領、国重要文化財)が残っていることなどから、少なくとも室町後期1500年には定着したものと考えられている。

約240戸の春日神社の氏子が、上座と下座の二つの座に分かれて能座を形成しており、それぞれの座は能太夫でもある座長を中心に、能役者は舞方、囃子方、狂言方を含め、子どもから長老まで約150人、能面250点、能装束500点以上、演目数は能500番以上、狂言50番と、民俗芸能としては非常に大きな規模となっている。

500年以上にわたり、黒川の人々の信仰心と能楽への愛着によって、幾多の困難をも乗り越えながら今日まで守り伝えられ、昭和51年5月4日には、 国の重要無形民俗文化財に指定された。
現在は、各祭礼において奉仕、奉納上演の他、黒川能保存会を通し依頼を受けて、海外や全国各地で公演も行っている。

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