Publisher Spotlight 出版社・編集者インタビューシリーズ

日本の図書を海外の読者に届ける出版社とその編集者たち。彼らは翻訳者と同様、本を通じた異文化交流に欠かせない存在です。国際交流基金(JF)では、「翻訳出版助成プログラム」のフォローアップの一環として、本プログラムを通じて日本の図書を翻訳出版した海外の出版社の中から、6か国の出版社にインタビューをしました。出版された図書についての読者からの反響や、作品選びの過程、翻訳出版をする際の課題、今後紹介したい日本の図書について、お話を伺いました。

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アンヘル・ボジャッセン(Angel Bojadsen
エディトリアル・ディレクター
エスタソン・リベルダーデ出版(Editora Estação Liberdade Ltda/ ブラジル

1989年にサンパウロの日本人街であるリベルダーデ地区に設立されて以来、世界の古典文学、現代小説、東アジアの文学、文化、哲学、歴史、建築など幅広い分野の本を翻訳して刊行してきた。設立当初から日系ブラジル人のコミュニティや日系の作家とのつながりが深く、ブラジルの中心的な日本文学出版社に成長。2022年4月現在、78の日本作品のポルトガル語版を出版している。

エスタソン・リベルダーデ出版【PDF:2.0MB】
ピーター・ブラックストックの写真

ピーター・ブラックストック(Peter Blackstock
出版副主幹
グローブ・アトランティック出版(Grove/Atlantic, Inc./ 米国

1947年設立のグローブ・プレス社と1917年設立のアトランティック・マンスリー・プレス社が1993年に合併して誕生。ニューヨークを拠点に、世界のあらゆる言語で書かれた新しい文芸小説、ノンフィクション、詩、演劇の作品を出版してきた。日本文学では大江健三郎の充実したコレクションがあるほか、三島由紀夫、ドナルド・キーン、吉本ばなな、村田沙耶香、桐野夏生などの作品を継続して手掛けている。JFは2000年に、日本の出版事情の視察及び関係者との意見交換のために海外の編集者たちを招へいした事業において、同社の出版主幹Morgan Entrekin氏を招へい。

グローブ・アトランティック出版【PDF:1.8MB】
アビジット・グプタの写真

アビジット・グプタ(Abhijit Gupta
ディレクター
ジャダフプル大学出版(Jadavpur University Press/インド

コルカタにあるジャダフプル大学の出版部門として、学術書や研究論文、翻訳書の出版、稀覯書(きこうしょ)の復刻、大学が所蔵する既刊書籍の復刊などを行っている。同社最初の翻訳出版は、イタリアの大学と連携して2011年に刊行した、マキャベリ『君主論』とレオナルド・ダ・ヴィンチ手稿の初のベンガル語訳。なお、同大学教員でもある翻訳者のアビジット・ムカジー氏は、日本文学のベンガル語への翻訳に対する貢献により、2017年に西ベンガル・バングラ・アカミーから賞を受けている。

ジャダフプル大学出版【PDF:401KB】
グエン・スアン・ミンの写真

グエン・スアン・ミン(Nguyen Xuan Minh
ライツ・マネジャー
ニャ・ナム出版(Nha Nam Publishing and Communications JSC/ベトナム

2005年にハノイで設立。同年、ベトナム戦争で亡くなった27歳の女性が著した『トゥイーの日記』(ダン・トゥイー・チャム著)を刊行して50万部を売り上げ、ベトナムの出版記録を塗り替える社会現象となった。設立当初から日本を含む海外の文学の翻訳出版を手掛け、とくに村上春樹、吉本ばななの作品はほぼ網羅している。なお、近年は出版点数の25%をベトナム語作品が占めており、文学以外に漫画や政治・経済などの図書も刊行している。

ニャ・ナム出版【PDF:1.6MB】
ヴァシリカ・タファの写真

ヴァシリカ・タファ(Vasilika Tafa
エグゼクティブ・ディレクター
オンブラ出版(OMBRA GVG Publishing House/アルバニア

1998年に設立されたアルバニアを代表する出版社の1つ。世界中の古典と現代作品から厳選されたタイトルを、クオリティの高い編集・デザインで刊行し、2010年には同国観光・文化・青年・スポーツ省及び国立図書館による「Lumo Skëndo」賞受賞。他多くの文化賞を受けている。日本文学では2015年の『水死』(大江健三郎著)の刊行を皮切りに、明治期から現代までの作品の翻訳出版に特に意欲的に取り組んでいる。

オンブラ出版【PDF:1.8MB】
ユスティナ・カルピンスカの写真

ユスティナ・カルピンスカ(Justyna Karpinska
海外版権担当
ドヴィエ・ショストラ出版(Wydawnictwo Dwie Siostry/ ポーランド

2006年から「遊びを通しての教育」をスローガンとして、幼児からティーンエイジャーまでを対象とする本を出版。ポーランドの古典児童書の復刊から、世界各国の新作絵本の翻訳出版まで、最高レベルのテキストとグラフィックを融合させた本作りで、国内外から高い評価を得ている。国際児童図書評議会(IBBY)児童図書賞、ボローニャ国際児童図書賞など国内外で多くの賞を受賞。

ドヴィエ・ショストラ出版【PDF:1.9MB】

※敬称略

[お問い合わせ]

国際交流基金(JF
文化事業部 企画調整・文芸チーム
電話:03-5369-6060

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