バーレーン(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数※
2 2 110
※学習者数の内訳
教育機関の種別 人数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 35 31.8%
学校教育以外 75 68.2%
合計 110 100%

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 1991年より野村・バーレーン日本友好基金のイニシアティブで主として社会人を対象とする日本語の夜間市民講座が開講された。また、同年バーレーン大学でも単位を伴わない日本語講座が開設された。同大学では1998年より日本語講座の単位が認められるようになり、2000年には日本研究センターが創設され、同センターを拠点として日本語教育が行われている。

背景

 バーレーン人は、日本が第二次世界大戦の敗戦から奇跡的に復興し、優れた経済・技術力を有する国となったことにある種の憧憬の念を抱く一方、バーレーンはアジアの一国であるとの認識も強く、日本に対して一般的に良い印象を持っている。また、当地のテレビ番組において日本人の律儀な立ち居振る舞いが繰り返し紹介されるなかで、日本人は道徳観・倫理観の高い国民であるという印象を持っている。
 日本語学習のきっかけは日本のアニメやゲームに触れて日本語に興味を持つ者の割合が年々高まっている。ただ、趣味としてのアニメ・ゲームが入口であっても、興味の対象を日本語学習自体にシフトできる例も多くなってきており、なかには文部科学省「国費外国人留学生制度」により日本留学を実現させる学生も増えてきている。

特徴

 大半の学生が該当する初級レベルの授業ではローマ字のみを用いて、名詞文、動詞文、形容詞文の単文だけ(複文などは入れない)にとどめておき、語彙についても極めて限定したもののみとし、授業の後半あたりからひらがなを導入する。他方、中級レベルに到達しているトップクラスの学生や日本への留学を目指す学生に対しては漢字の学習も実施している。

最新動向

 学生は数・質ともに高まっている。また、国際交流基金「日本語学習者訪日研修(各国成績優秀者)」や文部科学省「国費外国人留学生制度」により訪日を果たす学生は日本語をしっかり身に付けた女性が占めており、日本語学習を希望し、学習を継続する学生も女性が多い。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 バーレーン大学では、1998年度後期(1999年2月~)より外国語として日本語の単位が認められるようになり、日本語学習に対する学生の関心は高い。

学校教育以外

 夜間市民講座はバーレーン人のほかに、バーレーン在住の外国人も参加している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-3-3制。
 初等教育(Primary School)が6年間(6~11歳)、前期中等教育(Intermediate School)が3年間(12~14歳)、後期中等教育(Secondary School)が3年間(15~17歳)。高等教育は大学、職業訓練専門学校等がある。
 初等教育及び前期中等教育の計9年間が義務教育となっている。

教育行政

 初等教育、前期中等教育、後期中等教育は教育省の管轄下にある。なお、バーレーン大学は教育省、アラビアン・ガルフ大学はGCC諸国(湾岸協力会議加盟国、サウジアラビア、クウェート、オマーン、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール)の共同管轄下にある。

言語事情

 公用語はアラビア語であるが、英語も広く普及している。

外国語教育

 初等教育課程から必修科目として英語が教えられ、前期中等教育課程の一部の学校では、フランス語が必修科目として教えられている。

外国語の中での日本語の人気

 日本に関するテレビ番組や日本のアニメやゲームを通じて日本に関する知識を数多く得て、明確な目的意識を持って日本語学習を開始する学生の割合が年々高くなってきている。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試では日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 学習時間も限られており(40時間前後)、自作教材を使用している。

学校教育以外

 学生の要望に応じて長期的学習計画を立てており、120~200時間程度の学習時間を用意している。自作教材を使用している。

IT・視聴覚機材

 ソーシャルメディアを活用した他国の日本語学習者との結び付き、スマートフォンを活用した日本語学習アプリ・辞書アプリなどの普及は学生の自主学習を促すきっかけとなっている。
 また、日本語教師自身もチャット機能を講座に関する連絡や学生からの質問対応に活用しており、他の学生のやり取りを眺めることができるというチャット機能の特性は、情報共有・競争心の高揚等の教育効果に結び付いている。また、学生同士のやり取りを通じて講座における教材のヒントも見出している。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

高等教育

 特になし。

学校教育以外

 特になし。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 当地における日本語のネイティブ教師は1人である。野村・バーレーン日本友好基金のイニシアティブにより派遣されており、この教師がバーレーン大学及び夜間市民講座の双方を運営している。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 中東諸国(エジプト、アラブ首長国連邦、イエメン、イラン、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、トルコ、バーレーン、モロッコ、ヨルダン、レバノンほか)の日本語教師のネットワークがある(国際交流基金カイロ日本文化センターが主催)。
 バーレーンでは日本語教育担当者は1人であり、GCC地域(湾岸協力会議加盟国)には教師会のネットワークはまだないので、国際交流基金カイロ日本文化センターが主催するセミナーやシンポジウム等に参加し、他国の日本語教師と交流する機会を持つようにしている。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1991年 野村・バーレーン日本友好基金により市民講座(社会人対象)開始
バーレーン大学にて日本語講座(正規ではない)開始
1998年 バーレーン大学にて日本語講座の単位承認
2000年 バーレーン大学に日本研究センター創設
What We Do事業内容を知る