ハンガリー(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は39件、教師は95名。初等教育は139名で全体の7.3%、中等教育は328名で全体の17.2%、高等教育は949名で全体の49.8%、学校教育以外は490名で全体の25.7%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 ハンガリーの日本研究は、戦後一時期、断絶・停滞を余儀なくされた。戦後の東洋学は中国研究を中心に発展したため、日本研究・日本語教育はチェコやポーランドの域内近隣諸国に比べ立ち遅れの感があった。
 1980年代に入って日本語学習熱が高まり、1986年にエトヴェシュ・ロラーンド大学に日本学専攻が設置されたことが、ハンガリーの日本語教育の実質的な始まりである。また、1987年には小学校でも実験的に日本語教育が行われ、現在は高等教育機関でも初等・中等教育機関でも日本語が教えられている。
 1990年代初頭からはJICA海外協力隊の日本語教師派遣が始まり、質的にも強化された。日本語学習者数は1990年代に入り日本語学習ブームに乗って増加の一途をたどり、1990年には328名であったが、2003年には1,000名を超えた。2009年から2012年にかけて減少に転じるものの、2015年調査では再び増加し、学習者数は1,992名に達し、2018年の調査では、機関数と教師数は増加、学習者数は微減した。中等教育を除く各段階で学習者数が減少しており、その傾向は首都ブダペスト市以外の地方都市で顕著である。地方都市での学習者数の減少の要因としては、高等教育機関によって学習者数が一定数集まらないと開講しないコースが目立つという点や、また、いくつかの機関では教師を直接雇用するのではなく、日本の他機関・団体の派遣に頼っているため、日本語講座の運営が不安定であることが考えられる。地方都市の学習者数が減少する一方で、ブダペスト市にある高等教育機関は、学習者数が増加している。また、中等教育において日本語講座を実施する機関は増えており、学習者の数も増加している。ハンガリーにおいては2011年に高校卒業資格認定試験兼大学入試試験システム(エーレッチェーギ)の科目から日本語が外れたが、2015年からは再度日本語が導入され、現在も継続して試験科目として認定されており、こういった入試制度の変更も日本語教育に影響を与えていると考えられる。

新型コロナウイルス感染症、感染拡大に伴う対応について

 2020年3月11日、ハンガリー政府により新型コロナウイルスに関する非常事態が宣言され、各教育機関は遠隔授業(オンライン教育)への移行を余儀なくされた(6月18日午前零時を以て非常事態宣言は解除されたが、その後11月4日より再び非常事態が宣言された。)。
 各教育機関によって抱えていた問題点も解決法も異なるものの、当初の問題点としては、適切なデバイスやインターネット接続を自宅に持っていない教師や生徒が見受けられるというような物理的な問題から、デジタル形式で手に入る資料は個々の教育機関でこれまで使用されてきた資料と一致しないこと、教師たちはオンライン教育の進め方を検討する時間もないまま、オンライン教育に移行せざるを得ない状況であったことなどが挙げられる。その中で初等教育機関からはブダペスト日本文化センターで公開しているハンガリー語教材「DEKIRU」の副教材(反転動画等)がオンライン教育に役立ったという声が複数寄せられた。(ハンガリー語による日本語教材「DEKIRU」の副教材のリンクhttps://japanalapitvany.hu/nyelvoktatas-dekiru)
 また、ブダペスト日本文化センターでは、日本語上級専門家(中東欧アドバイザー)が、ハンガリーのみならず、中東欧の各国における非常事態宣言以降、各教育機関がオンライン教育への移行を余儀なくされ、孤軍奮闘する各教育機関の教師たちがオンラインシステムに慣れていないことに着目し、3月20日より毎平日(2020年3月20日~5月22日)、5月25日以降は平日の隔日にオンライン会議システムを用いて日本語教師たちが実験的に授業を実践できるセミナー「【緊急企画】オンラインでこんな授業をしてみたい勉強会」を実施。また、特別企画「日本語教師のための伝統芸能教室(能、狂言、が武器、文楽、茶道)」や「日本語教師のための「日本の歴史と文化」」など、「文化と日本語」関連のセミナーも実施。2020年10月13日までに合計86回実施、累計1544名が参加し、現在も引き続き中東欧地域の日本語教師にオンラインでのアドバイザー活動を行っている。
 ハンガリーでの高校卒業試験(エーレッチェーギ)は2020年5月に大学進学希望者のみを対象とし、筆記試験のみが新型コロナウイルス感染対策を施したうえで実施された。
 ハンガリーの高等教育機関において、学習教材の配信や成績を統合して管理するシステムLearning Management SystemはCooSpace、Moodleなどがよく利用されており、オンライン会議システムはMicrosoft Teamsのほかには、Skype, Google Hangouts, ZOOMなどが用いられている。9月開始の新学期からはオンライン教育と教室でのリアルの授業を合わせたハイブリット型の教育を実施している機関もあったが、11月11日に施行された新型コロナウイルス対策措置強化を定める政令により、すべてオンライン教育となった。各教育機関では日本の協定校とのオンライン企画を各種実施。リアルの授業を実施していた際は教室の広さや椅子の数等の制限もあり、ゲストの人数を制限しなければならないという問題点があったものの、オンラインではゲストの人数を制限する必要がなくなったため、ゲストや日本側の協定校との連携がうまくいけば、リアルの授業では実施できなかった効果を期待できる見込み。
 また、ブダペスト日本文化センターでは2018年度文化交流使の玉川奈々福氏に依頼し、現代や現代に近い平易な日本語を用いた「語り芸」の浪曲の動画を作成、ハンガリー語字幕及び英語字幕を付し、同センターウェブサイトおよびFacebookに掲載。併せ、玉川奈々福氏を迎え、語り芸に関するライブトークや日本語による発音・口演等のワークショップを通訳付きでオンラインで実施した。

背景

 学習動機としては、一般に純粋な日本文化・歴史・文学に対する興味の場合が多い。
 初等・中等教育段階では、アニメやマンガから児童・生徒が日本に興味を持つことで、児童・生徒の親も日本への興味・関心を持つようになり、実利目的から子供に日本語学習を勧める場合が多い。
 社会人学習者の場合は、実利・ビジネス目的で日本語学習を始める者も少なくない。

特徴

 ハンガリーではナショナル・コア・カリキュラムの現代外国語教育の項にもCEFRに基づくレベル目標が設定されるなど、CEFRの取り組みに積極的である。日本語教育でもその動きに対応する試験、教科書開発や研修などが盛んに実施されている。

最新動向

 日本・ハンガリー協力フォーラム事業により、CEFR準拠の日本語教材『できる1』が2011年夏に完成し、2012年9月に続いて完成した第二冊目『できる2』とともに、教材として導入する教育機関が増えた。ハンガリーの教育省が指定する初等・中等教育レベルで使用可能な公教育用教科書のリストに、2017年4月に『できる1』、2018年4月には『できる2』が登録された。なお、日本・ハンガリー協力フォーラム事業は2014年3月31日を持って終了した。

教育段階別の状況

初等教育

 4機関で日本語教育が実施されており(2020年10月時点)、第二外国語の選択必修科目か自由科目もしくは課外活動という位置付けである。

中等教育

 15機関で日本語教育が実施されており(2020年10月時点)、第二外国語の選択必修科目か自由科目という位置付けである。

高等教育

 日本語教育は10機関(2020年10月時点)で実施されているが、このうち日本語を主専攻としている大学はブダペスト市内のエトヴェシュ・ロラーンド大学(ELTE)、カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学の2大学である。
 また、ブダペスト商科大学では第二及び第三外国語として日本語教育が行われている。他の高等教育機関では、日本語は選択科目という位置付けである。なお、法門仏教大学では第一外国語として日本語が位置付けられていたが、大学のカリキュラム変更による外国語教育の廃止に伴い、2016-17年度をもって日本語教育も終了した。

学校教育以外

 学校教育以外では16機関(2020年10月時点)で日本語教育が行われている。学習者は学生、社会人など様々で、学習目的も教養や実利目的など様々である。
 国際交流基金ブダペスト日本文化センターでも日本語講座を実施している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 8-4制、6-6制、4-8制が混在している。更に4年制の中等教育機関の中にはハンガリー語、数学、外国語学習に特化した0学年を置くところもあるため、8-4制、8-5制、6-6制、4-8制が混在した形となっている。このため、学年は通年制(1年生~12年生)を取るところが多い。(例えば4年制の高校は9年生からスタートするなど)
 初等教育機関
 低学年(4学年)と高学年(4学年)の8年制が基本。高学年では教科担任制が敷かれている。
 中等教育機関
 高校(Gimnázium)と専門高校(Szakgimnázium)に分かれている。
 高校は8年制、6年制、4年制、そして4年制の中に(外国語学習などに特化した)0学年を置く5年制がある。同一の高校に複数の制度が混在しているところも少なくない。卒業時に卒業試験(エーレッチェーギ)を受験する。試験は「ハンガリー語・文学」「数学」「歴史」「外国語」「選択科目」で構成される。エーレッチェーギに合格しなければ、高卒資格が得られない。
 専門高校は4年制であるが、(外国語学習などに特化した)0学年を置くところもある。専門高校の過程終了後、エーレッチェーギを受ける。試験は高校とほぼ同じだが「選択科目」ではく「専門科目」を受験する。卒業試験終了後、高等教育機関に進学することも可能であるが、そのまま学校に残り更に1年専門を学ぶと専門資格も得られる。
 専門中等学校は3年制である。卒業時には専門資格が得られる。卒業後更に2年学べば、エーレッチェーギが受験できる。
 高等教育機関
 高等教育機関にはEgyetemFőiskolaがある。2006年9月にボローニャプロセスが導入されるまでは、Egyetemは5年制(修士号取得)、Főiskolaは3年制(学士号取得)であったが、ボローニャプロセス導入後は、いずれの機関も3年(学士号)+2年(修士号)制へとなり両機関の大きな違いはない。(十分な博士課程が設置されていない、学部の数が少ないなどの機関がFőiskolaとなっている。)
 また、この他に社会人向けの成人教育機関がある。
 義務教育は10年間(6歳~16歳)。

教育行政

 国家人材省(旧教育文化省)が全教育段階の機関を所管していたが、高等教育機関に関しては2019年度より管轄が革新・技術省となった。また2020年度より、専門高校、専門中等学校についても、名称・システムが変更となり革新・技術省が管轄している。

言語事情

 公用語:ハンガリー語(マジャール語)

外国語教育

 外国語教育はナショナル・コア・カリキュラム(National core curriculum)に従っている。2002年改訂の同カリキュラムより外国語教育はCEFR準拠となった。現在欧州の外国語教育政策(母語+2言語)に則り、原則中等教育機関卒業までに第一外国語、第二外国語の2つの外国語を学習する。(3か国語以上を学ぶ生徒もいる)
 第一外国語は遅くとも4年生から学習を始める。ただし学校の環境が整っていれば1~3年生からスタートすることが可能である。第二外国語は7年生から学習できるようにする。しかし、これは学校が科目を用意するという意味であり、生徒の学習義務はない。従って第二外国語は(4年制の中等教育機関に入学した)9年生になってから学ぶ生徒も多い。
 前述した通り、エーレッチェーギにおいて外国語の試験は義務となっている。エーレッチェーギには中級と上級試験があり、外国語試験の場合、中級はB1、上級はB2レベルとなっている。エーレッチェーギ外国語中級試験を選択しこれに合格すれば高校卒業資格に繋がるが、大学英語学科やドイツ語学科などでは1年生から授業のすべてを英語/ドイツ語で行うため、受験生は上級エーレッチェーギ英語/ドイツ語試験受験を義務付けている。また、他の学科を受験する場合でも、上級エーレッチェーギ試験で45%を獲得すれば、大学入試点に50点加点されるなど入試に有利となるため、大学進学を目指す者の中にはエーレッチェーギ外国語試験で上級を選択する者が多い。更に、2か国語教育(例えば英語で数学や歴史を学ぶ)を行っている中等教育機関では卒業時までに第一外国語を国家外国語試験上級合格レベル(C1)に到達させることを目標としている。これらの点を考慮して第一、第二外国語の学年ごとの到達レベルは、①最低到達レベルと②上級到達レベルが設置されている。


①最低到達レベル
6年生 8年生 10年生 12年生
第一外国語 A1 A2 B1
第二外国語 A2

②上級到達レベル
6年生 8年生 10年生 12年生
第一外国語 A1 A2-B1 B2 B2-C1
第二外国語 A1 A2 B1-B2

外国語の中での日本語の人気


大学入試での日本語の扱い

 2005年度より新試験システム導入に伴い、大学別に行っていた日本語の筆記試験、面接試験はなくなり、エーレッチェーギがハンガリーでの大学入試試験システムと高校卒業資格認定試験を兼ねたかたちで導入されている。
 エーレッチェーギ日本語試験にも当初中級・上級の2つがあり、2010年日本語の受験者は中級レベル14名、上級レベル48名であった。2010年1月に前政権下で2011年のエーレッチェーギ上級レベル試験から日本語が外れるという事態になったが、2015年より上級レベルに再度日本語が導入された。エーレッチェーギ上級試験は、60%以上の成績を修めると国家外国語試験の中級の資格が付与される。また、エーレッチェーギ上級試験に日本語が復活したことに伴い、東洋言語・東洋文化系学科の入学試験科目(ハンガリー語・ハンガリー文学もしくは歴史+外国語の2科目)として日本語が選択可能となった。一時上級レベル試験から日本語が外れてしまったことで、中等・高等教育機関における日本語教育の縮小、学習者の減少という懸念があったが、2015年から上級試験に日本語が再導入されたことで、中等・高等教育機関における日本語教育の衰退は免れた。しかしながら、欧州全体の言語教育の動向、また政治体制の変化により制度が再度変更する可能性もあり、今後事態の推移について注視し、対応していく必要がある。

学習環境

教材

初等教育

 よく使用される教科書は次のとおり。
 『やさしい日本語』((Decens出版社(ハンガリー))
 『DARUMA』(TAROGATO出版社(ハンガリー))
 『できる1』(Hungarian Institute for Educational Research and Development(ハンガリー))
 『まるごと』(国際交流基金)

中等教育

 よく使用される教科書は次のとおり。
 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
 『DARUMA』(前出)
 『できる1』(前出)『できる2』(Hungarian Institute for Educational Research and Development(ハンガリー))
 『まるごと』(前出)

高等教育

 担当者が自分で開発した教材を使う場合もある。よく使用される教材は次のとおり。
 『みんなの日本語』(前出)
 『初級日本語 げんき』(ジャパンタイムズ)
 『上級へのとびら』(くろしお出版)
 『できる1』『できる2』(前出)

学校教育以外

 よく使用される教科書は次のとおり。
 『みんなの日本語』(前出)
 『初級日本語 げんき』(前出)
 『できる1』『できる2』(前出)

IT・視聴覚機材

 インターネットを授業活動に取り入れている機関もあるが、マルチメディアの導入は一般的ではない。

教師

資格要件

初等教育

 初等教育の教員資格を取得するためには、大学の初等教育教員養成課程(4年+1年のインターン)を修了する必要がある。教職課程は必ず2専攻同時に取得する必要があるが、2専攻のうち1専攻を初等教育、もう1専攻を中等教育と選択した場合は、教員養成課程は4年半+1年のインターンとなる。

中等教育

 中等教育の教員資格を取得するためには、大学の中等教育教員養成課程(5年+1年のインターン)を修了する必要がある。教職課程は必ず2専攻同時に取得する必要がある。2専攻のうち1専攻を初等教育、もう1専攻を中等教育と選択した場合は、教員養成課程は4年半+1年のインターンとなる。
 日本語の場合2020年度よりエトヴェシュ・ロラーンド大学にて日本語教師の教職課程が再開されるが、日本学の修士号を持っているものは並行して設置される1年の補修課程に入り、試験に合格すれば日本語教員資格を得ることができる。

高等教育

 機関により異なるが、基本的に外国語教師(lektor)や助手(tanársegéd)は修士号、助教授(adjunktus)以上は博士号(PhD)、准教授(docens)は博士号とハビリテーション(habilitation教授昇進資格)が必要条件となる。大学教授は大統領任命となり資格があればなれるというものでもない。

学校教育以外

 特になし。

日本語教師養成機関(プログラム)

  • エトヴェシュ・ロラーンド大学及びカーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学に設置されていた日本語教員養成課程は2006年、ボローニャプロセスに移行して以来休止されていた。今般、エトヴェシュ・ロラーンド大学にて日本語教師の教職課程カリキュラム(5年+教育実習)が認可され、2020年度より再開。これに並行して既に日本学の修士号を持つ人のために1年間の補修課程も設けられる。
     なお、カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学日本学科の修士課程では、教員免許取得を目的としない科目として「日本語教授法Ⅰ」「日本語教授法Ⅱ」が開講されている。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 2018年末に行った調査では、教育機関における96の日本語教師のポストのうち、ネイティブ教師は63ポストを占めている。

教師研修

 国際交流基金ブダペスト日本文化センターでは年数回程度の日本語教師研修を実施している。また、さくらネットワークメンバー(ハンガリー日本語教師会、エトヴェシュ・ロラーンド大学、カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学)の協力を得て、2015年より年1回のハンガリー日本語教育シンポジウムを実施している。2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、オンラインで実施。
 また、例年2月に、中東欧日本語教育関係者を招へいし、「中東欧日本語教育研修会」を実施しており、ブダペスト日本文化センターは中東欧の日本語教師の教師研修、ネットワーキングの機能も果たしている。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、オンラインで実施。

現職教師研修プログラム(一覧)

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 2001年に「ハンガリー日本語教師会」が設立され2005年に法人化された。2020年10月現在、会員数は53名で構成されている。
 主な活動内容のひとつはイベントの実施であり、2006年から日本語スピーチコンテストを実施する他、2002年にはヨーロッパ日本語教師会と共催で「ヨーロッパ日本語教育シンポジウム」を、2008年には国際交流基金ブダペスト日本文化センターと共催で「日本・ハンガリー協力フォーラム事業ハンガリー日本語教育シンポジウム」を実施した。また、新しい試験制度に対応するために『初級日本語・ハンガリー語語彙集』(2003年)、『初級ハンガリー語・日本語語彙集』(2005年)、『日本語初級問題集』(2009年)、『日本語中級問題集』(2009年)、『平仮名・片仮名練習帳』(2010年)『基礎漢字練習帳Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(2012~2013年)、『できる教室活動用絵教材』(2014年)、『ハンガリー語・日本語テーマ別語彙集』(2014年)など、教材作成も盛んである。

最新動向

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣(2020年10月現在)

日本語上級専門家

 国際交流基金ブダペスト日本文化センター 1名

日本語専門家

 国際交流基金ブダペスト日本文化センター 1名

国際協力機構(JICA)からの派遣

 なし

その他からの派遣

 (情報なし)

シラバス・ガイドライン

 2001年9月より、初等・中等教育レベルで、ナショナル・コア・カリキュラム(NAT:Nemzeti Alaptanterv)に基づく「framework Curriculum」が導入されている。ただし、このカリキュラムは、公的教育機関の基本的原理、方針を示したもので、内容に関しては各教育機関の自立性、独自性が保たれている。日本語教育の実施内容に関しては、現在のところ各教育機関の裁量に任されており、各機関で現場に即した教育が行われている。

評価・試験

 ハンガリー政府認定の国家外国語試験(資格)の日本語試験は2006年に一度中断されたが、2008年3月より再開された。試験はAタイプ(筆記のみ)、Bタイプ(口頭のみ)、Cタイプ(筆記+口頭)の3種類がある。レベルは初級、中級、上級に分かれている。
 2005年よりエーレッチェーギが、中級・上級の2つのレベルに分かれ、大学入学試験科目としても利用されることとなったが、この新しいシステムでは、エーレッチェーギ外国語上級試験で60%以上をとると国家外国語試験中級合格、40~59%をとると同初級合格と認定されるようになった。
 JLPT N5合格者は、追加試験に合格することにより国家外国語試験日本語合格証を得ることができる。(N5合格者は初級、N4,N3合格者は中級、N2,N1合格者は上級の追加試験受験資格がある。)
 同国家試験(資格)としては、ブダペスト商科大学において「ビジネス日本語検定試験」が実施されている(2002年1月ハンガリー政府正式認定)。

日本語教育略史

1923年 パーズマーニ・ペーテル大学(1950年に現在のエトヴェシュ・ロラーンド大学(ELTE)に改称)に「東アジアの言語と文学」講座が設置され、日本語・日本学の研究・教育がスタート。大戦による中断後、1959年に、改称された「中国・東アジア」講座内で日本語教育も自由選択科目として再開
1984年 外国貿易大学(現在のブダペスト商科大学)で日本語教育開始
1986年 エトヴェシュ・ロラーンド大学(ELTE)に日本学専攻設置
1987年 トルクバーリント実験小学校で日本語教育開始
1991年 国際交流基金ブダペスト日本文化センター開設
1992年 JICA海外協力隊日本語隊員派遣開始
1993年 日本語能力試験実施開始
1995年 カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学で日本学科開設
1996年 エトヴェシュ・ロラーンド大学(ELTE)の日本学専攻が日本学科として独立。同時に中等学校日本語教員養成プログラムを開始
1998年 カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学で中等学校日本語教員養成プログラムを開始
2000年 国際交流基金ブダペスト日本文化センターに日本語上級専門家派遣開始
2001年 ハンガリー日本語教師会(MJOT)設立
2005年 エーレッチェーギ(大学入試資格試験)開始
国際交流基金ブダペスト日本文化センターに日本語専門家派遣開始
2007年 日本・ハンガリー協力フォーラム「日本語教育促進事業」活動開始
JICA海外協力隊日本語隊員活動終了
2008年 日本文化発信プログラム(J-CAT)活動開始
2011年 日本文化発信プログラム活動終了
日本・ハンガリー協力フォーラム事業による日本語教材「できる1」刊行
2012年 日本語教材『できる2』刊行
日本・ハンガリー協力フォーラム「ハンガリー若手日本語教師訪日研修」実施
日本・ハンガリー協力フォーラム「ハンガリー日本語教育シンポジウム」開催
2013年 日本・ハンガリー協力フォーラム「ハンガリー日本語教師訪日研修」実施
2014年 日本・ハンガリー協力フォーラム「日本語教育促進事業」活動終了
2017年 ハンガリーの教育省が指定する初等・中等教育レベルで使用可能な公教育用教科書のリストに『できる1』が登録
2018年 ハンガリーの教育省が指定する初等・中等教育レベルで使用可能な公教育用教科書のリストに『できる2』が登録

参考文献一覧

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