アイスランド(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は4件、教師は5名。初等教育は0名で全体の0.0%、中等教育は53名で全体の53.5%、高等教育は41名で全体の41.4%、学校教育以外は5名で全体の5.1%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 1999年頃アイスランド大学において初めてのアジアの国のコースとなる日本コースの発足が検討されたが、資金面の問題により実現されなかった。その後、2001年にレイキャビク及び東京に大使館が相互開設され、国際交流基金及びスカンジナビア・ニッポンササカワ財団の支援を得て、2003年9月に日本研究(日本語・日本文化)コースが開講され、2007年に同コースの2年生が開設された。

背景

 日本語や日本文化に対する関心は高く、特にアニメや漫画、ポップカルチャーなどが人気。また、日本とアイスランドは2016年に外交樹立60周年を迎え、2017年6月には、日本アイスランド商工会議所が発足。政治的、経済的、文化的な関係は、今後益々強まることが見込まれる。

特徴

 アイスランド大学日本研究(日本語・日本文化)コースは当地最大の日本語教育機関、という位置づけにある。日本語以外にも、日本の宗教、教育問題、日本の武道、ポップカルチャー等日本文化に関する講義及び学生のディスカッションやプレゼンテーション等を織り込んだ授業を実施し、現在、日本の大学22校と交換留学提携を結んでおり、毎年15~20名前後の交換留学生が日本で勉学に励んでいる。また、2005年より高等学校ハムラフリズカレッジ)において日本語コースが開講、2017年より高等学校(ボルガルホルツスコーリ)において春学期(1月~5月)のみ日本語コースが開講されているが、双方とも選択科目となっているため、必ずしも毎学期開講されるとは限らない。 若年層の学習動機は、アニメや漫画、ポップカルチャーへの関心が主である。

最新動向

 アイスランド大学日本研究(日本語・日本文化)コースでは、2003年開設当初より日本語以外にも、日本の宗教、教育問題、日本の武道、ポップカルチャー等日本文化に関する講義及び学生のディスカッションやプレゼンテーション等を織り込んだ授業を実施している。
 また、日本文化の理解を深めるため、毎年1月末~2月上旬に、アイスランド大学と在アイスランド日本国大使館との共催でジャパンフェスティバルを開催している。そして、毎年4月には高等学校(ハムラフリズカレッジのみ)と大学のレベルにおいて日本語学習者対象のスピーチコンテストが日本国大使館の後援でそれぞれ行われ、参加者の増加と共に国内での日本語教育の認知度も高まりつつある。
 学校教育以外の民間の生涯教育機関では、初級の学生が授業を受けている。日本語能力試験を受けた学生はまだ少数であるが、2005年以降、主に近隣国のデンマークにて受験をしている。
 後期中等教育においては高等学校2機関(ハムラフリズカレッジ及びボルガルホルツスコーリ)、高等教育においてはアイスランド大学1機関、その他教育機関の民間生涯教育機関1機関(生徒の集まり具合によって開講されないこともある)で実施されている。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

中等教育

 中等教育における日本語コースの位置付けは、カリキュラムが定める選択科目の第四言語の中のひとつである。そのため一定の定員を満たしていなければ継続が出来ず、毎学期開講されるかどうかは決まっていない。
 ハムラフリズカレッジの日本語コースにおいては日本語の学習のみならず日本文化や歴史等の紹介、書道や折り紙の実践、課外授業として日本料理調理実習等も取り入れている。また、同コースでは、読む・書く・聞く・話す、の四技能を取り入れ、コース修了後の学生は、日本語能力試験N5~N4(旧4級~3級)レベルに達することもある。2020年度の年間の日本語学習者数は計99名(春学期51名、秋学期48名)。
 ボルガルホルツスコーリの日本語コースにおいては、日本語能力試験N5レベルの授業を行っており、2020年度の年間の日本語学習者数は計13名(春学期のみ開講)。

高等教育

 2003年9月より国立アイスランド大学人文学群において日本研究(日本語・日本文化)コース開講。当初は、1年間のみの副専攻科目としてスタート。読む・書く・聞く・話す、の四技能を均等に学び、1年目修了後、日本語能力試験N5(旧4級)レベルに達する。2007年には2年目コースが設立され、主専攻科目として受講することが可能となった。2年目修了後、日本語能力試験N4~N3(旧3級)レベル相当の内容が履修される。2008年6月に2年目コース修了第1期生を輩出し、これらの学生のうち数名は、2008年秋学期より、日本の大学に交換留学生として送られ、2009年夏に帰国、BA論文を書き(必須ではない)、3年間180ECTSEuropean Credit Transfer System:ヨーロッパ共通互換単位)単位を日本語・日本文化関係科目のみで習得し、日本語主専攻として卒業した。現在もアイスランド大学では同様の単位取得方法にて日本語専攻で卒業できる。こうして卒業する者の中には、日本語能力試験N2(旧2級)に合格する者もおり、卒業後は、海外の大学院へ進学するものや国内民間会社に就職する人が多い。当地に日本企業は進出しておらず、唯一日本語を生かした仕事として、日本人の観光客を対象とした日本語ガイドが挙げられる。アイスランド大学において、2020年度の年間の日本語学習者数は計70名となっている。
 《アイスランドの大学は3年制で、単位はECTSを使用。日本研究(日本語・日本文化)コースは、このうち最初の2年間をアイスランド大学で学び、3年目に交換留学制度を利用して日本または他の海外の大学で学ぶか、アイスランドにて単位取得した後、日本関連のBA論文を書いて卒業するというシステムをとっている。1年間に60ECTS単位を取得し、その内訳は、40ECTSが日本語、20ECTSが日本文化及び日本社会の学習・研究に割り当てられている。なお、2019年秋学期に、別科目を専攻する生徒をターゲットとし、1年間の日本語ディプロマコースが開設された。》

学校教育以外

 民間の生涯教育機関において、日本人講師による初級日本語コースが開設されており、通常10名前後が日本語を学んでいるが、2019年度は不開講。
 これらの他に、在留邦人の子女が学ぶ日本語母国語教室が週に1回開講されており、主に在留邦人(子供達の親)や当地の日本語講師、日本人交換留学生がボランティアで運営している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 10-3-3制。
 初・前期中等教育 6~16歳(小・中学一貫)
 後期中等教育 16~19歳(高校)
 高等教育 19~22歳(大学)
 義務教育は6歳から16歳までの10年間。通常、初等教育と前期中等(6~16歳)の一貫教育だが、別々の場合(6~12歳(小学校)、12~16歳(中学校))もある。
 後期中等(高校)は2017年より4年制から3年制へ変更したが、希望すれば、従来の4年制にて学ぶことも可能。原則として次の4種類に分かれる。

  1. (1)職業コース
  2. (2)大学入学資格取得学術コース
  3. (3)(1)と(2)の混合コース
  4. (4)特殊職業コース

教育行政

 教育・科学・文化省が高等教育に責任を有している。初等・中等教育については、同省の下で地方自治体の所轄となっている。

言語事情

 公用語はアイスランド語であるが、若い世代を中心に英語能力が非常に高い。大学においては、クラスの半分以上が外国人である場合等を含め、英語を使用して講義・研究を行う講座もある。しかし、アイスランドでは、アイスランド語を保護するための活動も積極的に行われている。

外国語教育

 初・前期中等教育において、デンマーク語及び英語の外国語教育が義務付けられている。以前は、デンマーク語の学習が先であったが、現在は4年生で英語、7年生でデンマーク語を教える学校が多い(初・中等教育学校、就学前教育等において、教育機関の方針で英語、デンマーク語のほか、他の外国語を導入している場合もある)。

外国語の中での日本語の人気

 高等教育において日本語の人気は高く、日本語コース履修を希望する学生数も増加傾向にある。アイスランド大学日本研究(日本語・日本文化)コースの登録者数は英語に次いで2番目に多い。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育の実施は確認されていない。

後期中等教育

 『初級日本語げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)
 『国語教科書(小1~小6)』光村図書版
 『ICUの日本語:初級Japanese for College Students:Basic vol.1~3』国際基督教大学(講談社インターナショナル)
 『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE』国際日本語普及協会(講談社インターナショナル)
 『カタカナおけいこ』(KUMON)等
その他、ワークブック等を副教材として使用。

高等教育

 『初級日本語げんきⅠ & Ⅱ』(前出)
 『Kanji Look and Learn』の教科書およびワークブック

学校教育以外

 民間の生涯教育機関では、『初級日本語げんき』(前出)を参考文献として講師が作成した独自の教材を使用している。
 母国語教室では、文部科学省無償給与の義務教育用教科書等及び教師が独自につくる教材が使用されている。

IT・視聴覚機材

 CDDVD等のメディア教材はどの教育機関においても多用されている。各機関によりワードやパワーポイントを適宜使用しているほか、インターネットのYouTubeや、日本語を使ったコミュニケーションのプラットフォームとしてFacebookページを活用している。アイスランド大学では、学生の使用するコンピュータは、すべて日本語フォントの使用や日本語のホームページの閲覧が可能である。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていないため、日本語教師はいない

中等教育

 教員免許があることが望ましい。

高等教育

 アイスランド大学では、同大学の規則により常勤講師は修士号以上の保持者でなければならない。

学校教育以外

 特に資格は問われない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 中等教育のハムラフリズカレッジにおいて日本人教師1名が、ボルガルホルツスコーリにてアイスランド人教師1名が教えている。日本語コースの開講が毎学期確約されているわけではないため、教師の雇用状況は不安定である。
 高等教育のアイスランド大学においては、現在、常勤アイスランド人2名、日本語コース代表、日本人講師3名が教えている。
 民間の生涯教育機関においては、日本人教師が日本語講座を担当している。

教師研修

 国際交流基金助成『海外日本語教師研修』

現職教師研修プログラム(一覧)

 国際交流基金助成『海外日本語教師研修』

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 当地の日本語教育関係のネットワークはないが、北欧5か国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランド)が共同運営するNIAS(Nordic Institute of Asian Studies)に参加している(本部:デンマーク・コペンハーゲン大学アジア研究所内)。NIASでは、日本専門研究員が1~2名勤務し、研究活動、ニュースレター発行、講演会実施等を中心に北欧5か国における日本を含めたアジア研究のコーディネートを行っており、3年毎に日本及び韓国研究における学者の交流や意見交換を目的とした学会NAJAKS(Nordic Association for Japanese and Korean Studies)を開催している。2004年の学会でアイスランド代表理事が初めて選出され、2013年にはノルウェーで同学会が開催された。

最新動向

 特になし。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

シラバス・ガイドライン

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。

評価・試験

 共通の評価基準や試験はない。

日本語教育略史

2003年 アイスランド大学にて日本研究(日本語・日本文化)コース開設
2005年 ハムラフリズ高等学校にて日本語クラス開講(現在も継続されている)
2006年 アウルムラ高等学校にて日本語クラス開講(現在は不開講)
民間の生涯教育機関にて日本語コース開講
2007年 アイスランド大学で日本研究(日本語・日本文化)コース2年制(主専攻)開設
レイキャビック高等学校にて日本語クラス開講(2008年5月休止)
2008年 初等教育機関で日本語を選択科目として試験的に開講(2009年終了)
2017年 ボルガルホルツスコーリ高等学校にて日本語クラス開講
2019年 アイスランド大学にて日本語ディプロマコース開設

参考文献一覧

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