ケニア(2020年度)

日本語教育 国・地域別情報

2018年度日本語教育機関調査結果

2018年度日本語教育機関調査結果に関する帯グラフ。機関数は43件、教師は111名。初等教育は375名で全体の14.6%、中等教育は1,268名で全体の49.3%、高等教育は709名で全体の27.6%、学校教育以外は221名で全体の8.6%。

(注) 2018年度日本語教育機関調査は、2018年5月~2019年3月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 ケニアにおける組織的な日本語教育は、民間団体の日本アフリカ文化交流協会(Japan Africa Culture Interchange Institute : JACII)が1975年に日本語クラスを開設したことに始まる。
 1980年代に入り、留学希望者を対象としたジョモ・ケニヤッタ農工大学での日本語クラス、ナイロビ大学日本文学講座での課外日本語クラス、アメリカン・ユニバーシティ・プレパレーション・インスティテュートでの日本語クラスが開設されたが、いずれも閉講した。
 高等教育機関での単位認定選択科目としての日本語教育は、1994年に米国国際大学(United States International University : USIU)アフリカ校(私立)及びケニア・ウタリー・カレッジ(国立観光専門学校)に日本語クラスが開設されたことに始まる。続いて、1997年には国立エガトン大学言語学科で課外コースとして、2002年にはストラスモア大学(私立)で単位認定科目として日本語が教えられるようになった。
 国立大学として初の単位認定コースとしての日本語クラスは2004年にケニヤッタ大学外国語学科に開設され、2006年より国際交流基金日本語専門家が派遣されている。
 また、2008年から、USIUでケニア初の日本語副専攻コースも開始された。日本語副専攻コースはUSIUとケニヤッタ大学で開講されている。
 他方、初等・中等教育では、2002年にルアラカ高等学校(公立)で日本語が選択科目として初めて採用される、2004年にステートハウス女子高等学校において課外活動としての日本語クラブが発足する、2007年よりヒルクレスト高等学校にて選択外国語として日本語が採用される、などの動きがあった。
 一方、カラティナ市周辺の初等・中等教育機関では、2007年度以来、課外活動としての日本語・日本文化クラブの活動が継続的に報告されている。
 ケニア日本語教師会(JALTAK)は2001年の設立以来活動を続けている。日本語弁論大会は2004年に第1回の大会が開催され、2019年3月に第12回が開催された。また、2006年12月より、サブサハラ・アフリカ(サハラ以南のアフリカ)で初めて、日本語能力試験がナイロビで実施され、以降毎年受験できるようになっている。

背景

 ケニアはサブサハラ・アフリカにおいては日本語学習者数の上位国である。この背景には、当地に一定数の日本人が定住していること、毎年日本から少なからず観光客が訪れることから観光業等において日本語会話の需要があること、日本がケニアに対する主要な援助国であること、国交樹立以来の日本への各種留学生・研修生等が数千人にのぼること、それらの結果、日本人との接触の機会が多いこと、などが挙げられる。

特徴

 ケニアにおける日本語学習者は、かつては学校教育以外の機関での学習者が主であったが、高等学校における課外活動としての日本語・日本文化クラブやUSIUやケニア・ウタリー・カレッジ等での日本語教育の開始とともに、中等・高等教育機関での学習者が多数を占めるようになっている。とはいえ、高度な日本語まで体系的に学習できる機関はないに等しく、入門レベルで学習を終えてしまう者が多い。
 学習動機は、学生の場合、将来日本に渡航したい、就職に有利であるという期待のほか、アニメが好きで字幕なしで見たいという声もある。一方、社会人では、配偶者が日本人である、身近にいる日本人とコミュニケーションを取りたいという者も多い。
 日本語学習者の数は増加しているものの、日本語運用力の高い教師は不足しており、教師の待遇にも問題があるため、日本語教育体制の整備が課題となっている

最新動向

 在ケニア日本国大使館広報文化センターにて、当地における日本語学習者の裾野の拡大を目指し、1〜2ヶ月に一度「日本語無料体験レッスン」(全1回)、中級以上の学習者を受け入れる教育機関がないことから、週に一度「中級者・教師向け日本語講座」が開講されている。

教育段階別の状況

初等教育

 エンブ市のテンリ小学校で日本語・日本文化の指導、首都ナイロビやカラティナ市周辺のいくつかの小学校で、課外活動としての日本語・日本文化クラブが確認されている。

中等教育

 首都ナイロビ、ナクル市、カラティナ市周辺の高等学校で課外活動としての日本語・日本文化クラブが確認されている。

高等教育

 観光を主要産業の一つとするケニアでは、大学とは別に観光業関連資格が取得できる専門学校が多く存在する。そうした専門学校では、観光業で必要とされる外国語が教えられていることも多い。日本語が教えられている専門学校のうち2機関が高等教育機関と位置づけられている。

次の機関が日本語クラスを持つ。

  1. 1. 副専攻としての日本語教育
    • 米国国際大学(USIU)アフリカ校
    • ケニヤッタ大学人文科学部外国語学科
  2. 2. 単位認定科目(選択外国語)としての日本語教育
    • ケニア・ウタリー・カレッジ(国立観光専門学校)
    • ストラスモア大学
    • 米国国際大学(USIU)アフリカ校
    • ケニヤッタ大学(自由選択科目「日本語入門コース」)
    • ケニア野生生物公社専門学校
  3. 3. 単位認定外科目としての日本語教育
    • 東アフリカ・カトリック大学
  4. 4. 日本語クラブ
    • ジョモ・ケニヤッタ農工大学

学校教育以外

 一般対象の語学学校が日本語クラスを設けている。

  1. (1) 日本アフリカ文化交流協会(JACII
     発足以来、ケニアでの日本語教育をリードしてきた。(2004年からは休講中)
  2. (2) カラティナ市のカラムアカデミー
     日本語クラスを開講するとともに、主に近隣の初等・中等教育機関の日本語・日本文化クラブを支援している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 8-4制。
 小学校が8年間(6~13歳)、中等教育が4年間(14~17歳)、高等教育は、大学(4~6年)、教員養成学校(2~3年)、職業専門学校(1~2年)、技術専門学校(2~3年)など。2017年から徐々に6-3-3制に移行開始、2020年現在、8-4制と6-3-3制が混在中。

教育行政

 初等・中等・高等教育機関のほとんどが教育担当省の管轄下にあるが、一部の専門学校は他省庁の管轄下にある。
 日本語教育が行われているケニア・ウタリー・カレッジ、ケニア野生生物公社専門学校は観光担当省の管轄下となっている。

言語事情

 多民族・多言語国家であることから、公用語として英語が、また国語としてスワヒリ語が使われている。
 日常会話は別として、公的な場面での使用言語としては英語が主となっている。
 教育言語としても、初等学校低学年ではスワヒリ語が使われるものの、それ以降は英語が使われている。

外国語教育

 国公立の初等・中等教育機関では、外国語教育は必修科目ではなく、一部の学校が選択科目として採用している。私立の教育機関では、必修または選択科目として外国語教育を実施しているところも多い。中等教育卒業資格試験(Kenya Certificate of Secondary Education : KCSE)では、選択科目の中にフランス語・ドイツ語・アラビア語が含まれている
 大学においても、外国語は一部の課程(言語・文学科/国際関係学科等)での必修を除き、選択科目として採用されている。

外国語の中での日本語の人気

 KCSEの選択科目では、特にフランス語の人気が高い。日本語はアジア言語として、中国語や韓国語と並ぶ選択肢の一つとなるものの、なかなか学習者が集まりにくくなっているのが現状である。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)等、主に日本で出版された各種教材を組み合わせて使っている。

中等教育

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)等、主に日本で出版された各種教材を組み合わせて使っている。

高等教育

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『げんき』坂野永理ほか(The Japan Times)、『まるごと』国際交流基金(三修社)等、主に日本で出版された各種教材を組み合わせて使っている。

学校教育以外

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『まるごと』国際交流基金(三修社)、『NIHONGO FUN & EASY』渡部由紀子ほか(アスク出版)等、主に日本で出版された各種教材を組み合わせて使っている。

IT・視聴覚機材

 教師によっては、パソコンやデータ・プロジェクター、インターネット、DVDなどを授業内で積極的に利用している。

教師

資格要件

初等・中等教育

 特に基準はない。

高等教育

 原則として修士号以上の取得者。

学校教育以外

 特に基準はない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 本格的な日本語教師養成を行っている機関・プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語教師のうちネイティブ教師は全体の10%ほどを占める。国際交流基金派遣専門家が1名(ケニヤッタ大学)、その他は、大学、専門学校、語学学校で常勤、もしくは非常勤として授業を受け持っている。また、在留邦人がボランティアとして日本語を教えるケースも報告されている。

教師研修

   2020年現在、国際交流基金派遣専門家により「オンライン日本語教師セミナー」が3週間に一度開講されている。
そのほか、国際交流基金「海外日本語教師研修」プログラムによる訪日研修の機会がある。

現職教師研修プログラム(一覧)

国際交流基金「海外日本語教師研修」プログラム

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

《「ケニア日本語教師会(JALTAK)」(2001年発足)》
「ケニア日本語教師会(JALTAK : Japanese Language Teachers' Association of Kenya)」は、大使館主導の下、当地の日本語教育機関で教えている教師(設立当初参加教師数:6機関、9名)の参加を得て設立された。日本語能力試験の実施、弁論大会開催、研究会開催が主な活動内容である。2010年よりメーリングリストによる情報共有、2011年よりSNSによる情報発信に取り組んでいる。2020年現在、What’s Appグループを通じてメンバー間で必要に応じ連絡及び議論がなされている。
《「東アフリカ日本語教育会議(ケニア日本語教育会議)」(2012年開始)》
 2012年に開催された「第1回ケニア日本語教育会議」は東アフリカ各国の日本語教育関係者が一堂に顔を合わせる初めての機会となった。翌2013年の会議は東アフリカにおける日本語教師の広域ネットワーク形成を目指す方向性をはっきりと打ち出すため、「第1回東アフリカ日本語教育会議(第2回ケニア日本語教育会議)」として開催され、以降2018年第6回会議まで毎年開催(うち2回はマダガスカルにおいて開催)。2019年からさらに範囲を広げ「第一回アフリカ日本語教育会議」がエチオピアにおいて開催された。SNS上ネットワークとしては、2013年に「東アフリカの日本語教育」グループが作成され、後に「サブサハラ・アフリカの日本語教育」に変更。2020年10月現在、SNSグループのメンバー数は135名である。

最新動向

 2019年9月に「第一回アフリカ日本語教育会議」がエチオピアにて開催され、アフリカ全土から13カ国が参加。第二回会議はケニアで開催予定。

シラバス・ガイドライン

初等教育

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

中等教育

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

高等教育

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

学校教育以外

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

評価・試験

 各大学が出す証書のほかは、国際交流基金が実施する日本語能力試験が唯一の公的な評価基準となっている。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣(2020年10月現在)

日本語専門家

 ケニヤッタ大学 1名

国際協力機構(JICA)からの派遣

 なし

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1975年 民間団体の日本アフリカ文化交流協会(Japan Africa Culture Interchange Institute : JACII)にて日本語クラス開設
1980年代 ジョモ・ケニヤッタ農工大学にて日本語クラス(留学希望者対象)開講(のちに閉講)
ナイロビ大学日本文学講座にて課外日本語クラス開講(のちに閉講)
アメリカン・ユニバーシティ・プレパレーション・インスティテュートにて日本語クラス開設(のちに閉講)
1994年 米国国際大学(USIU)アフリカ校にて日本語クラス(単位認定選択科目)開設
ケニア・ウタリー・カレッジ(国立観光専門学校)にて日本語クラス(単位認定選択科目)開設
1997年 エガトン大学言語学科にて日本語クラス(課外コース)開設
2001年 10月 大使館主導の下、当地の日本語教育機関で教えている教師の参加を得て「ケニア日本語教師会(JALTAK : Japanese Language Teacher Association - Kenya)」が設立(設立当初参加教師数:6機関、9名)
2002年 ストラスモア大学にて日本語クラス(単位認定選択科目)開設
ルアラカ高等学校で、日本語(選択科目)を採用(のちに閉講)
2003年 8月 大使館広報文化センターにてJALTAK主催「第1回JALTAK教師養成セミナー」が3日間にわたって実施
2004年 ケニヤッタ大学外国語学科に国立大学として初の認証コースとしての日本語クラス開設
ステートハウス女子高等学校において日本語クラブ(課外活動)発足
エガトン大学言語学科(課外)にJICAシニア海外ボランティア派遣(~2007年)
2月 ストラスモア大学にて大使館・JALTAK共催の日本語弁論大会が2日間の日程で開催。また、大使館広報文化センターにて国際交流基金日本語巡回セミナーがJALTAK教師を対象に2日間の日程で実施
2006年 国際交流基金日本語専門家派遣開始(ケニヤッタ大学外国語学科)
9月 大使館広報文化センターにて、JALTAK教師を対象とした「教師セミナー」を開始
12月 ナイロビのケニア・ウタリー・カレッジを会場として、サブサハラ・アフリカで初めて日本語能力試験が実施開始
2007年 カラティナ市周辺の高等学校で最初の日本語・日本文化クラブが発足
暴動による治安悪化のため、エガトン大学言語学科へのJICAシニア海外ボランティアの派遣中止
ヒルクレスト高校にて選択外国語としての日本語の授業が開始(のちに休止)
9月 「中東日本語教育セミナー」で「アフリカ分科会」が実施
2008年 グレーツァ大学にて日本語クラス開設(のちに閉講)
10月 ケニヤッタ大学にて第2回日本語弁論大会が開催
2009年 在ケニア日本国大使館で日本語講座開講
9月 カラティナにて第1回日本ケニア文化祭が開催
2010年 エガトン大学にて、自由選択科目としての日本語の授業が再開(のちに休止)
2月 ストラスモア大学にて第3回日本語弁論大会が開催
6月 カラティナにて第2回日本ケニア文化祭開催
11月 JALTAK主催、国際交流基金後援「eラーニングセミナー」開催
2011年 在ケニア日本国大使館にて日本語入門講座開講
ケニア野生生物公社専門学校にてJICAボランティア(~2012年)による選択外国語としての日本語の授業を開始
3月 大使館広報文化センターにて、日本文化祭とともに、第4回日本語弁論大会が開催
9月 カラティナにて第3回日本ケニア文化祭開催
2012年 2月 大使館広報文化センターにて第5回日本語弁論大会開催
8月 大使館広報文化センターにて第1回ケニア日本語教育会議開催
2013年 2月 USIUにて第6回日本語弁論大会開催
7月 大使館広報文化センターにて第1回東アフリカ日本語教育会議(第2回ケニア日本語教育会議)開催
2014年 3月 大使館広報文化センターにて第7回日本語弁論大会開催
8月 大使館広報文化センターにて第2回東アフリカ日本語教育会議(第3回ケニア日本語教育会議)開催
2015年 3月 大使館広報文化センターにて第8回日本語弁論大会開催
8月 大使館広報文化センターにて第3回東アフリカ日本語教育会議(第4回ケニア日本語教育会議)開催
10月 大使館広報文化センターにて初めての「日本語学習者に対する企業説明会」実施
2016年 3月 大使館広報文化センターにて第9回日本語弁論大会開催
2017年 3月 大使館広報文化センターにて第10回日本語弁論大会開催
同月 ケニヤッタ大学にて第5回ケニア日本語教育会議開催
同月 エンブにて第5回日本ケニア文化祭開催
2018年 3月 大使館広報文化センターにて第11回日本語弁論大会開催
9月 大使館広報文化センターにて第6回東アフリカ日本語教育会議開催
2019年 3月 大使館広報文化センターにて第12回日本語弁論大会開催

参考文献一覧

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