台湾(2022年度)
日本語教育 国・地域別情報
2021年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数※ |
---|---|---|
907 | 3,375 | 143,632 |
教育機関の種別 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 3,270 | 2.3% |
中等教育 | 46,197 | 32.2% |
高等教育 | 61,990 | 43.2% |
学校教育以外 | 32,175 | 22.4% |
合計 | 143,632 | 100% |
(注) 2021年度日本語教育機関調査は、2021年9月~2022年6月に国際交流基金(JF)が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
台湾における日本語教育は、おおよそ次の5段階に分けられる。
- 1.1895年~1945年(日本統治時代)
日清戦争後に日本が台湾の領有権を得てから第二次世界大戦終結まで、半世紀にわたった日本統治時代には、日本の教育制度が持ち込まれ、初等教育を中心に国語としての日本語教育が行われた。初等教育の就学率は、日本統治時代終了直前には70%超にまで達したという。 - 2.1946年~1971年(第二次世界大戦後)
戦後の台湾では国語(中国語)教育が進められ、日本映画の上映や新聞・雑誌・公共放送など公式な場での日本語の使用は禁止された。しかし、日台間の人的・経済的交流が盛んであったことから、日本語教育の需要は高く、主に語学学校で日本語が教えられていた。1960年代からはそれまで教材として利用されていた日本の小学校教科書や戦前に中国大陸で作られた教材に代わり、台湾製の日本語教材が増加した。1963年、私立の中国文化学院(現在の中国文化大学)に日本語学科が設立され、戦後初めて高等教育機関における日本語教育が開始。その後、中国文化学院に続いて、1966年淡江大学、1969年輔仁大学1972年東呉大学、が加わり、計4校の私立大学に日本語学科が設置された。中国文化学院には修士課程も設置された。 - 3.1972年~1986年(日台断交後)
日中国交正常化に伴う日台断交後、日本語学科の増設は一切許可されなくなった。しかし、一方で日台間の経済的・文化的交流は拡大を続け、日本からの観光客の増加もあったことから、日本語教育の需要は高かった。
1980年、国立の高等教育機関として初めて台中商業専科学校(現在の台中科技大学)に日本語学科が設置された。
同時期に、既に日本語学科を有していた東呉大学、淡江大学に修士課程が設置され、教育部(文部科学省に相当)所属の教育ラジオで日本語講座が始まり、さらに官庁でも日本語人材養成クラスが設けられた。 - 4.1987年以降~1990年代前半(戒厳令解除後)
1987年の戒厳令解除、1988年の李登輝総統就任以降、政治状況が一変すると、一元的言語政策による国語(中国語)教育の徹底から転じて、母語(「郷土語言」という。台湾語、客家語、原住民族語がある)教育が始まり、また国際化へ向けて外国語教育が推進された。外国語教育の推進は、最も人気の高い日本語の普及につながることとなる。1989年に国立政治大学、1994年に国立台湾大学に日本語学科が設置されると、日本語学科開設の波は台湾全土に広がった。また、1989年に台湾日本語文学会、1993年に台湾日語教育学会が設立された。 - 5.1990年代後半以降
1996年から高等学校(「高級中学」という)での第二外国語教育が試験的に実施され始めた。
教育部による「推動高級中学選修第二外語課程実験計画」の試行(1996年)、及び「推動高級中学第二外語教育五年計画」の施行(1999年7月~2004年12月)により、日本語教育の実施校及び学習者数は飛躍的に増えた。教師の待遇や大学における外国語教育との連携などの反省点を踏まえた「推動高級中学第二外語教育第二期五年計画」(2005年1月~2009年12月)では、高級中学学生預修大学第二外語課程專班(APクラス=Advanced Placement class)を開始。これは選抜試験に合格した高校生を対象に、大学教員が週末に教える特別授業である。続いて「推動高級中学第二外語教育第三期五年計画」(2010年1月~2014年12月)、「推動高級中学第二外語教育第四期五年計画」(2015年1月~2019年12月)が施行された。
また、2000年代に入ってからは、徐々に小学校や中学校においても日本語をカリキュラム、または課外活動に取り入れる機関が登場した。
背景
日本台湾交流協会が2022年1月に実施した世論調査によれば、「最も好きな国は日本」という答えが前回2018年度調査より1ポイント上昇して60%に達し、2位の中国の5%、3位のアメリカの4%に大差をつけて首位を維持した。一方で、「台湾に最も影響を与えている国」としては、毎回中国と米国の割合が高いものの、2021年度は米国(58%)が中国(25%)を大きく逆転し、過去最も高い割合で初めて第1位となっており(日本は13%で第3位)、台湾全体でみると米国留学が重視される傾向が続いている。
人的往来では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年以降人的往来がストップし、日台双方での留学生の受入一時停止などで台湾の日本語教育も大きな影響を受けたが、2021年に台湾で感染が急拡大した際に日本政府がいち早くワクチンを供与し台湾で大きな反響を呼んだなど日台間では極めて良好な関係が保たれた。感染状況の改善を受け2022年10月から日台双方でビザなし渡航が再開され、対面での交流も徐々に回復している。経済関係でも、日本との貿易総額は853億ドルに達し(2021年)、台湾では第3位、日本では第4位と密接な関係を築いている。良好な対日イメージを基盤として、伝統・現代両面の日本文化に対する関心、日本観光の人気は高く、日本語教育の裾野の広さを支えている。
台湾における対日世論調査(日本台湾交流協会台北事務所のウェブサイト)
https://www.koryu.or.jp/business/poll/
特徴
日本語は英語に次いで学習者の多い外国語である。2021年度日本語教育機関調査によると、最も学習者が多いのは、高等教育機関で61,990人。次に多いのが、第二外国語教育推進政策がとられている中等教育機関における日本語学習者で、46,197人である。いずれも少子化の影響を受け、学習者数は減少傾向にある。日本語能力試験の応募者数は75,227人、受験者数は66,445人(2022年度)を数え、応募者数・受験者数ともに日本語学習者の多い上位10か国中でも随一である。また、6歳から90歳までと受験者の年齢も幅広い(2022年第2回)。
最新動向
教育部は、国際的行動能力を備えた人材を育成するため、高等学校(「高級中学」)における第二外国語教育を推進し、海外教育旅行も奨励している。
2021年時点で高級中学における第二外国語導入校の71.6%が日本語を開講し、第二外国語学習者全体における日本語学習者の割合も46.84%を占めている。高級中学における第二外国語は、1996年に日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の4言語で始まり、2021年は14の言語に多様化している。とくに近年は、(1)婚姻により定住する「新移民」とその子女の増加、(2)経済交流の推進、に対応するため、東南アジア言語が奨励されている。
2014年8月から新たに施行された「十二年国民基本教育」は、人口減少に伴う生産力低下に備えて教育の多元化と質の向上を目的とする政策である。2014年11月に「十二年国民基本教育課程綱要 総綱」というカリキュラム・ガイドラインが公布され、第二外国語を含む科目毎のカリキュラムが2019年より導入され、多元文化と国際理解教育も重点項目のひとつとなった。また、教育旅行や姉妹校提携など日本との交流も盛んである。
高等教育では少子化の影響を受け、新入生が定員割れする大学も散見されるようになった。2022年の台湾教育部の試算によれば、2028年までに大学生は約3.6万人減少するとされており,各大学は差別化を図るため,インターシップなどの就職支援、日本の大学との交流活動など、さまざまな工夫をしている。夜間コースでは社会人の入学者が増加傾向にあり、生涯学習としてのニーズが高まっている。
教育段階別の状況
初等教育
小学校において正規科目または課外活動で日本語教育を導入している機関が22校(JF2021年度日本語教育機関調査)存在する。なお、小学校・中学校では異文化体験を促進し、国際的視野を養うことを目的とする教育部の国際教育推進の一環として多元文化週間、多元的文化理解活動が設けられている。
中等教育
前期中等教育
選択科目もしくはカリキュラム外のクラブ活動において日本語や日本文化を扱う機関が85校(JF2021年度日本語教育機関調査)存在する。
後期中等教育
教育部による第二外国語教育の推進及び海外教育旅行の奨励を受けて、272校が選択科目として第二外国語を開設、うち89.0%の242校が日本語を開講している(2020年第2学期〔2月~6月〕、高級中等学校第二外語教育推動計画)。日本語科目のほかに日本語や日本文化のクラブ活動を行う高校も少なくない。
また、日本語の特別クラスとして、「高級中学学生預修大学第二外語課程專班」(APクラス=Advanced Placement class)、「第二外語特色課程」「特色專班」が運営されている学校もある。
大学などが主催して高校生対象のスピーチ・朗読コンテストやアフレコ大会、日本語キャンプや日本文化体験講座なども各地で実施されている。
教育統計2022 中華民国 111年版
https://stats.moe.gov.tw/files/ebook/Education_Statistics/111/111edu_EXCEL.htm
高級中等学校第二外語教育推動計画
http://www.2ndflcenter.tw/web/index/index.jsp
外語群群科中心学校
http://210.59.19.199/tableitem/tableitem.asp?id={410AAFE1-BA14-4F79-AF5A-92254AE7F022}
高等教育
高等教育機関149校(教育統計2022年中華民国111年版)のうち、日本語科目を開講しているのは134機関(JF2021年度日本語教育機関調査)で約90%である。
2021年度、日本語学科を有するのは42校で、「日本語文学系」と「応用日本語系」に大別される。そのうち大学院修士課程を有するのは16校、博士課程は1校である。学生の需要に応えてダブルメジャーや副専攻の体制整備に取り組み、ビジネス日本語など就職に結びつく実用的な日本語科目を強化する動きが見られる。一方で、日本語専攻に限らず、高等教育における全般的な傾向として、修士課程進学者が減少する傾向がみられる。
大学や企業などの主催による大学生を対象にしたスピーチやプレゼンテーションなどさまざまなコンテストが実施されている。
学校教育以外
主に以下のような組織があり、年少者から日本語世代の高齢者まで幅広い層の学習者が多様な機関で日本語を学んでいる。
- 補習班
塾、予備校、語学学校を指す。台湾には大小の語学学校がいたるところにあり、ビジネス日本語、会話、文法、日本語能力試験対策など学習者のニーズに合わせた様々なクラスが開講されている。 - 語言訓練測験中心(LTTC)
外国語教育及び検定試験(日本語能力試験を含む)を実施する財団法人であり、学生や社会人等の一般向けに日本語の講座も実施している。 - 大学の社会人向けクラス
大学の「推広部」(生涯学習センター)や語学教育を担当する「語言中心」(言語センター)等が一般向けに講座を公開している。 - 社区大学
地域の学校や市民センターなどを利用した社会教育機関を指す。1999年に創設され、現在では台湾全土に設置されており、そのほとんどで日本語コースが開講されている。 - 高齢者対象の生涯学習施設
「楽齢中心」や「長青学苑」等と呼ばれている施設で、「社区大学」同様、地域の学校やコミュニティーセンター等を利用した生涯学習施設である。受講者は高齢者を対象としており、年齢制限(下限)がある。日本語のみならず、様々な講座が開設されている。 - 救国団
青少年活動を目的とした公益社団法人であり、台湾全土に活動センターが存在する。教育やサービスを中心に活動しており、その一環として一般を対象とした様々な講座が開設されている。日本語はその中の一つとして位置づけられている。 - 日本語授業校・継承日本語ネットワーク
台湾の各地で、継承語としての日本語を子どもたちに教える団体が主に母親たちによって運営されている。2011年にはこれら団体が連携し、台湾継承ネットワークを発足し、各地での活動の紹介や意見交換、勉強会や成果発表会などを定期的に実施している。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
6-3-3制。
小学校が6年間(6~12歳)、中学校が3年間(12~15歳)、高等学校が3年間(15~18歳)。前期中等教育3年と後期中等教育3年を合わせた中高一貫校もあり「完全中学」と呼ばれる。高等学校は、高級中学と高級職業学校に区分されていたが、2013年7月に公布された「高級中等教育法」により「高級中等学校」として一本化され、学校類型として(1)普通型 (2)技術型 (3)総合型 (4)単科型の4つに分けられている。
高等教育機関は、大学(4年制総合大学)以外に、「四技」(4年制技術系大学)や「二技」(「五専」卒業者向け。大学の3~4学年に相当)、「五専」(高等専門学校)、「二専」(短期大学)など、多様な形態が存在する。
台湾の義務教育は小学校・中学校の9年間であったが、2014年8月より「十二年国民基本教育」を施行し、小学校・中学校の義務教育9年間と後期中等教育3年間を合わせて 12年間の初等中等教育を保証している。後期中等教育は強制入学ではなく自主入学であり、入学試験の廃止、授業料無償化、新たな学区の設置などが定められている(2013年7月「高級中等教育法」)。なお、多くの高等学校への入学は、會考(國中教育會考)という毎年5月中旬に中学3年生を対象に実施される学力試験の結果及び中学における成績が鍵となる。
教育行政
初等、中等、高等教育機関のすべてが教育部の管轄下にあるが、特殊高等教育機関(軍隊警察系大学など)においては、その限りではない。
言語事情
公用語は中国語(中国大陸の北京語を基礎としているが、繁体字を用い、一部語彙や発音が異なる)であり、国語と呼ばれる。人口の96.8%が中国語(国語)、86.0%が台湾語(閩南語、ホーロー語とも)、5.5%が客家語、1.1%が原住民族語(アミ語、タイヤル語など)を使用する(行政院主計総処「民国109年人口及住宅普査」)。小学校では「郷土教育」の一環として、台湾語、客家語、原住民族言語が1~6年生の選択必修科目である(教育部97年国民中小学九年一貫課程綱要)。公共交通機関では、国語、台湾語、客家語、英語などによる案内放送が流されている。
外国語教育
初等教育では、小学3年生より英語が第一外国語として必修となっている。市や県によっては小学1年生もしくは2年生から開始するところもある。
中等教育では、高等学校1年生より、第二外国語が選択科目として開講可能となっており、数学等の大学受験科目も加えた中から各学校が開講する選択科目を決定している。教育部は高等学校における第二外国語教育を推進している。
外国語の中での日本語の人気
(日本語教育の実施状況→全体的状況→【特徴】のとおり。)
高等学校における選択科目としての第二外国語教育は、導入校272校、学習者47,125人のうち、日本語導入校は242校(89.0%)、日本語学習者数22,075人(46.8%)と最も多い。学習者数の2位以下は、韓国語(6,864人〔14.6%〕)、スペイン語(5,677人〔12.5%〕)、フランス語(5,618人〔11.9%〕)、ドイツ語(4,373人〔9.3%〕)が続く(2021年第2学期〔2月~6月〕、教育部)。
大学入試での日本語の扱い
大学入学統一試験科目に第二外国語は含まれない。ただし、2002年に大学入試制度が大幅に変わり、大学が独自の入試方法を取り入れることが可能となり、大学(日本語学科)によっては、入学試験における加点制度(公的外国語試験に合格した者に加点)や推薦入学制度等を設けている。
学習環境
教材
日本で発売された教科書の一部は台湾で版権を取得し繁体字訳やアクセント記号などを付けて売られている。また、台湾で制作・出版されたものも多い従来の教材を含め、eラーニング教材も制作が進んでいる。
初等教育
児童向け教材として、『新・楽しい子供の日本語』山田伸子(大新書局)『にほんごではなそう!』(致良出版)などがある。
中等教育
第二外国語教材(現地出版)として、中等教育機関向け教材が多数出版されている。
高等教育
『大家的日本語』(前出)、『新文化日本語』文化外国語専門学校(大新書局)などがよく使用されている。一方、各校作成のオリジナル教材も開発されており、ビジネス、観光、文化など多様な教材が出版され、eラーニング教材の開発も進められている。
学校教育以外
『大家的日本語』(前出)
市販教材各種
IT・視聴覚機材
主に高等教育機関で、授業以外で使う自主学習用マルチメディア教材の開発が行われている。また姉妹校とオンラインによる遠隔教育を行っている学校もある。
教師
資格要件
初等教育
原則として、教員免許取得者。
中等教育
初等教育に同じ。
高等教育
博士号取得者が優先される。修士号取得者が最低要件。
学校教育以外
定められた要件はないが、学士号を要件とするところが多い。
日本語教師養成機関(プログラム)
国立・私立大学の中には、教職課程センターが設置されているところもあり、日本語学科の学生でも別料金を払って、教職科目を履修すれば、教員免許を取得することができる。
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
初等教育
資格(教員免許)が必要。日本語を母語とする教師は少ない。初等教育機関での日本語教育は、そのほとんどがノンネイティブ教師(非常勤)である。
中等教育
中学校・高等学校いずれも資格(教員免許)が必要。日本語を母語とする教師は少ない。中等教育機関での日本語教育は、そのほとんどがノンネイティブ教師(非常勤)である。
高等教育
日本語学科を有する大学には常勤、非常勤の日本人教師がいる。日本人教師が日本語会話や作文を担当する割合は比較的高く、その他スピーチコンテスト、演劇公演等の課外活動を指導することがある。
学校教育以外
多くの民間日本語学校で常勤、非常勤の日本人教師が雇用されている。
教師研修
日本台湾交流協会台北事務所及び高雄事務所は、内外から講師を招くなどして教師研修会を実施している。また、教育部などの主催で、高校で第二外国語を教える教師を対象にしたセミナー等も行われている。
訪日研修としては、2011年度からJFの海外日本語教師研修プログラムへの参加が始まった。
現職教師研修プログラム(一覧)
日本台湾交流協会台北事務所及び高雄事務所が、内外から講師を招くなどして教師研修会を実施(不定期)。
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
高等教育機関の日本語教師を中心メンバーとしている学会が4つあり、それぞれ年次大会、国際シンポジウム、研究会などを開催している。複数の学会に同時に加入している会員も多い。また、大学ごとに日本、韓国、中国などと連携した国際シンポジウムを開催し、各大学で行っている研究活動の共有も盛んである。また、「台湾芥川龍之介学会」が設立されていたり、淡江大学主催の「村上春樹国際シンポジウム」が毎年開催されたりするなど、文学研究も活発である。
- 1.台湾日本語文学会:1989年設立。日本語、日本文学の研究を目的として設立された。例年3月と6月に例会、10月に特別講演会、12月に年度大会を実施している。(さくらネットワークメンバー)
- 2.台湾日語教育学会:1993年設立。日本に関する言語、文化の研究と教育支援を目的として設立された。2012年、高等教育と中等教育のアーティキュレーションを図るため、ワーキンググループ「J-GAP Taiwan」が結成され、例会、発表会やシンポジウム、教材開発などを行っていた。同グループは2016年、高校用教科書作成事業の終了をもって、解散した。(さくらネットワークメンバー)
- 3.台湾応用日語学会:2002年設立。日本語と、日本の歴史、政治経済、社会、文化、教育をはじめとする広範な学術領域との応用言語の研究を推進する目的で設立された。(さくらネットワークメンバー)
- 4.台湾日本語言文芸研究学会:2000年設立。日本語、日本文学、日本文化・社会分野の若い研究者がより多く参加できる学会を目指している。
最新動向
各学会はSDGs、AIや21世紀型スキルなどの新しい研究にも取り組みつつ、自立的に安定した運営を行っている。
日本語教師等派遣情報
国際交流基金からの派遣(2023年3月現在)
日本語パートナーズ
2022年度 計49名(長期15名、大学連携34名)
国際協力機構(JICA)からの派遣
なし
その他からの派遣
日本台湾交流協会 日本語専門家
台北事務所 2名
高雄事務所 1名
シラバス・ガイドライン
中等教育においては、2014年11月に公示された「十二年国民基本教育綱要 総綱」(カリキュラム・ガイドライン)に従い、2019年より第二外国語を含む科目毎の新カリキュラムが導入されている。2018年発布、教育部「十二年国民基本教育課程綱要 語文領域-第二外国語文」に高等学校(「高級中学」)の選択科目としての第二外国語教育における課程目標、核心となる能力、時間配分等が示されている。
URL:https://www.naer.edu.tw/files/15-1000-14113,c1594-1.php
評価・試験
- 1.日本語能力試験(JLPT)
台湾における日本語能力試験(JLPT)は、1991年開始。日本台湾交流協会、国際交流基金、語言訓練測験中心(LTTC)が主催している。
実施回数は、2009年に年2回に増え、2010年第2回以降は、毎回N1~N5まで、全レベルの試験が行われている。
URL:http://www.lttc.ntu.edu.tw/JLPT.htm - 2.日本留学試験(EJU)
日本学生支援機構(JASSO)の主催、LTTCの実施により、毎年2回行われている。日本台湾交流協会の学部留学生、大学院留学生への奨学金試験として採用されている。
URL:http://www.lttc.ntu.edu.tw/EJU.htm - 3.第二外語能力測験・基礎級(SFLPT-Basic)
台湾独自の外国語能力試験として、LTTC主催「第二外語能力測験・基礎級」(SFLPT-Basic)が2010年に始まった。これは、教育部が推進する第二外国語教育の成果をみるためのものであり、中学生以上を対象として、日本語、フランス語、スペイン語、ドイツ語の4言語で実施されている。試験の成績は推薦入学の参考となるほか、大学の単位免除にも使われる。
URL:http://www.lttc.ntu.edu.tw/SFLPT.htm - 4.外語能力測験(FLPT)
LTTC主催「外語能力測験」(FLPT)は、日本語、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語の5言語を対象とした試験で、1965年に始まった。原則的に毎月行われ、その結果は、公務員の採用や昇進、教育部の国費留学生試験の選考等に使われている。また、一部の大学では、交換留学の際の外国語能力の証明になっている。
URL:http://www.lttc.ntu.edu.tw/FLPT.htm
このほか、JNTO通訳案内士試験(一次試験)、2013年からは日本漢字能力検定協会が主催するBJTビジネス日本語能力テストが実施されている。その他、J.TEST実用日本語検定、秘書検定などを取り入れている学校もある。
日本語教育略史
1895年 | 日本統治の開始。初等教育を中心に国語としての日本語教育を実施(~1945年) |
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1963年 | 私立中国文化学院(現:中国文化大学)に、高等教育機関として戦後初の日本語学科(当時の名称:東方語文学系日文組)設置 |
1966年 | 私立文理学院(現:淡江大学)に、日本語学科(当時の名称:東方語文学系)設置、2006年に修士課程設置 |
1968年 | 私立中国文化大学に修士課程設置 |
1969年 | 私立輔仁大学に、日本語学科(当時の名称:東方語文学系日本語文組)設置 |
1972年 | 私立東呉大学に、日本語学科(当時の名称:文学院外国語文学系東方語文組)設置 |
1980年 | 台湾省立台中商業専科学校(現:国立台中科技大学)応用外語科に国立の高等教育機関として初の日本語学科(当時の名称:応用外語系日文組)設置 私立東呉大学に修士課程開設 |
1981年 | 教育部所属の教育ラジオにて日本語講座開設 |
1989年 | 国立政治大学に国立大学初の日本語学科設置 台湾日本語文学会設立 |
1991年 | 日本語能力試験の実施開始 私立東呉大学に博士課程設置 |
1993年 | 私立輔仁大学に修士課程設置 台湾日語教育学会設立 |
1994年 | 国立台湾大学に日本語学科設置 |
1999年 | 「推動高級中学第二外語教育五年計画」開始 |
2000年 | 台湾日本語言文芸研究学会設立 |
2001年 | 私立東呉大学に社会人向けの夜間修士課程設置 |
2002年 | 台湾応用日語学会設立 |
2005年 | 「推動高級中学第二外語教育第二期五年計画」開始 |
2006年 | 私立淡江大学に修士課程設置 |
2010年 | 「推動高級中学第二外語教育第三期五年計画」開始 世界日本語教育大会(台湾)開催 |
2012年 | 台湾日語教育学会の下に「J-GAP Taiwan」結成(~2016年) |
2015年 | 「推動高級中学第二外語教育第四期五年計画」開始 |
2016年 | 台湾日本語文学会、台湾日語教育学会が外務大臣表彰を受賞 |
2022年 | 社団法人台湾日語応用学会が外務大臣表彰を受賞 |