チュニジア(2022年度)
日本語教育 国・地域別情報
2021年度日本語教育機関調査結果
機関数 | 教師数 | 学習者数※ |
---|---|---|
2 | 4 | 170 |
教育機関の種別 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
初等教育 | 0 | 0.0% |
中等教育 | 0 | 0.0% |
高等教育 | 0 | 0.0% |
学校教育以外 | 170 | 100.0% |
合計 | 170 | 100% |
(注) 2021年度日本語教育機関調査は、2021年9月~2022年6月に国際交流基金(JF)が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。
日本語教育の実施状況
全体的状況
沿革
チュニジアにおける日本語教育は、1977年にブルギバ現代言語研究所(Institut Bourguiba des Langues Vivantes、 現在はチュニス・エル・マナール大学(Université de Tunis el Manar)に所属する)へのJICAが派遣する海外協力隊(日本語教師)によって開始されたが、1993年に協力隊派遣は一旦終了した。その後、1999年に同研究所でアラビア語を学んでいた日本人留学生が、一般社会人及び学生を対象とした日本語教育を開講した。以降、現在まで継続的に日本人の教師が日本語を教えており、2022年からは海外協力隊の派遣も再開されている。
ブルギバ現代言語研究所とは別に、2002年にカルタゴ大学外国語研究所(Institut Supérieur des Langues de Tunis, Université de Carthage)において日本語教育が開始されたが、2008年を最後に資金不足により中断した。
そのほか、エル・マナール大学チュニス国立技術学校(Ecole Nationale d’Ingénieur de Tunis(ENIT))(2014年~)やエル・マナール大学医学部(2017年~)でも日本語教育が実施されていた(単位や学位を取得できるものではなく、クラブ活動に近い形)が、現在は日本語教師不在により中断している。
背景
チュニジアは伝統的に親日的な国であり、マンガやアニメをきっかけとして日本文化に関心を持ち、日本語学習を希望する者が多い。また、2022年にチュニスで開催された第8回アフリカ開発会議(TICAD8)を契機として日本への関心は更に高まっている。
特徴
訪日経験や語学学校での学習を通じて日本語を学び、比較的高い日本語能力を有する者もいるが、指導可能な人材が限られており、中級者以上が継続して学習し、日本語能力を高める環境が整っていないことが課題である。
最新動向
チュニジアで日本語教育を行っている機関は、ブルギバ現代言語研究所(1977~)である。このほか2017年より、チュニス市内にある私立のビジネス・スクール(First Leaders Consulting)で日本語教育が開講された。
教育段階別の状況
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
カルタゴ大学ボルジュ・セドリア先端科学技術学院(Ecole Nationale des Sciences et Technologies Avancées de Borj Cédria(ENSTAB))にて、選択科目として日本語クラスが開講しており、チュニジア人教師によって日本語教育が実施されている。
学校教育以外
ブルギバ現代言語研究所では、社会人や一般のチュニジア人を対象にした日本語講座が開設されている(学位の付与はない)。4年終了時に行われる試験の合格者には、ブルギバ現代言語研究所の卒業証明書が授与される。
2017年10月からチュニス市内にある私立のビジネス・スクール(First Leaders Consulting)で日本語教師の資格を有する日本人講師による日本語教育が開講された。
教育制度と外国語教育
教育制度
教育制度
9-4制。
基礎教育(初等学校と下級中等学校に分かれるが、一貫課程)が6歳からの9年間、高校(上級中等学校)が4年間で、そのほかに技術専門学校、職業訓練校などがある。高等教育は大学(3~7年)、高等技術大学(3年)などがある。
16歳までが義務教育。
教育行政
基礎教育、高等学校は教育省の管轄下にある。
大学、高等技術大学は高等教育・学術研究省の管轄下にある。
言語事情
公用語はアラビア語。
フランス語も都市部では一般的に広く使用されている。
外国語教育
通常基礎教育3年生(8歳程度)からフランス語(第一外国語)教育が始まる。
以前は基礎教育4年生(10歳程度)から英語(第二外国語)教育が開始されていたが、現在は、6年生(12歳程度)から開始されるようになっている。
外国語の中での日本語の人気
マンガ、アニメなどの人気は根強く、日本語に関心を持つ若者は増加傾向にある。
大学入試での日本語の扱い
大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
教材
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)を参考としている。(ENSTAB)
学校教育以外
『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)を参考としている。(ブルギバ現代言語研究所(2年生から4年生)、First Leaders Consulting)
『まるごと 日本のことばと文化』(三修社)を参考としている。(ブルギバ現代言語研究所(1年生))
IT・視聴覚機材
日本語教育にIT・視聴覚機材は使用していない。
教師
資格要件
初等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
中等教育
日本語教育の実施は確認されていない。
高等教育
資格要件は特にない。
学校教育以外
現地人講師は、日本語または日本文化などの博士号の学位取得が必要(博士号を有していない場合、契約講師として数年は勤務可能)とされているが、職階により資格要件は異なる。日本人講師は、学士号を有していれば、教授が可能。
日本語教師養成機関(プログラム)
日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。
日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
現在4名の日本人講師が以下の教育機関で教授している。
なお、First Leaders Consultingに所属する2名の講師は、当地の大学でアラビア語を学ぶ日本人留学生。
教師研修
現職の日本語教師対象の研修はない。
教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
日本語教育関係のネットワークはない。
日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣
なし
国際協力機構(JICA)からの派遣(2022年10月現在)
JICA海外協力隊
エル・マナール大学ブルギバ現代語学研究所 1名
その他からの派遣
(情報なし)
シラバス・ガイドライン
統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。
評価・試験
2020年より日本語能力試験(JLPT)が開始されている。第2回目となった2021年の試験ではチュニジアで初めてのN1レベル合格者が出ている。
日本語教育略史
1977年 | ブルギバ現代言語研究所(Institut Bourguiba des Langues Vivantes, Université de Tunis el Manar)で海外協力隊の日本語教師によって日本語教育が開始(1993年に協力隊の派遣は一旦終了)。 |
---|---|
1999年 | ブルギバ現代言語研究所にて日本人留学生により日本語講座が再開 |
2000年頃 | カルタゴ大学ボルジュ・セドリア先端科学技術学院(ENSTAB)で日本語教育が開講 |
2002年頃 | カルタゴ大学外国語研究所(Institut Supérieur des Langues de Tunis, Université de Carthage)において日本語教育が開講(現在は中断) |
2004年 | カルタゴ大学環境テクノロジー学研究所にて日本語講座開講(現在は中断) |
2014年 | エル・マナール大学チュニス国立技術学校(Ecole Nationale d’Ingénieur de Tunis(ENIT))にて日本語教育開講(現在は中断) |
2017年 | チュニス市内にある私立のビジネス・スクール(First Leaders Consulting)にて日本語教育が開講 |
2017年 | エル・マナール大学医学部にて日本語教育が開講 |
2020年 | 日本語能力試験(JLPT)実施開始 |