J-LEAPとは?
事業概要
本プログラムは、2010年11月に行われた日米首脳会談で合意された日米同盟深化の柱の1つである日米間の文化・人材交流と、金融危機以来予算削減の危機に面している米国日本語教育への支援を強化するため、海外の教育現場で研鑽を積む意欲のある若手日本語教員を米国の日本語クラスを有する初中等教育機関に派遣する事業として、2011年より米国非営利団体ローラシアン協会と共同で実施しています。
若手日本語教員はアシスタントティーチャー(AT)として、派遣先機関の日本語教師であるリードティーチャー(LT)の指示のもと、日本語クラスでのチームティーチング、教材やカリキュラムの作成、テストや宿題の採点などの補助業務を行うほか、派遣先機関や周辺地域でより多くの人々に日本語や日本文化に触れて関心を持ってもらうための日本語や日本文化に関連したイベントの企画、運営に協力していきます。
アシスタントティーチャー(AT)の活動内容
ATの主な活動には、派遣先機関(米国の小・中学校、高校)で行う日本語クラスや日本語・日本文化理解促進に関する活動と、派遣先機関外での活動(周辺地域での日本語・日本文化に関する活動や他地域での日本語キャンプへの参加など)があります。
派遣先機関での活動
LTの指示のもと、日々の授業に向けてレッスンプラン作りや教材作成(授業で使うスライドやワークシートなど)のサポートに取り組みながら、日本語クラスでLTとのチームティーチングを行います。授業では、研修で学ぶACTFL(全米外国語教育協会)の言語教育の枠組みをもとに、できるだけ日本語を使って日本語を教えることが期待されています。
その他にも、以下のような多岐にわたる業務を担当します(業務内容は派遣先機関の環境やLTの方針により異なります)。
<主な業務例>
- LTとのチームティーチング(日本語で日本語を教える)
- 教材やカリキュラム、宿題の作成や採点などの補助業務
- 日本語クラスの事務補助(教室の備品管理や清掃など)
- 日本文化理解に関するプレゼンテーションやアクティビティの実施(他教科クラスでの実施含む)
- 学校内の日本語クラブや日本関連イベントの企画、運営
- 日米の学生のオンライン交流プログラムのサポート
- 派遣先機関の日本へのスクールトリップの引率
- 日本の中高生(派遣先機関の提携校など)の受け入れサポート
- 保護者への対応(保護者面談や保護者向け説明会の補助業務、保護者向け日本語教室での講師活動など)

LTとの信頼関係を築きながら、日々の授業や準備に臨みます

日本語クラス以外の生徒に日本の魅力を伝えることもATの大切な活動

ジャパンボウル(日本クイズ大会)優勝に向けて生徒たちをサポート
派遣先機関外での活動
派遣先機関外で日本語や日本文化・社会の理解を促進していくこともJ-LEAPの大切なミッションの一つです。派遣地域や全米のより多くの人々に日本語や日本文化に興味を持ってもらうために、派遣先機関以外の日本語教育者や関係機関との繋がりを作りながら、さまざまなイベントに協力していきます。AT自らイベントを企画、運営することもあります。
<代表的な活動事例>
- ミネソタ州で行われる日本語サマーキャンプ(日本語のみを使うイマージョンプログラム)での講師活動
- ACTFL(全米外国語教育協会)をはじめとした各種カンファレンスでの発表
- 近隣の学校での出張日本語教室や日本文化紹介セッションの開催
- 派遣地域の図書館での定期的な日本語教室や日本文化アクティビティの企画や運営
- 地域イベントでの日本語や日本文化紹介
- 派遣地域の大学の日本語カンバセーションクラブの運営サポート
- 派遣地域の日本語スピーチコンテストの審査員や運営サポート

ACTFL(全米外国語教育協会)のカンファレンスにLTとともに登壇

地域で行われた世界各国の文化体験イベントに日本ブースを出展

日本語や日本文化を広めるための近隣小学校での出張授業
派遣先機関からのメッセージ
プログラムやアシスタントティーチャーに関する派遣先機関のリードティーチャーや関係者からの声を掲載しています。
ロックポート・タウンシップ・ハイ・スクール
Robert McBride Jr.氏(11期小野田 英明AT派遣校学区教育長)
言語学習は、生徒が他の言語を話す機会を与えてくれますが、それ以上に重要なことは、言語を学ぶことで他の人々や文化がどのように考えているかを生徒が理解できるようになるということです。日本人の先生が教室にいることで、生徒たちは日本人が世界についてどのように考えているのかをよりリアルに理解することができます。J-LEAPは、この言語・文化的理解の本質を私たちに届けています。
当校の日本語教師が日本から来た先生とペアを組むこのプログラムは、生徒の日本語、日本文化、日本の習慣に対する理解と関心をより高め、生徒と世界を繋げる大変重要な役割を果たしています。

ロックポート・タウンシップ・ハイ・スクール
Karla Button先生(11期小野田 英明AT派遣校リードティーチャー)
20年以上日本語を教えてきましたが、もっと早くJ-LEAPに参加できていれば良かった、と心から思っています。ATの小野田先生は、当校の日本語プログラムに本当にたくさんの価値をもたらしてくれました。授業のカリキュラムを改善し、生徒たちがより文化的な経験をできるよう、私たちは日々協力し合っています。生徒たちは小野田先生が私と一緒に日本語を教えてくれることをとても喜んでくれていますし、彼は日本語と日本文化を学ぶことの面白さを生徒たちに気づかせ、多くの生徒のやる気を引き出しています。さらに、彼は生徒たちととても良い関係を築いていて、実際、彼と出会って日本語教師になることを考えている生徒もいるくらいです。
また、素晴らしいトレーナーたちのもとで行われるJ-LEAPの夏の研修や個別サポートのおかげで、自分自身のレッスンプラン作り等のスキルにも磨きをかけることができました。日本語プログラムをより良いものにしたい学校にとって、本当にお勧めのプログラムです。

カメハメハ・ハイ・スクール・マウイ・キャンパス
Andrew Scott先生(11期黒田 麻井AT派遣校リードティーチャー)
今回でリードティーチャーとして3度目の参加になりますが、学校の日本語プログラムの大幅な拡大と私自身の言語教育者としての大きな成長を実感しています。J-LEAPは、生徒たちに本物の文化や豊かな学習機会を与える素晴らしいプログラムであると同時に、当校の日本語プログラムの認知度を高めるさまざまな活動や質の高いコラボレーションを実現する他では代えがたい絶好の機会にもなっています。J-LEAPによって、当校の日本語クラスは活気と興奮に溢れ、その影響は他の言語や分野のクラスにも波及しています。
今年はマウイ島の火事やスケジュールの問題等の苦難に直面しましたが、生徒たちがただ辛い経験に耐えるだけでなく、そこから成長できるよう、私と麻井先生はチームとして一緒に頑張ってきました。私にとって麻井先生は、ただプログラムを拡大、強化するだけの役割ではなく、私の指導法を改善し、私自身がこれまで気づかなかった自分の秘めていたエネルギーを引き出してくれる、本当に素晴らしいパートナーです!
求める人材像
J-LEAPでは、現地活動を通じての若手日本語教員の成長に期待していることから、日本語教師としてのポテンシャルや成長意欲を重視しており、派遣時点での日本語教授経験は問いません。
ただし、約2年間、毎日一緒に働くLTとの関係構築が活動を充実させるうえで最も重要なポイントになることから、LTの指示に合わせて臨機応変に対応しながら1つ1つの課題を乗り越えるための柔軟性や協調性、コミュニケーション力が強く求められます。また、日本とは業務上や生活上の習慣が大きく異なる現地環境のなか、自立した生活を送るための適応力も求められます。
求められるスキル・姿勢
- プログラムの目的と自身の役割を十分に理解し、その目的を達成するための強い責任感と課題遂行能力を持っている。
- 業務の中で起こる意見の相違や課題に対して、積極的なコミュニケーションを取ることで協力的に解決し、業務遂行ができる。
- 異文化の中で起こりうる業務上や生活上の様々な困難を乗り越えるための十分な柔軟性、忍耐力を持っている。
- 派遣先機関の日本語教育の活性化や自己の日本語教授能力の向上に対する強い意欲がある。
- 派遣先機関のスケジュール、イベント開催等による休日や放課後における活動要請に柔軟に対応できる。
- 日米文化交流に興味があり、対日理解促進に寄与できる。
スケジュール
募集開始から帰国までの主なスケジュールは以下のとおりです。
※詳細なスケジュールは募集要項をご確認ください