米国若手日本語教員(J-LEAP) 10期生 年間報告書
ベイエリアで1年目を終えて

カストロ・バレー・ハイ・スクール
小川 由梨香

カリフォルニア州と教育について

カリフォルニア州は1850年にアメリカ合衆国の31番目の州となりました。州都はサクラメントで、もともとスペイン領であったためスペイン語が語源のものが多く、スペイン語を話す人もたくさんいます。面積は日本より大きく、全米第3位の大きさです。日本列島に似た地形で、日本と同様に北と南では大きな気候の違いがあります。人口は全米1位の多さです。アジア系の人口は全米2位でヒスパニック系も全米3位と人種のるつぼです。

カリフォルニア州の学校はだいたい8月中旬から始まり6月上旬に終わります(地域と学校による)。義務教育は日本の小学1年生~高校3年生までです。高校まで義務教育で飛び級が可能です。クラスも日本の大学の制度と似ており、一般教養科目以外は自身で選択して科目履修するため、クラス内での学年は関係ありません。また、人種のるつぼなので、英語が母語でない生徒が多数います。

日本語教育の規模は、全米の中でも特に大きいです。日本語の学習環境は、日本人学校、日本語学校、日本語補習校、さらに日本語のみを使用し学習する日本語イマ―ジョン校と豊富です。日本語学習の目的は、生徒が日系3世で祖父母と日本語で話したい、自分のルーツを知りたい、アニメを字幕なしで見てみたい、いつか日本に行ってみたいなどさまざまです。

カストロバレー高校

ヘイワードという場所にあるカストロバレー高校に勤めています。比較的、治安のよい住宅地の中に学校があります。生徒数は約3,000人、教師数は約100人です。学校全体の生徒の70パーセントがアジア系なので、日本語を受講している生徒の割合もアジア系の生徒が多いです。新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」)の影響でNETFLIXHBO MAXなどの普及が加速し、アニメが好きな子どもが増えたことにより、日本語を勉強したい学生の数も増加しました。現在、日本語のクラスはJapanese1~4、Advanced Placement (AP)の5レベルのクラスがあり、合計160人以上の生徒がいます。授業で使用している教材はAdventure in Japaneseです。基本的には教科書ベースで授業を展開しており、プレゼンテーションやプロジェクトを通して日本の文化やターゲットランゲージなどを勉強しています。コロナの影響でICT化が進んでおり、全生徒が学校からChromebookを支給されているので、KIZUNAのプログラム(JICAのアジア地域と北米地域の青少年交流プログラム)を通して6か月間、日本の学校と交流しました。同世代の高校生と日本語でコミュニケーションを取ることで、生徒の勉強のモチベーションにも繋がりました。更に、授業でおりがみやあやとりなどの日本文化に取り組んだり、おにぎりパーティーをしたり、さまざまな活動を行うことができました。

日本語クラブとその他の活動及び日本語の授業見学

学校の日本語クラブでは節分の日に鬼のお面を作ったり豆を食べたり、子どもの日に向けておりがみの鯉や金太郎を放課後に一緒に作ったりさまざまな日本行事の文化についての認識を深めることができました。

また、日本語を取っている学生と一緒にサンフランシスコにある日本町に行き、うどんやたこ焼きなどの日本食を食べたり、最近はやっているアニメを知ったり、日本語を勉強するモチベーションと興味を高めることができました。更に、ノースサリナス高校の学生と共に、日系人収容キャンプの劇を鑑賞し、日本の学校では習わない日本の歴史について知り、日本の歴史に対する認識を再度深めることができました。

AT(アシスタントティーチャー)としては、同じ州の学校やJ-LEAPの同期が派遣される違う州の学校へ積極的に訪問しました。たくさんの学校の雰囲気や日本語の授業スタイル、生徒などが場所によって全く違うので驚きました。特にイマ―ジョン教育をしている学校を訪れた時、外国語として日本語を教えるのではなく、日本語という言語ツールを使って他教科の知識を深めるという環境に触れ、改めて自分がどのような日本語を米国の人に知ってほしいのか、そのために何ができるのか考えを深めることができました。

1年目を終えて、2年目の目標

1年間ATとして主に担当した業務は2つあります。1つ目は、生徒にとって安全で安心できる環境を作ることです。コロナ禍ということもありメンタルヘルスが悪化している生徒が多かったです。生徒が安心できる場所を作るサポートに力を注ぎました。2つ目は、授業や日本語クラブでの日本文化の導入に力を入れました。日本語を勉強している生徒の大半はアニメにしか興味がないので、少しでも違う日本の魅力を知ってもらうことができたらと今後も継続して力を注ぎたいと思います。

2年目の目標は2つあります。1つ目は、日本の学校との交流をすることです。日本で英語教師をしていた時に働いていた学校とGoogle MeetGoogle Classroomを使って異文化交流を始める予定です。双方の生徒が言語学習に対するモチベーションを高め、互いの文化についての見識も深めていけるような交流にしたいです。コロナ禍で実現可能かは分かりませんが、できれば来年にカストロバレー高校の生徒と共に日本の学校へ訪問させて頂きたいです。

2つ目は、さまざまな先生方の授業を見学させていただくことです。1年目は日本語の授業の見学をしましたが、2年目は他教科の授業を見学させて頂き、自身の教育者としての視野を広げ、さまざまなアイディアを吸収し、自身の教師としての成長につなげられるようにしたいです。

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