米国若手日本語教員(J-LEAP) 10期生 総合報告書
J-LEAPでの2年間

ダンズモア・エレメンタリー・スクール
今井 愛理

年少者に教えること

私は2年間、主に幼稚園生と1年生のクラスを担当したのですが、年少者は特に長い間座って集中することが難しい年齢のため、10~15分ごとにアクティビティを変えたり、ダンスなどで体を動かしたり、歌ったり、ゲームのように教えたりと、とにかく飽きさせない工夫が必要でした。J-LEAPに参加する前は、日本語学校で教えていたので高校生¬~大人に教える経験はあったのですが、小さい子どもに教えるのは初めてだったので少し不安がありました。が、幼稚園のクラスではひらがなのレッスン、1年生のクラスではリードティーチャー(以下「LT」という。)にサポートしていただきながら理科と社会の授業のプランニングとリードを任せてもらっていたので、子どもたちが興味惹かれるレッスンになるよう工夫する力が養われたと感じます。飽きないレッスンをするためのアクティビティやゲームのアイデアの引き出しを増やすことができたのは大人を教えるときにも強みになりますし、子どもたちからも、理科のレッスンが一番好き!と言ってもらえたり、新しい言葉を教えるために自分が考えた替え歌を子どもたちが歌っているのを聞けたりした時は本当にうれしかったです。

日本語が継承語の生徒と外国語として学ぶ生徒

ダンズモアはデュアルイマ―ジョンという、すべての教科を日本語と英語の両方で学ぶプログラムを採用しています。イマ―ジョンで日本語を学んだ子どもたちのうち、家庭で日本語に触れる機会が少ない子どもたちは、授業に関連する語彙を知っていても、例えば、「週末何をしましたか。」などの日常的に使う表現が理解できないことがありました。また、知っている単語は沢山あるけれど、高学年になっても文章を組み立てることが難しい生徒も見られ、赴任中は各学年に向けて家庭で日本語を話さない生徒向けの放課後日本語支援クラスを担っていました。
毎日学年ごとに30分間、学校生活に関連する語彙や文法、授業に関連する語彙や表現を中心に教えたのですが、2年間の赴任中にメインで担当した幼稚園と1年生のほかに、少しの時間でも他の学年を教えることができたのはイマ―ジョンの成功例/課題をより多角的にみるきっかけとなりました。また、同じ年齢の子どもに教える場合でも、継承語として日本語を学ぶのか、外国語として学ぶのかによって違うアプローチが必要なことや兄弟でも日本語の伸びに違いがあることに気づくことができて大変勉強になりました。

アメリカで日本語を学ぶ中高生の交流

長期休みの時には、J-LEAPの同期が派遣されている学校へ見学に行ったり、トレーナーの先生を通じて出会った日本語の先生が教えられている高校を訪問したりして、派遣校の小学生だけでなく、日本語のクラスをとっている北カリフォルニアの中高生たちやノースカロライナの小学生たちとも交流することができました。日本にいる生徒たちとダンズモアの生徒たちをつなげるという取り組みはできませんでしたが、アメリカで日本語を勉強する学生たちと出会えて、日本語で会話することで、好きな映画や食べ物、音楽の話で盛り上がることができ、学生からも「こんな風にカジュアルに日本語が話せてうれしい。大学に進学したら日本に行きたい。」などと言ってもらえて、学生たちのモチベーションに繋がったことは大変うれしく思います。アメリカで日本語を勉強している中高生の数は想像していたよりも多く、沢山の生徒が日本の文化や日本語に興味があるということを知ることができ、また普段教えている小学校とは違う日本語のクラスが見られたことはとても貴重な経験でした。

これからアメリカで日本語教育に携わる皆さんへ

J-LEAPはどこに派遣されるか、またどんなLTとペアになるかによって全く違った経験になるので、どんな状況でも物事をポジティブにとらえられることや臨機応変に対応できる力が大切だと思います。また、はじめは生活や仕事に慣れることで精いっぱいだと思いますし、困難にぶつかることもあると思いますが、LTはもちろん、ホストファミリー、ほかの学年や教科を教えていらっしゃる先生、トレーナーの先生方など、派遣後は沢山の出会いがあると思うので、力になってくれる人がいるはずです。何か困ったことがあった時は、1人で抱え込まずに周りの人に相談するのを忘れないでほしいです。
アメリカは地域差があるとは思いますが、それでも日本とは比べ物にならないくらいの多様性があります。私もJ-LEAPでロサンゼルスの派遣となり、言葉・生活・考え方など、あらゆる面で今まで慣れ親しんだものとは違うものに沢山触れましたが、そのどれもが私の視野を広げてくれるきっかけとなりました。皆さんもこれから新しいものや人、考えに出会っていくと思いますが、いいと思うものは吸収して、これは自分には合わないかな…というものは上手く消化して、楽しみながら日本語教育に携わっていってほしいです。

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