米国若手日本語教員(J-LEAP) 11期生 年次報告書
ハワイ州での1年目を終えて

カメハメハ・スクール マウイ・キャンパス
黒田 麻井

ハワイ州と日本語教育について

ハワイ州は、太平洋に浮かぶ8つの島々から構成されており、首都のホノルルがあるオアフ島、ハワイ島、マウイ島、カウアイ島などがあります。面積は、8つの島々を合わせて約16,634平方キロメートルで、東京都の約7.6倍の大きさです。人口は、1,440,196人(2022年国勢調査局調べ)で、全米では40位にあたります。また、2020年の国勢調査によると、米国の州全土の多様性を図る指標でハワイ州が76%で、1位となっており、それほど人種や民族が多様であるということを示しています。そのため、ハワイ州の学校教育では、多文化教育が重要視されており、異なる文化や言語への理解を深めるための取り組みが広く行われています。特に、日系移民の方が多いという歴史的な背景から、日本文化や日本語への関心は高く、ハワイ州における日本語教育はとても盛んです。また、近年のアニメや漫画などのポップカルチャーへの関心の高まりが、日本語学習への動機となっているケースも多く見受けられます。

カメハメハ・スクール マウイ・キャンパスについて

カメハメハ・スクールは、ハワイ州にある私立学校1つで、州内に4つのキャンパスを持っています。その中の1つで、マウイ島のプカラニ市に位置するキャンパスが、私の派遣先機関のカメハメハ・スクール マウイ・キャンパスです。幼稚園から12年生に至るまでの幅広い学年の学生を受け入れており、教師の人数は約80人、学校全体の学生数は、約1,200人です。ハワイの先住民であるハワイアンの子どもたちに対して、ハワイの文化や価値観を尊重する教育が行われています。また、カメハメハ・スクール マウイ・キャンパスでは、学生が異なる文化や言語に触れる機会として、日本語とスペイン語の2つの外国語の授業が提供されています。このような外国語の授業は選択科目となっているため、日本語のクラスを取る学生のモチベーションは高く、日本や日本文化に興味のある学生が多いです。昨年度は、秋学期で約40名、春学期では約45名の学生が日本語を履修しており、先生が1人で教えています。私は、その先生のもとで、アシスタントティーチャーとして働いています。主な業務内容は、日本語初級1の学生に対して、ひらがな及びカタカナの認識、発音、読み書きの指導、また日本語初級1から3の学生に対して、新しい文法を使った発話練習、読解練習、書く練習、またそれに関連したゲームやアクティビティなどを行なっています。

日本語の授業以外での活動

日本語の授業以外での活動としては、下記の2つに参加したことが印象に残っています。

  • 他校への訪問及び訪問先での授業見学と参加(計4校:カリフォルニア州、イリノイ州、アイオワ州)
    2022年8月〜2023年8月の1年間で、カリフォルニア州の高校2校、イリノイ州の高校1校、アイオワ州の高校1校の計4校へ訪問し、授業見学をさせてもらいました。この経験から、一番感じたことは、「みんな違って、みんないい」ということです。それぞれの学校では、人種の多様性が違ったり、学生の雰囲気が違ったり、教育のシステムや教授法が違ったりしていたのですが、どの学校でも先生方がその特徴や学生に合った方法で、工夫や思考を凝らして、授業づくり、・クラスづくりをされていることを学びました。私は、その学んだことを持ち帰り、今はカメハメハ・スクールでのクラスづくりに役立てています。
  • 日本語クラブへの参加
    月に1回程度、昼休みの時間を利用して開催される日本語クラブに、スーパーバイザーとして参加しました。日本語クラブでは、学生が主体となって、日本語や日本文化を体験するイベントを行なっています。私が参加したのは、いちご大福作りとお餅・おにぎりの試食会です。特に、日本の食文化に興味を持っている学生が多く、毎回学生がとても楽しそうに日本文化に触れている様子が印象に残っています。

アロハに恵まれた1年間と2年目に向けて

ハワイで生まれ育った人たちは、「アロハスピリット」と呼ばれる、心の在り方やそれに基づいた行動をとても大切にしています。アロハスピリットとは、人と人とのつながりを大切にし、誰に対しても思いやりのある優しさで接することを表します。そんなアロハスピリットが根付いているハワイの人々の優しさと行動は、私の人に対する接し方にもいい影響を与えてくれました。特に、学校では、学生とのつながりを大切にするように心がけています。ささいなことですが、学生が教室に入ってくるときには、笑顔で一人一人の名前を呼んであいさつをします。また、学生が話しかけてきたときには、目・耳・体、心を寄せて学生に向き合うようにしています。そんな私なりのアロハスピリットは、学生といい信頼関係を築くために、とても大切なものでした。
2年目の目標は、2023年8月から新たに始まった中学生(7〜8年生)への日本語プログラムにおいて、リードティーチャーと一緒に、授業の基盤を作っていくことです。そして、初年度である今学年は約70名の学生数を予定していますが、来学年度には、さらに多くの履修希望者が出ることを目標とし、カメハメハ・スクール マウイ・キャンパスにおける日本語プログラムの繁栄に貢献したいと思っています。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2
  • 派遣先での写真3
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