米国若手日本語教員(J-LEAP) 12期生 年次報告書
ようこそ自然豊富なミネソタ州へ!

イーストビュー・ハイ・スクール
林 賢之介

ミネソタ州って一体どんなところ?

ミネソタ州はアメリカ中西部に位置し、アラスカ州を除けば最も北にある州です。冬の気候は厳しく、州都はセントポール、隣にミネアポリスがあり、これらを合わせてツインシティと呼ばれています。陸地面積は約20万平方キロメートルで、10,000以上の湖が点在し、人口は約570万人以上で増加しています。主に白人が多いですが、近年ではミャオ族やアフリカ諸国からの移民も増え、多様化が進んでいます。 ミネソタ州は芸術の面でも評価が高く、多くの美術館や公園があります。著名なアーティスト「プリンス」もミネアポリス出身です。また、ドイツや北欧の背景を持つ人々が多く住み、関連イベントも豊富です。 教育面では、ミネソタ州は全米で初めてチャータースクール(さまざまな教育問題に取り組むことを目的として保護者や教員、地域団体などが設立を希望し、州や学区の特別認可を受けてできた学校)を導入し、多くの公立・私立大学があります。学生主体の教育を重視し、21世紀に必要な問題解決能力を育てています。日本語教育は特別大きくないものの、日本語補習校や高校での教育があり、「森の池」というイマージョンサマーキャンプ(学習目標言語のみを用いて生活するキャンプ)も行われています。学生の日本語学習の動機は主にポップカルチャーの影響であり、日本語使用環境はクラス内が主です。しかし、ミネソタ日米協会のイベントでは日本語を使う機会も提供されています。

私の学校について

イーストビュー高校は、1997年に設立され、ミネアポリスの南の郊外に位置しています。教師や事務員は200人以上、学生数は約2,000人で、多くが大学進学を目指しており、進学準備コースも豊富です。設立当初は白人が多かったものの、現在は多様性が見られます。
1年目、日本語を履修していた学生は約160人で、日本語1~4の進級に伴い、履修者数が減少する傾向にあります。日本語のクラスは選択科目であり、1年目はフルタイムのリードティーチャー(以下、LT)とパートタイムの教師、私を加えての3人体制でしたが、2年目からはLTと私の2人体制となりました。教科書『できる日本語 初級』を使用し、基礎を固めるために多用しますが、上のレベルとなる日本語3や4のクラスでは、プロジェクトやオリジナル教材を使用することもあります。
1年目には、日本語APクラス(Advanced Placement:大学の単位として認められる上級レベルのクラス)があり、学生はAPテストに合格すれば大学単位に変換できました。しかし、2年目からは大学生と同じテストを受けることでUniversity of Minnesota(ミネソタ大学?)の単位を取得できるコースを導入し、高校在学中に大学単位を取得できるようになりました。この単位は他大学にも移行可能で、学生にとって有益です。
日本語履修の動機は、日本文化やアニメ・漫画への興味からが多く、授業では教科書だけでなく、文化に関するビデオやアクティビティも取り入れています。多くの学生が友人の影響で履修し、楽しいクラスとして認識しています。2年間履修する学生は、4年間継続することが多いです。

学生が日本語を使える場所はどこ?

ミネソタ州のConcordia Language Campにはさまざまなイマージョンキャンプがあり、その中の日本語キャンプ「森の池」にボランティアとして参加しました。7歳から16歳までの学生が日本文化に触れ、日本語で日本語を学びました。先生たちは日本語だけを使用し、ジェスチャーや表情、歌や劇などを活用して学生が理解できるよう工夫していました。午前中には2つのクラスがあり、レベルチェックインタビューでクラス分けされ、ひらがな、カタカナ、漢字などを学びました。午後は「クラブ」の時間があり、私はギタークラブを担当し、日本のジブリの曲を目標に練習しました。また、バスケットボールや紙飛行機、ちぎり絵などの1日クラブも行い、学生たちは楽しんで参加していました。
さらに、ミネソタ日米協会が主催するJ-quizというイベントにもクイズ出題者として参加しました。J-quizでは日本の伝統文化や地理、ポップカルチャーに関するクイズが出題され、オンラインで子どもから大人まで参加できる形式で行われました。参加者はクイズに挑戦し、楽しんでいる様子が見られました。また、日本人ゲストスピーカーや日本語プログラムを持つ大学の特設コーナーもオンラインで提供され、参加者は満足している様子でした。

1年を振り返って、そしてこれからの目標

初めてのアメリカ生活に不安を感じましたが、LTやホストファミリーのサポートのおかげで、1年目を無事に過ごすことができました。ミネソタ州の人々は日本人と文化的に似ており、例えば食事の際に最後の一つを誰も取らないことや、長い別れの挨拶などがあり、心地よく感じました。私の住む地域は多様な文化背景を持つ人々が共に暮らし、お互いの文化を尊重し合っています。
2年目も引き続きクラスに貢献し、LTとの関係を良好に保ちたいと思います。さらに、挑戦したいことが3点あります。まず、多くの学校を訪問し、そこで学んだことを自分のクラスで試すことです。1年目には1校しか訪問できなかったため、2年目は可能な限り多くの学校を訪れたいです。次に、地域の日本文化・日本語普及に貢献することです。昨年はミネソタ日米協会のイベントに1回しか参加できなかったので、今年は積極的にボランティアとして参加し、日本語会話教室にも毎週参加したいです。最後に、クラスで自信を持って授業をリードすることです。1年目は不安からLTに頼ることが多かったですが、学んだことを活かして自立した教師を目指します。

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