日米の懸け橋として 二年間の活動を終えて

ガーフィールド・ハイ・スクール
西島 阿弥子

アシスタント業務あれこれ

配属先ではアシスタントティーチャー(以下、AT)として、主に以下の4つの業務を担当しました。
1. 日々の授業の補助
日本文化紹介・漢字文法説明の教材作成や、リードティーチャー(以下、LT)とのティームティーチングを日々行いました。遅れがちな生徒に対しては、昼休みや放課後の時間に補習を行い、日本語教師として新たな気づきを多く得られました。

2. 教室外で日本語を使う機会の提供
大阪の中学校と2年間で合計600通以上の手紙を交換しました。また、カンボジアとウズベキスタンの日本語学習者とビデオレターの交換も行いました。生徒の日本語学習に対するモチベーションを上げることが出来たと思います。

3. 日本の高校生との生の交流
kakehashiプログラムを通じて、日本の高校生23名を3日間受け入れました。配属先の学校全体を巻き込んで、ホームステイ先探し、イベントの企画運営を行いました。結果、来年度も日本の高校生が訪問することが決定しました。

4. 日本語プログラムの宣伝
AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」のカバービデオをJ-LEAP3期生有志で作成しました。YouTubeにアップロードしたところ、13万ヒット越えを記録しました。生徒からも、「日本語のクラスは楽しい!」という声を多く聞くことが出来ました。

いずれの活動も一人では成しえなかったことばかりです。周りの方の多くのサポートがあったからこそ出来たと感じています。

配属先を飛び出して

受入機関以外では、主に以下の3つの活動を行いました。

1. ワシントン州スピーチ&スキットコンテスト実行委員会
ワシントン州では、日本語を学習している高校生を対象として、日本語よるスピーチと劇のコンテストが年に一度開催されます。毎年100名近い参加者を誇るこのコンテストで、実行委員を務めました。普段教室の中にとどまりがちな学習者にとって、他校の生徒と切磋琢磨できることは、大きな意義があると感じました。

2. イマージョンキャンプのボランティア
イマージョンキャンプとは、日本語だけを使って日本文化を体験する日帰りのキャンプのことで、シアトル市内、近郊の中学生、高校生を対象として年に一回開催されています。運営はワシントン州日本語教師会を中心とするボランティアによって行われ、参加者は様々な日本文化を体験することが出来ます。
2015年度には派遣先の高校生も初参加し、普段日本語教室では見られない生徒の隠れた才能を垣間見ることが出来ました。

3. シアトル近隣での出張授業
ワシントン州でJ-LEAPのメンバーが派遣されている4つの学校を周り、出張授業を行いました。配属先とは違った各学校の特色を感じ、アメリカの多様性を実感しました。

日米の若者交流の懸け橋として

日米間の若者交流に少しでも寄与出来たのではないかと思うことは、前述したことと重複しますが、以下の二つの活動です。

1. 日米間の文通
大阪の中学生と配属先の高校生とで、文通をしました。インターネットが発達した時代に、あえて手書きの手紙を交換することで、お互いの生の声を通して、心の交流が出来たのではないかと思います。

2. 日本の高校生との生の交流
kakehashiプログラムを通じて、日本の高校生23名を3日間受け入れました。ホームステイ受入れを、日本語履修者以外の家庭でもしてもらうことで、学校コミュニティを巻き込んだ活動を行うことが出来ました。
また、学生のために日米間の懸け橋になるだけではなく、自分自身もホストファミリーや領事館のイベント等を通じて、多くの米国の方々と知り合う機会を得られました。このような草の根レベルでの日米交流が出来るのは、J-LEAPならではだと感じています。

今後に向けて

今回の経験を通じて、海外で日本語教員として活動するうえで特に大切だと感じたのは、以下の二つの力です。

1. つながる力
 周りの方々の理解と協力がなくては、どのような活動も成しえないと実感しました。現地の日本語教師会や日本関連のイベントに積極的に参加する姿勢が必要だと学びました。

2. アピール力
 外国語教育は予算削減の煽りを受けやすいため、日本語プログラムの存在意義をアピールしないと生き残れないということを痛感しました。

また、今後も日本語教育に携わりたいと考えています。具体的には、以下の二つの活動を行いたいです。

1. 日本語を母語としない児童の支援
配属先の高校では、英語を母語としない生徒が、全校生徒の8%を占めていました。そのような生徒への支援が必要であることを学び、日本でも、日本語を母語としない生徒の支援に携わりたいと思うようになりました。

2. 各国の日本語学習者の懸け橋
渡米前には、ウズベキスタンで日本語を教えていたこともあり、アメリカ、ウズベキスタン、日本の三か国の日本語学習者をつなぐ活動をライフワークとして行いたいと考えています。

多くの方々に支えられ、二年間の活動を終えられたことへの感謝の気持ちを忘れず、今後も日本語教育に携わっていきたいと思います。ありがとうございました。

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