アラスカ州での2年間の日本語教育

サンドレイク・エレメンタリー・スクール
中平 達也

日本語クラスでの活動

私が、アシスタントティーチャー(以下、AT)として主に担当した業務は、日々のチームティーチングに加え、ホームルームの担当、使用教材の準備・作成、授業で使用したプリントやテストの採点などです。この他にもATとして様々な業務に携わりましたが、リードティーチャー(以下、LT)との普段の学校生活自体が最も有益な経験だったと思っています。アラスカ州の日本語イマージョンスクールで2年間、LTと日本語クラスを担当したことで、小学生に対する教授方法や学習態度の指導、また保護者への対応など、語学教師としてだけでなく、「小学校の先生」として多くのことを学びました。また、アメリカの教育事情やイマージョンスクールの教育など、日米の教育の違いを学び、教師に必要な様々な観点や知見が身に付いたことは、一教育者としてとても有益な経験でした。また、ATとしての業務を日々こなすことで、LTの業務負担を軽減し、プラニングタイムを有効活用するなど、LTに対しても多くの貢献ができたと思っています。実際に、LTからも「ATと一緒にチームティーチングできたことで、例年よりスムーズに授業を進めることができた」と言っていただきました。チームティーチングという「1つの教室に2人の先生がいる」ことを最大限に活かし、子供たちへの日本語教育に貢献できたのではないかと考えております。

受入機関外での活動

受入機関外で担当・協力した活動の中で、最も注力したものとして次の4つの活動があります。

  1. (1) A. J. Dimond High SchoolAdopt-A-Student Program(以下、AASP)に日本人ホストとして参加。
  2. (2) Alaska World Language Declamation Contest (Region / State Division)で日本人審査員を担当。
  3. (3) University of Alaska Anchorage(以下、UAA)の日本語サークルに参加。
  4. (4) Alaska Nihongo Speech Contestでプログラム作成および審査員として参加。

AASPや日本語サークルの活動では、学生それぞれに興味のある分野が違い、様々なトピックについて日本語で話し合い、とても楽しい時間を過ごすことができました。また、Alaska Nihongo Speech Contestに関しても、2年間この業務に協力させていただきましたが、アラスカ日本語教師会の先生方と一緒に日本語教育のイベントに取り組み、主要メンバーの1人としてイベントを無事に終えられたことは、とても印象に残る活動でした。

日米の若者交流について

ATとして働く中で、担当した1年生から「達也先生が好き」、「日本語が好き」など多くのポジティブな言葉をもらいました。彼らは、保護者の意向で日本語イマージョンプログラムに入学した小さい子どもですが、学校で日本語を学ぶことを楽しんでもらえたことが、ATとしての一番の成果だと思っています。日本語クラスでは、桃太郎の紙芝居を読んだり、ハロウィーンで日米のお化けを比較したり、日本の文化を紹介する中で、生徒が興味津々な顔で話を聞いていたのが、とても印象に残っています。また2年間の活動を通じて、現地の教員や生徒の保護者からも「引き続きアラスカで教師として働いてほしい」という言葉もいただき、非常に嬉しく思いました。UAAの日本語サークルにおいても、現地で日本語を学ぶ大学生と交流し、彼らと日本語・日本文化を通じて、親交を深めることができたと思っています。
私は今回、アラスカ州のサンドレイク小学校に派遣されましたが、2年間のすべての活動を通じて、教え子の小学1年生だけでなく、日本に興味を持つ様々な人たちと交流できました。国・文化の壁を越えて、アラスカの人たちと良好な関係を築けたことは、日米間の若者交流に少なからず貢献ができたのではないかと考えています。

J-LEAPの2年間を終えて

2年間の業務を終えて、日本語教師として海外で働くことのやりがいや大変さを肌で感じました。LTとのチームティーチング、受入機関外での活動、J-LEAP研修など、教師として成長するための貴重な機会に恵まれたと思っています。派遣当初は、海外に長期滞在することへの期待と不安がありましたが、周囲の温かいサポートのおかげで、有意義な時間を送ることができました。今後は、このJ-LEAPの2年間の経験を活かし、小さい子供たちへの教育に携わりたいと考えています。そして、今後も日米の若者交流・異文化交流に貢献していきたいと思っています。
今後、J-LEAPまたは類似プログラムで派遣される方々には、何事にも積極的に行動し、日本語ネイティブスピーカーがいることの意義を伝えていただきたいと思っています。日本語ネイティブスピーカーから日本語や日本文化を学ぶことは、きっと現地の学生にとって貴重な体験になると思います。また、派遣プログラムや受入機関によって、派遣期間は異なると思いますが、その限られた貴重な時間を最大限に活用してほしいと思います。ぜひ様々なイベント・活動に参加し、生徒・保護者・教員など多くの人たちと交流し、日本の魅力を伝えていってほしいと思います。

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