コネチカット州での二年間

マローニー・インターディストリクト・マグネットスクール
金子 麻美

アシスタントティーチャーとしての業務

日本語クラスでの主な業務としては、リードティーチャー(以下、LT)と共にチームティーチング、 宿題添削やワークシート作成、レッスンやアクティビティ作成などです。LTとチームティーチングを行うことで、クラスマネージメントがスムーズに行えるだけでなく、生徒にとってもわかりやすく的確な説明をすることが出来たと思います。私の派遣先ではPre-K(プリキンダーガーテン)から5年生までの全生徒が日本語を必修で学んでいます。そのため、歌やダンスを取り入れたり、テクノロジーを使用したりと、生徒たちが楽しいと思える授業を目標に授業を行なっていました。日本語クラス内では90%以上日本語を使って授業をしていて、特に年齢の低いPre-KKindergartenの授業では100%日本語で授業をしました。 また、週に一度の卒業生のための日本語アフタースクールを担当しました。年齢や日本語のレベルが違う生徒たちがいるクラスを受け持つというのは私にとってチャレンジでしたが、教師として成長できる貴重な経験でした。この経験を通して生徒のニーズに合ったレッスンを作成する重要性に気付くことも出来ました。

日本語クラス外での活動

派遣先の町、ウォーターベリーで行われたThe Gatheringというイベントに参加しました。このイベントでは世界各国のブースが出され、それぞれの国の文化体験や食べ物を紹介します。LTと私は一緒に日本ブースを作り、折り紙や書道などの日本文化を紹介しました。また、私たちの生徒はステージで日本語の曲メドレーを披露しました。日本文化に全く触れたことのない人たちが日本のブースに来て、興味を持って質問をしてくれたり、一緒に書道や折り紙を体験してくれたりする様子を見て、やりがいを感じると共にもっと多くの人に日本の文化や日本の良いところを知って欲しいと思いました。また、学校においても日本語クラス外で年に数回イベントを行いました。新年会では餅つきをしたり羽付きやこまなどのおもちゃで遊んだり、日本の小学校とSkypeで会話もしました。夏祭りでは浴衣を着て盆踊りをしたり、地元の高校生が作ったお寿司を食べたりしました。イベントには生徒の家族にも参加してもらい、生徒だけでなくその家族にも日本文化を体験してもらえる良い機会となりました。

日本を知ってもらうために

コネチカット州での日本語教育の規模は大きいとは言えません。特に私の派遣先であるウォーターベリーでは日本人を見かけることはなく、アジア人自体の人口も少ない町でした。マローニーにおいても、日本人や日本語のバックグラウンドを持つ生徒は一人もいなく、日本が地図のどこにあるのかを教えるところからのスタートでした。また、日本と他のアジアの国の区別がついていない人に会うことも珍しくはありませんでした。その中で日本人として私が出来ることは、とにかく日本という国を知ってもらい、興味を持ってもらえるような存在になることでした。授業中に生徒の疑問や質問に答える時や、生徒の保護者と会話をする中で心がけたのは、アメリカ人が持っている一般的な日本のイメージと実際の日本の違いを伝えることです。日本のお寿司はアメリカで売られているお寿司とは違うということや、「emoji」という単語は元々日本語の「絵文字」から来ているということなど、小さなことでも会話のきっかけとなり、自分たちの生活の中に日本が関係しているという新たな発見は日本への興味を持つきっかけとなっていたと思います。

二年間の派遣を終えて

この二年間、毎日が新しい発見と学びの連続でした。J-LEAPに参加する前は教師経験が全くなかった私ですが、実際にアメリカの教育現場で働けるという経験を出来たことは本当に貴重で、教師としてだけでなく人間としても大きく成長出来たと思います。私がこの二年間で強く感じたのは、臨機応変に状況に対応する力の重要性です。クラスで起こることは予想出来ませんし、マニュアル通りに進むこともありません。そんな中でも教えることの楽しさを忘れず、生徒の気持ちに寄り添える教師になりたいと思うようになりました。また海外では特に、自分の価値観や意見を常識だと思うのではなく、違う文化や価値観を受け入れる寛容性を持つことが大切だと思います。新しい環境に飛び込むことや新しいことに挑戦することを恐れず、積極的に人と関わりを持つことで自分の新たな一面を発見することも出来ると思います。出来るだけ多くのことを吸収し、全ての物事を前向きに捉えるという心がけで、この二年間はとても充実していました。この派遣を通して学んだことを忘れずに、今後も精進していきたいと思っています。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2
What We Do事業内容を知る