コネチカット州での一年間

マローニー・マグネット・スクール
金子 麻美

コネチカット州

コネチカット州は、ニューイングランド地方と呼ばれる、アメリカ北東部に位置している州です。州の北にマサチューセッツ州、東にロードアイランド州、西にニューヨーク州、そして南はロングアイランド湾に接しています。イギリスから最初に独立した13州のうちの1つの州で、州都はハートフォードです。陸地面積はアメリカ合衆国50州の中で第48位という小さい州で、人口は約357万人です。コネチカットには豊かな自然が沢山あり、秋にはとても綺麗な紅葉を見る事が出来ます。また、ニューヨーク州のマンハッタン、マサチューセッツ州のボストンまでは車で約二時間と大都市にも近い距離なので、とても住みやすい州です。私の赴任先であるMaloney Interdistrict Magnet School(以下、マローニー)は、州の中で5番目に大きいウォーターベリーという町に位置しています。

コネチカット州の日本語教育の規模は大きいとは言えません。私の赴任先であるマローニーはウォーターベリーで唯一日本語教育を行っている小学校です。また、ウォーターベリー市内には日本語教育を行っている中学校、高校はありません。コネチカット州全体においても、日本語教育を行っている教育機関は少ないというのが現状です。

Maloney Interdistrict Magnet School

私の赴任先であるマローニーはマグネットスクールです。マグネットスクールとは、特別なカリキュラムやコースを設けている公立学校であり、市内だけでなく他の市からも生徒を受け入れています。マローニーの特別なカリキュラムの1つとして「日本語・日本文化プログラム(JLC)」があり、Pre-Kindergartenから5年生までの全生徒約600名が日本語を必修で学んでいます。日本語の授業は1回25分のクラスを週3回行っていて、教科書は使用せずカリキュラムを独自に作成して授業を行っています。授業内では90%以上日本語を使用し、パワーポイント等を用いて写真や動画を見せたり、歌やゲーム等のアクティビティを行ったり、生徒達が楽しいと思える授業を目標にしています。

アシスタントティーチャー(以下、AT)としては、リードティーチャー(以下、LT)との会話やアクティビティのモデル、授業中の生徒のフォロー、授業の最初に行う日付、数字、季節等の練習のルーティーンを担当しました。また、Pre-Kindergartenの2クラスのうちの1つのクラスをLTの立場で教える機会も頂きました。

日本語授業外での活動

週に1回行われている日本語アフタースクールを担当しました。ウォーターベリーには日本語を教えている中学校、高校がないので、マローニーを卒業後に日本語を学び続けたい卒業生のために、週に1回75分間の日本語アフタースクールを行っています。アフタースクールに参加している卒業生達は年齢もレベルも違いますが、日本語を学びたいという気持ちで自ら参加してくれています。

一年を通して行われる「新年会」や「夏祭り」といったイベントでは、餅つきをしたり、浴衣を着て盆踊りを踊ったり、日本の文化を体験出来る良い機会になっていると思います。また、このようなイベントには生徒だけでなく生徒の家族の方達にも参加してもらっていて、イベントを通して日本に対する知識や興味が少しでも深まれば良いなと思います。 さらに、学校の行事として行われたMulticultural Celebration Nightでは、現地の日本食レストランにお寿司を寄付してもらい配ったり、折り紙コーナーやName writingコーナーを作ったりしました。

二年目に向けて

私にとってこの一年間は、全てのことが新鮮で毎日新しい発見と学びがありました。日本語を教えた経験が全くなかった私ですが、LT、マローニーの先生、そして生徒から多くのことを学び、とても充実した日々でした。実際にアメリカの教育現場で働くという経験を通して、日本とアメリカの学校制度の違いや文化の違いにも気付く事が出来ました。
Pre-Kindergartenから5年生までの全学年を教えるという経験をする事が出来、年齢によってどのように教え方を変えなければならないのか、そして生徒達が楽しいと思える授業を行う難しさを身をもって学びました。また、生徒が日本語のクラス外でも日本語で挨拶をしてくれる時や、必死に覚えた日本語を使おうとする姿を見る度に、日本語教師としての喜びを感じました。
一年目は新しい環境に慣れることに必死でした。二年目は、一年目に学んだ事を自分で実践出来るようになりたいと思っています。また、マローニーの生徒は自分で選択して日本語を学んでいるわけではありません。だからこそ、日本語を学ぶのは楽しい!日本に行ってみたい!と一人でも多くの生徒に思ってもらえるような授業作りを目指して、頑張りたいと思います。そして二年目になっても初心を忘れず、日々学び続けることを大切に精進していきたいです。

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