ミネソタでの2年間の派遣を終えて
イースト・ビュー・ハイ・スクール
吉留 玲妃
アシスタントティーチャーとして
アシスタントティーチャー(以下、AT)として担当していた業務はひらがな・カタカナ・漢字の書き方デモ、教材作成、採点、学生の手伝い、日本語クラブ参加などがあります。そして、日本人としての考え方や文化・習慣をクラスで発表することも担当していました。文字の書き方デモでは学生に「日本人は書かれた文字からその人の性格もみるんだよ」と伝えると学生たちは母語の文字よりも綺麗に日本語を書くようになっていました。そして、学生が書いた文字を細かく確認・評価してサマティブ・アセスメント(結果に対する評価)を迎えた結果、ひらがなとカタカナ、漢字の定着度がAT派遣前と比べて上がっていることがわかりました。そして、リードティーチャー(以下、LT)からは自身の教え方を見直すいい機会であったという言葉をいただきました。2年目はATの目標としてTPRSという新しい教授法を導入して、ユニット・教材作成、授業実施、テスト作成、評価をすることで日本語3、日本語4のクラスを受け持ちました。新しい教授法を使い一からユニットプランを立てることは大変ではありましたが、LTとのチームティーチングで学んだことを活かし、アメリカの日本語教育現場で一人の教師として教壇に立てたことは素晴らしい経験になりました。
派遣地域での活動
受入機関外で行った活動は日本語クラブ、日本文化イベント、週末イマージョンキャンプ、夏のイマージョンキャンプ、中学校の運動会、JASM(ミネソタ日米協会)でのボランティア、学区内での言語啓蒙活動、多言語話者イベントなどがあります。その中で最も印象深かった活動は夏の日本語イマージョンキャンプでのボランティア活動です。このサマーキャンプは全米から集まった日本や日本語に興味のある学生が1週間から4週間ミネソタのキャンプサイトに集まり、24時間のほとんどを日本語だけで生活するというものです。日本語のキャンプは2セッションが用意されており、それぞれのセッションに約120人ほどの小中高の学生が参加していました。このキャンプの面白さはConcordia Language Villagesのミッションに基づいて、コミュニティーの一員として毎日の生活上で他人と協力することをそれぞれの言語の文化を加えてイマージョン教育を実施しているところでした。このプログラムには日本語を教えてみたいと思うアメリカ人の大学生や社会人がキャンプカウンセラーとして参加していて、その人たちがどのようにして日本語に興味を持ち、学習してきたかや各州の日本語教育現場、日本語コミュニティーに関して話を聞ける機会でもありました。
日米間の若者交流
クラスでは度々、私自身の学校生活について話をしていました。学生たちはとても興味深く話をきいてくれて、たくさん質問されました。そのため、日本とアメリカの学校生活の相違点について話し合う時間を設け、年末に日本の高校との年賀状交換を企画しました。その際、私からは日本の学校の様子と基本的な日本の教育について紹介をし、学生たちからはアメリカとミネソタ州の学校生活と教育について教えてもらいました。年賀状を交換する日本の高校は特別支援学校だったので、日本の特別支援学校について紹介すると共にアメリカの特別支援教育についても話をしました。学生たちは日本からの年賀状をとても楽しみにしていて、日本の学生からのクオリティーの高い年賀状をみて学生たちは「さすが、日本人!」と言ってとてもはしゃいでいました。そして、普段なら繋がることが難しいところに友達ができたと喜んでいました。この企画の後、振り返る時間を設けると学生からは日本の学校の様子、学校教育について勉強になったという声と自国の学校教育について知る時間だったという声をもらいました。学生たちの多くは今後、日本へ留学してみたいと言っていたのでその前に日本との繋がりを作ることができてよかったと思いました。
任期を終えて
J-LEAP派遣を通じて、日本語教師としてのみならず、一人の人間として成長できたと思います。そして、日本では経験できなかったであろう貴重な時間を過ごせたことに感謝しています。それはこの2年間、J-LEAPを通じて関わった全ての方々のおかげであり、LTと日本語クラスの学生たちのおかげだと思っています。本当にありがとうございました。J-LEAPの研修や校内研修、ACTFL(全米外国語教師協会)参加のおかげで素晴らしい先生方からたくさん助言をいただくことができ、また、LTとのチームティーチングによって日本語教育の経験が浅かった私でもクラスで自信を持って学生の前に立つことができました。今後もJ-LEAPを経て学んだこと活かし、日本語教育に携わっていけたらと思います。
これからJ-LEAPや類似プログラムに参加される方には自分のためにそして、学習者のために限られた時間を有意義に使いましょうと伝えたいです。派遣先の国、州、受け入れ機関によってやり方が違いますし、やりたいことができる場合もできない場合もありますが、柔軟に応じて日本を広めることを頑張って努めてほしいです。やってみたいことは伝えないと形になりませんし、伝える勇気と自分への自信を持ってどんどん進んでやってみてください。応援しています。