フロリダ州日本語教育の活動報告
フリーダム・ハイ・スクール
碩 絵里子
フロリダ州について
フロリダ州は、アメリカの東南部にありメキシコ湾と大西洋に挟まれ、東西南と海に囲まれており、海岸線の長さは全米一です。北部と中部は亜熱帯で南部は熱帯に属し、別名「Sunshine State」と呼ばれています。湿気がありハリケーンが多いのが夏期の特徴です。
人口は約18,540,000人ほどで全米4位の規模です。フロリダ州は観光業が最も盛んな産業でディズニーワールドリゾート、ユニバーサルリゾート、シーワールドオブリゾートなどのテーマパーク、ビーチ、ゴルフ場、ケネディ宇宙スペースセンターへ訪れる人も多いです。
フロリダ州では日本語教師会の先生方を中心に高校・大学で日本語教育が行われています。授業が行われている高校は州内で数校で、そのうち教師がフルタイムで教えているのはフリーダム高校だけです。高校は予算や教師不足により日本語教育が乏しいというのが現状です。
毎週土曜日はマイアミとオーランド市にある文部科学省に認定された日本語補習校が開講されており、幼稚園生から中学生までが日本語を勉強しています。
フリーダム高校について
場所はディズニーワールドリゾートやユニバーサルリゾートがあるオーランド市です。全校生徒は約2,000人、教師の数は約200人で4学期制です。学生はヨーロッパ、中東、アジア、カリブ海にあるプエルトリコやキューバ、中南米出身と多種多様で、スペイン語が母語の学生が多く在籍しています。
スポーツや音楽のクラブ活動が盛んに行われており、ブラスバンド部は世界大会に出場するほどです。外国語プログラムも充実しており、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、アラビア語、日本語の選択制で2年間勉強することが必須となっています。様々な学年が同じ教室で一緒に勉強します。
日本語を学んでいる生徒は1年生から4年生まで合わせて約150人です。教員はリードティーチャー(以下、LT)と私、アシスタントティーチャー(以下、AT)2人で一緒に毎日、日本語1を2コマ、2を2コマ、3を1コマ、APを1コマの4クラス計6コマの授業を行っています。私はATとして授業前に行う10分のベルワーク、アクティビティでの学生サポートや授業を持たせていただいたり、採点、授業案・教材作りを行っています。
クラス外・学校外での活動について
フリーダム高校では第二・四木曜日に日本語クラブがあり、クラブリーダーを中心に企画、実行していて、私は手伝いをしています。赤白に分かれて運動会をしたり、年賀状を書いたり、箸つかみゲームなどの年中行事やゲームを体験します。またホームカミングや学校の文化祭では日本語クラブでパレードに参加したり、お店を出店したりしました。
毎年11月に「オーランド日本祭り」があり、フリーダム高校の日本語クラスの有志の学生達と輪投げやスーパーボールすくいといった露店をボランティアで切り盛りしました。学生にとっては教員以外の日本人と交流したり、日本の文化や祭りの雰囲気を知らない人たちにとって、とても楽しい時間になったと思います。
他に、週一で日本語補習校の小学生に日本語の宿題のお手伝いをしたり、社会人の為の日本語能力試験勉強会に参加しています。夏休みに入ってからはGive Kids the Worldに登録をし、小児がんや病気で家族と共に過ごす施設でのお手伝いをしています。またホストファミリーの方が通う大学の美術クラスに参加し、「えかきうた」「絵文字」、「着物と浴衣の違い」、着付けも紹介しました。
AT & LTとしてチャレンジ
一年をざっくり振り返ると、生活環境を整えたり、生徒全員の名前を覚えたり、一日の授業スケジュールについていくのにやっとでした。クラブ活動や学校行事に参加し、授業と違った学生の一面を知ったり、他の学生と接する機会ができました。早くから私がメインとなって授業をさせていただく機会があり、その時の学生へのクラスコントロール、時間のコントロールは私の課題となり、LTと授業後に話し合い、他教科の先生方に許可をもらい、授業見学させていただく機会もありました。
5月からLTが産休に入り、来学期も10月まで引き続き産休に入られるので、私はATとしてではなく、サブの先生に入っていただき1人で教えることになりました。正直今の授業に対しての気持ちは「LTとしてクラスコントロールをやっていけるか」の不安と「このような機会がもらえて嬉しい」「学生たちに楽しんで学んでもらいたい」という期待の気持ちがあります。学校全体と一日の授業の流れを経験したから、全て上手くやる「自信」を持つことよりも、生徒の前で堂々とメリハリある授業をしていく「自信」を持つことが一番重要かと思っています。
日本語教員としての自信は未熟ですが、一生懸命成長できるように頑張る自信はあるので、残りの一年LTそしてATとして頑張っていきたいです。