貴重な2年間を振り返って

ダンズモア・エレメンタリー・スクール
穐山 寛子

イマ―ジョン小学校での活動

派遣された日本語イマージョン小学校は、私が派遣された年はプログラムが始まって2年目でした。そこでの主な業務は、リードティーチャー(以下LT)とチームティーチング、教材作成、日本語アフタースクールの実施などでした。先生が二人いることで、レベル別授業を取り入れることができたことはよかったと思います。集中できていない生徒も、小グループだと頑張って積極的に参加している姿も見られました。また、今後も日本語の学習向上のために使用できる教材を残せたことは、私が貢献できた一つであったと思います。
一番の課題であり有益だったことは、クラスマネジメントでした。生徒の学習態度は、日によって変わります。ただ日本語を教える先生ではなく、クラスの一人の先生として、生徒の態度の変化に気付くように心がけること、どのようにマネジメントするか学び、経験できたことは大変よかったです。ちゃんとしている生徒をほめるという方法は、ほかの生徒もちゃんとするようになるので生徒も先生も嬉しくなる魔法の方法だと思いました。LTだからアシスタントティーチャー(以下AT)だからということは関係なく、生徒の前では一人の同じ先生なのだということを生徒たちから学びました。これらの経験は、教師に対する私の価値観を広げてくれたと思います。

授業外の活動

派遣校での通常授業以外で活動したことは、日本語を学びたい保護者を対象に日本語クラスを開講したり、土曜日に日本語学校で日本語を教えたり、JAPAN BOWLという高校生日本語クイズ大会のカリフォルニア州の予選大会の問題作問の手伝いや当日のクイズの読み上げ役を担当する、といったことでした。どの活動も私にとってはいい経験になり、心に残る活動でした。中でも、保護者対象の日本語クラスは、有意義な活動でした。年少児の第二言語の学習には、保護者のサポートが必須です。チューターをつけたり、補習校に通わすといった間接的なサポートも大事ですが、保護者の直接的なサポートが子どもにとって一番嬉しく、励みになることだと思いました。また親から子どもに対する励ましは、学校の先生からの励ましより勝るものがあり、親の頑張りは子どもに伝わっているということが、生徒を見ていてもわかりました。学校のカリキュラムに合わせながら大人用のレッスンを考えるのは大変なこともありましたが、レッスンを楽しんでくれて、子どものために継続して通ってくれる保護者の方は私の励みであり、やりがいを感じました。今後も少しでも多くの保護者に、日本語や日本のことを知ってもらえる環境が続くことを願っています。

日米交流について

国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター(以下JFLA)で行われる日本語Tea Timeという交流会にボランティアとして参加しました。Tea Timeは、JFLAの日本語講座に通っている学習者や日本語で会話したいと思っている方を対象に定期的に開かれています。まだまだ話すことに抵抗を感じている人から上級者まで参加者のレベルは様々でしたが、自由形式で会話をするので日本人ボランティアや日本語を学ぶ方々も生き生きしていたように感じました。私自身も普段とは違う環境で交流ができ、日本語を勉強して日本に行ってみたいという方々と接したり、日本に行かれた方と日本の良かったところなど話すことができて嬉しく思いました。
また、ほかのJ-LEAP派遣者の学校を訪問し、授業見学をさせてもらい、学生と会話したり、訪問したタイミングが日本語スピーチコンテストの時期だったこともあり、その運営のお手伝いをしたりすることもでき、大変貴重な経験ができました。日本語を学んでいる高校生や小学生は、いつもと違う先生がいることに緊張していたり、話そうとしてきてくれたりなど様々でしたが、日常と違う空気がその日だけはできるので、私にとっても彼らにとっても、刺激になったのではないかと思います。

これから派遣される方へ

J-LEAPのこの2年は、今まで経験したことがないことをたくさん学べた2年間でした。チームティーチングで授業のアプローチの仕方を変えられること、先生が教室に二人いるということが本当に貴重な環境なのだということを肌で感じ、そして自分がその一人になれてよかったと思っています。期待していたこととは違うことももちろんありましたが、逆にほかでは学ぶことができなかったかもしれないことを学べてよかったと今では思います。自分が知らなかったことを知るチャンスができたことは、今まで持っていた価値観を広げてくれ、強みにもなりました。その価値観や知識を使って、今後自分が何をしていくかが私の次の課題です。日本語教育だけでなく、文化的イベントや催し、クラブなど色々なことに参加すると、時に体力的に大変だったりすることもあるかもしれませんが、最後にはやってよかったときっと思えるはずです。自分のためにもなるし、相手のことを考えてやればそれは相手に必ず伝わり、自分に返ってくると思います。今後J-LEAPや類似プログラムで派遣される方にも、派遣された地域で自分ができることが必ずあるので、何事にも積極的に興味を持って、チャンスをつかんで、挑戦してほしいと思います。

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