カリフォルニア州、カストロバレーから1年目活動報告

カストロバレー・ハイ・スクール
辻野 美穂子

カリフォルニア州

J-LEAP5期生として米国に派遣され早いもので、もう一年が経ちました。私が派遣されたカリフォルニア州について少し紹介したいと思います。カリフォルニア州の面積は日本の面積の約1.1倍で日本より少し大きいです。人口は日本の約35%程度ですが、それでもカリフォルニア州は全米一人口の多い州です。そんなカリフォルニア州の人口は、多種多様な民族によって構成されています。約3割が外国生まれの移民であり、約2割の人々の両親が移民であると言われています。つまりカリフォルニア州に住む人達の約半数が移民、もしくは移民の子供なのです。一度街に出ると様々な言語が聞こえ、様々な国の食材店やレストランがあることが分かります。ここではそれぞれをお互いに尊重し合いながら、独特な文化を築いているように思われます。
カリフォルニア州の義務教育期間はkindergartenから高校卒業までの12年間です。その間は米国籍の有無に関わらず、公立学校にて無償で教育を受ける権利が認められています。カリフォルニア州における日本語教育の大半が学校教育を通したものですが、現在でも日本からの移民、そしてその子孫も多いカリフォルニア州にはサンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルス近郊を中心に民間の日本語学校なども多く存在しています。学習者数は一時期に比べると減ってきてはいるものの、他の州と比べると日本語教育が盛んな州だと言えるでしょう。

カストロバレー・ハイ・スクール

私の派遣されたカストロバレー高校は北カリフォルニア、サンフランシスコ・ベイエリアのCastro Valleyにあります。教師数約130人、生徒数約3000人のマンモス校です。学生の民族系統は様々で、まさに北カリフォルニアの民族系統の縮図のようです。カストロバレー高校における外国語授業は必修科目ではなく、選択科目として単位認定されます。しかしながらUC系列の大学に進学したければ3年の外国語学習が必須となるため、外国語を選択する生徒は少なくありません。日本語コースは現在のリードティーチャー(以下、LT)が十数年前に始めたもので、幸いなことに年々生徒数は増加しており、2016年度の日本語コースの受講生徒数は約160人でした。現在、日本語1、2、3、4、Advanced Placement (AP)の5レベル、6コマ(日本語3、4は合同授業)をLTとアシスタントティーチャー(以下、AT)である私の二人で担当しています。
ATとしての私の主な仕事はLTとの日々の授業の計画、準備、実施です。私達は基本的にティームティーチングの姿勢で授業を行いますが、3、4年生の合同クラスではレベル別に分かれて教えることもあります。生徒の反応で反省することもしばしばありますが、反対に手応えを感じられることもあり、やはりやりがいのある仕事であると日々感じています。

教室外活動

学校では日本語の授業以外にLTが奨学金委員会に入っていたため、私もその委員会に参加させていただきました。年度末に卒業生を中心に成績優秀者(金銭的に援助が必要な生徒である場合もある)が表彰、奨学金が授与され、それに合わせて大規模な表彰式も行われます。奨学金委員会は奨学金を与えるべき生徒の選出、表彰式の準備を行う委員会で、私も選出の際は生徒の応募用紙を読み、表彰式の準備をお手伝いしました。この委員会に参加し、生徒達の応募用紙を読むことで彼らがどのような事情を抱え、どのような思いで勉強に向かい合っているのかを知ることができ、教師として身が引き締まる思いでした。
カストロバレー高校以外の活動としては、サンフランシスコ・ベイエリアで日本語教師をされている先生からお声を掛けていただき、カリフォルニア大学(UC)バークレー校での日本語夏期講習にボランティア教師として参加しました。夏期講習の受講生は大半がサンフランシスコ・ベイエリアに住む中高生で、彼らの通う学校に日本語の授業がないため、夏休みだけでも日本語の勉強がしたいという生徒でした。そのような日本語学習に対して高いモチベーションを持っている生徒に囲まれ、彼らに教えることは純粋に楽しかったです。またLT以外の先生の教え方を見たり、意見を出し合いながら一緒に教えたりすることは新鮮で大変勉強になりました。

AT1年目からAT2年目へ

1年目を終え感じることは、自分はまだまだ「アシスタント」の枠の中でしか働けていないということです。5レベル、6コマ、160人の生徒に一人で対応することがどれだけ大変だったか、今まで一人で働いてこられたLTが信じられない程です。そう考えると現在では生徒に関する仕事のほとんどを二人で分けられているので、ATとして少しはLTを助けられているのかもしれません。しかし、一教師としてはまだまだ自信がなく最終的なところをLTに頼ってしまうことが間々あります。そういった意味で自分はまだ一教師として自立できていないと感じます。2年目の目標は自立した教師として自信を持つことです。今担当している教材の準備、授業の中での時間にもっと自信を持って取り組みたいと考えています。そしてそれが今後より良い授業を作る土台となるような気がします。日本へ帰国するまで、後一年弱です。あっという間に過ぎてしまうのだろうと思います。LTやカストロバレー高校の生徒と一緒に過ごせることに感謝しながら、帰国までの日々を大切にしたいと思います。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2
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