米国若手日本語教員(J-LEAP) 7期生 年間報告書
私が1年で感じたアメリカ

クランフォード・ハイ・スクール/ヒルサイドアヴェニュー・スクール
木村 ゆい

緑あふれるニュージャージー州

私が派遣されているニュージャージー州は面積22,590k&#13217、人口8,791,894人のアメリカ東部に位置する州です。隣接するニューヨーク州が「The Empire State」と呼ばれているのに対して、ニュージャージー州は「The Garden State」と呼ばれ、緑豊かな州です。
ニュージャージー州は小学校が1学年から5学年まで、中学校が6学年から8学年まで、その後高校に進学し、高校では1学年から4学年まであり、高校までが義務教育となっています。私立に進学志望する場合を除いて、基本的に学区の公立高校に進学する為、高校の入学試験はありません。この州の日本語教育は9つの公立高校、2つの公立中学校で行われています。
私が派遣されているクランフォードという町では、3年前より2つの中学校で日本語教育プログラムが開始されました。中学校で担当している日本語教師が高校でも継続して授業を受け持つことが出来る為、中学校から継続して高校でも日本語を修学希望する学生が多いです。 現在、私が派遣されている高校には日本語Advanced Placementクラス(以下、AP)がありませんが、4年後にAPを設ける事を目標にして、中学生の日本語教育プログラムを進めています。
修学目的は様々ですが、家系に日本人のルーツがあるからと希望する学生や、日本の文化、特にアニメや漫画などのポップカルチャーに興味を持ち、学習している学生が多いです。

クランフォードは経済的に豊かで治安も良い町

クランフォード学区には高校が1校、中学校が2校あり、リードティーチャー(以下、LT)と私はそのうち、高校と中学校1校の2校を担当しています。午前中は中学校、午後は高校で授業があります。
派遣高校には教師97名、学生1184名が在籍しています。LTと私は2年生から4年生を、もう一人の日本語教師が1年生を担当しています。日本語クラスはレベルによって日本語1、2、3、5に分かれており、日本語1には39名、2には17名、3には13名、5には8名の学生が在籍しています。現在担当している高校生たちは、高校に入学してから日本語を学び始めた学生です。
派遣中学校には教師68名、学生413名(1年生~8年生)が在籍しています。LTと私は 6年生から8年生の中学生を担当しており、6年生は21名、7年生と8年生にはそれぞれ12名の学生が日本語を修学しています。中学校の日本語教育プログラムが開始されてから3年が経過し、この学生たちが高校に進学する時にはAPクラスを設営する事を目標としている為、その事を念頭に置きながら授業を進めています。
使用教材はどちらの学校でも、LTもしくは私が作成した教材を使用しています。各教室にスマートボードが完備されおり、それを使用して授業を進めています。ワークシートやハンドアウトも作成しています。また私は高校で最上級のクラスを担当し、授業を進めています。

日本好きが集まる日本語クラブ

派遣高校、中学校それぞれに日本語クラブがあり、どちらにも参加しています。 高校では学生を主体にしてクラブが運営されており、教師側はアシスタントをするという形ですが、何度か開催したパーティーでは日本の食べ物を作って日本の文化紹介に努めました。例えば、3月に「日本の食べ物を持ち寄ろう」というテーマで開催したパーティーには、日本のひな祭りが近かったので、ちらし寿司を作り持参しました。事前にひな祭りの文化について紹介していたので、学生も紹介していた食べ物が実際に食べられて嬉しそうでした。
中学校の日本語クラブは、基本的に担当している教師が用意した日本紹介についてのスライドを学生に見せ、日本文化紹介をしていくという形で行っています。担当はLT、私、そしてもう一人日本の文化に詳しい先生の3人で行いました。スライドはLTやもう一人の先生が作ったり、私が作ったりしました。中学校ではアレルギー管理上、職員が学生に食べ物を振る舞うことが許されておらず、日本の食べ物を実際に学生に体験してもらう機会が少なかったのが残念でした。しかし、来年度は日本の伝統的なおもちゃや、学生の興味のある漫画など学生が出来るだけ日本の文化に実際に触れられる機会を増やしていきたいと考えています。

人種のサラダボウルを実感

日本のような単一民族の島国とは違い、様々なルーツを持った、様々な人がアメリカにはいます。私が担当している日本語クラスにも、家系に日本のルーツがある学生が1割ほどおり、思っていたよりその数が多いことにアメリカの人種の多様性を感じます。一つの国とは思えない程、行くところそれぞれに全く違う文化が根差しており、日本にはない多様な人種が作り出すアメリカ独自の様相を肌で感じることが出来ています。
学校教育についても、このような多人種の環境の中だからか、日本よりも自由な雰囲気の中行われているように感じます。統一性を日本ほど重視していないように思います。当初は戸惑うこともありましたが、最近は一長一短であるのでは、と感じるようになりました。アメリカでの教授経験は日本に帰ってからもとても貴重なものになると感じています。
1年目は業務と環境に慣れる事で精一杯でしたが、一通りのことを経験した今、2年目はある程度のことが予測できるようになり、以前より落ち着いて業務に取り組めるのではないかと考えています。
先日、今年11月にニューオーリンズで開催されるACTFLでの学会発表の合格通知が届き、LTと共にプレゼンテーションする事になりました。派遣校での業務に加え、ACTFLでの発表準備も進めながら、自身の教授法上達に努めていく所存です。
またアメリカで生活するという中々できない経験を大切にし、私生活も充実させ、楽しみながら2年目を過ごしたいと思っています。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2
  • 派遣先での写真3
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