米国若手日本語教員(J-LEAP) 7期生 総合報告書
2年の活動を振り返って

シェリダン・ジャパニーズ・スクール
鈴木 景子

アシスタントティーチャーとしての活動

私がアシスタントティーチャー(以下、AT)として担当した業務は、主に日本語と日本文化を教えること、そして宿題やテストの採点をすることでした。その中で一番日本語教師として成長できたと思う経験は、1人で4クラスの生徒を教えたことです。2年目は、学校の大幅な時間割の変更に伴い、日本語の授業5コマ中4コマで2つのレベルの生徒が混在することとなったため、リードティーチャー(以下、LT)とクラスを分けて教えることになりました。レッスンプランもクラスごとに全て自分で作らなければならず、しばらくは授業準備と教えることだけで精一杯の毎日が続きました。日が経つに連れて、チームティーチングの時には分からなかったLTのすごさ(生徒が元々持っている知識を利用して教える説明の上手さや、授業の明るい雰囲気作り等)を身をもって実感するとともに、1人で教えることで、より生徒と密に関わることができ、授業についてより主体的に考えられるようになりました。また、様々な教え方を試しながら、生徒が好きなこと、苦手なことが分かるようになり、私自身楽しみながら授業ができるようになりました。このATとしての経験とそれで得た自信は、日本語教師として働いていく上で今後役に立っていくと思います。

生徒手作りの夏祭り

受入機関での日本語の授業以外では、週に一度、日本文化を教える選択授業や日本語に興味のある先生への個別指導等を行いましたが、最も印象深かった活動は、夏休み中に当校で開催された青空学校キャンプです。日本式の夏祭りを企画・準備・開催するというタスク達成を目標に、日本人の小学生とアメリカ人の小中高生約40名が交流するキャンプでした。日本人の生徒は日本のお祭りがどんなものかプレゼンテーションや実演をしてアメリカ人の生徒に教えて、アメリカ人の生徒はそれをアメリカで実現するためにどうすればよいか知恵を出して、日米の生徒がお互いに協力して日本の夏祭りを開催しました。日米の生徒達は始めこそ硬い雰囲気だったものの、活動を通して次第に打ち解けて、それぞれが主体的に動いて夏祭りを作り上げていきました。そして地域への宣伝が直前になってしまったにもかかわらず、100名を超えるお客様に来場していただき、内容に関しても、「毎年開催してほしい」「夏の楽しみが増えた」等の高評価をいただきました。このキャンプを通して、生徒たちのポテンシャルの高さを再認識すると共に、教師が生徒に活動の手綱を渡し、辛抱強く見守ることの大切さを学びました。

日米間での異文化交流

上記の青空学校キャンプのほかにも、様々な形で日米間の生徒同士の交流をお手伝いすることができました。お正月には、以前から交流のあった北海道の中学校と年賀状やクリスマスカードの交換を行ったり、徳島県で英語教師をしていた当校の卒業生と連絡をとり、クラス別で自己紹介や文化紹介の動画を作成して交換し合ったり、短期留学で当校にやってきた日本人留学生や、オレゴンの大学に通っている日本人の学生たちと当校の生徒との交流のお手伝いをしました。同年代の日本人と交流することで、生徒たちはより日本を身近に感じ、日本語を話したい気持ちが強くなるようで、日々の授業も活性化したように思います。また、私の一時帰国時には当校の生徒17名が隔年で実施されている日本旅行のため来日し、私の故郷である仙台、そして山形を案内する機会をいただきました。生徒たちは、こけし作りやそば作り、さくらんぼ狩りや川下り等を通して東北の自然や文化を体験しました。そして習った日本語を使って現地の方々とコミュニケーションをとる頼もしい姿に、私は大変嬉しい気持ちになり、2年間生徒たちに日本語を教える事ができたことの喜びを改めて感じました。

これからJ-LEAPに参加される皆様へ

私がJ-LEAPに参加してよかったと思うことは、日本語教師として最先端の知識や考え方を学べたことです。J-LEAPの研修やACTFL(全米外国語教育協会)が開催するカンファレンスへ参加し、そこで言語を教えることのスペシャリストである先生方の教授法やアイディアを学び、それを学校に持ち帰って実践し、試行錯誤してみたことが、自分の日本語教師としての成長に大きくつながったと思っています。また、日本とは異なるアメリカの教育を知ることができたことで、私自身の教育に対する考え方が変わり、視野が広がったという点で大変有益でした。私のオレゴンでの2年間は、自分を成長させてくれた幸福な時間だったと思います。これから参加される皆様には、ぜひこの特権を最大限活用して、学校の皆さんや地域の方々と、日本語を通して楽しい時間を過ごしていただきたいと思います。そして、世界に日本ファンの方々を一人でも多く増やしていってほしいと思います。
私は今後、どのような形で日本語教育にかかわっていくかは未定ですが、アメリカで学んだことを日本の皆様に伝えていきたいです。そしてこれからの人生も日本語を勉強している方々のお手伝いに尽力していきたいと考えています。

  • 派遣先での写真1
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