米国若手日本語教員(J-LEAP) 8期生 総合報告書
2年間を終えて

プレシディオ・ミドル・スクール
鈴木 怜果

クラス業務を振り返って

私がアシスタントティーチャーとして担当した業務は、クラス運営全般に関わることやおりがみクラブの運営などでした。クラス業務については、宿題の採点、席替え、ノートチェックなどを中心にしていました。提出物などの採点が必要な物はリードティーチャー(以下LT)と二人でやることで、より細かく評価をすることができたと思います。また、授業準備については、授業後に二人で話し合いをし、翌日の内容を決めることで常に新しいアクティビティーを取り入れることに努めることができ、アクティビティーに必要な画像や資料集めも、二人で手分けをして行うことでより早く、適切な情報を集める事ができたと思います。
そして、最も有益と感じた経験は、LTと話し合いを重ね授業を作ることができたことです。私にとってJ-LEAPは日本語教師として初めての仕事でした。今までに経験した事がないことが多く、大変なことも多くありました。しかし、学校のことに関して相談が気軽にできる環境があったので、毎日多くのことを吸収することができました。LTとチームとして授業準備を行うことができ、とてもいい勉強になりました。

おりがみクラブ

私は、二年目にLTの勧めもあり「おりがみクラブ」を設立し、クラブの運営・指導を行いました。クラブ開始直後は、英語でのおりがみの説明や生徒の参加率など不安なことがたくさんありました。しかし、予想していたよりも人気で生徒の集まりは問題ありませんでした。そして、英語でおりがみの折り方が説明できないときでも、映像を見せて行ったので問題なく進めることができました。せっかくの機会なので、日本語にも少しだけでも触れ合えるようにと、褒め言葉や簡単な相づちを日本語で行いました。すると、生徒が自然とその日本語を覚えて友達間で使う様子が見られるようになり、それが今でもとても深く印象に残っています。日本語クラスを取っていない生徒もおりがみクラブにたくさん参加していました。おりがみクラブを通して日本語・日本文化に興味を持ってくれたのはとても嬉しかったです。また、おりがみクラブの生徒が作った作品を廊下に飾ることで、参加していない生徒が作品を見る機会を作ることができ、とてもよかったと思います。そして、その作品を見て他の教科の先生方も作品をクラス内に飾ってくださいました。おりがみクラブの活動が、学校全体に広がっていき、驚いたのと同時にとても嬉しかったです。

オンラインクラス

新型コロナウイルスの感染がカリフォルニア州で広がりをみせ、学校が休校になったのは2月頃だったと思います。近隣の教育機関で感染者が出始め、すぐに休校になることが決まりました。ですが、突然の決定だったため、休校が始まってからオンラインクラスが始まるまでに約1か月の時差があったと思います。
オンライン授業では、学区が用意をしたZoomを使って授業をしていました。日本語クラスの生徒たちは週に一回各クラスのZoomに出席し、授業や課題の説明をZoomで受けます。そして、期日までに出された課題を提出するという形でした。また必要であれば週に2回Zoomに出席をしてもらい、課題や授業に関しての質問や説明をするという形でした。
オンライン授業になってから、LTに相談して授業を作成するということが少し難しくなりました。そのため、私の業務はLTが決めた授業でチームティーチングができるところに参加するという形に変わりました。Zoom内のチャット機能を使い、遅れ気味の生徒とコミュニケーションを取り、説明をするときもありました。課題については、以前と変わりなく採点をすることができました。

日本人生徒との交流

私の配属校のプレシディオ中学校には、日本からたくさん訪問者の方が来てくださいます。小学生から大学生までと本当にたくさんの方が来てくれます。そして、サンフランシスコという土地柄、たくさんの日本人、アジア人にいつでも会うことができます。ですが、実際に生徒が同年代の日本人と日本語で話すという機会はあまりありません。そこで、訪問者の方が来てくださったときには、生徒たちが日本語と英語の両方を使って少しでも多くのコミュニケーションがとれるようなアクティビティーをしました。例えば、日本語でインタビューをしたり、日本語で学校ツアーをしてみたりしました。その中でも、一番生徒たちが盛り上がっていたのは、日本語と英語で行ったフルーツバスケットだと思います。初めはお互いがお互いの学習言語を使って行わなければならないので、すごく緊張していました。しかし、ゲームが始まると自然と打ち解けることができていたので、生徒たちにとってとてもいい経験になったと思います。
日本語を少しでも多く使えるように、生徒の背中を押すのは難しいです。しかし、こういった経験を通して、生徒たちに少しでも日本語や日本文化を好きになってもらえたらいいなと思います。

かけがえのない2年間

この2年を振り返ると、とても短いようで長かったような気がします。とても楽しいときも、とても辛いときもありました。しかし、振り返るとLTをはじめ、いつも周りに支えてくださる方がいました。本当にありがとうございました。
大学を卒業してすぐに、このプログラムに参加し、本当に不安しかありませんでした。他の参加者の方は、日本で教員経験があったり、外国で日本語を教えていた経験があったりと、自分は参加して大丈夫なのだろうかと心配になったのを今でも覚えています。そして、渡米してからは、中学生との毎日に一喜一憂していました。
ですが、J-LEAPに参加させて頂けたことで、日本語教師の素晴らしさ、大変さと本当に色々な事を勉強することができました。この経験は本当にかけがえのないものだと思います。
この先、どういった形で日本語教育と関わっていくかはまだ分かりません。ですが、J-LEAPで学んだ事を少しでも社会に還元できるようにしていきたいと思います。2年間本当にありがとうございました。

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