米国若手日本語教員(J-LEAP) 8期生 年間報告書
一年を振り返って

プレシディオ・ミドル・スクール
鈴木 怜果

カリフォルニア州

カリフォルニア州はアメリカの西海岸に位置し、人口は全米最大といわれています。そして、州の面積は日本の約1.1倍程度の広さとされています。とても広大な土地であるため、カリフォルニア州の北部と東部では、環境や文化、人までもが違うといわれています。カリフォルニア州には、皆さんが一度は耳にしたことがある大都市がいくつかあります。例えば、サンフランシスコやロサンゼルスなどです。また、同州はメキシコに面しているため、メキシコからの移民がとても多いです。そのため、多くの場所で、英語とスペイン語を使用しています。そして、地域によっては白人よりもメキシコ系の移民が多く住んでいる場所があります。また、メキシコ以外からの移民も非常に多く、日本からの移民の割合は、ハワイに次いで二番目に多いとされています。日本からの移民が多いため、サンフランシスコやロサンゼルスには日本の食品などが手に入るスーパーマーケットや、雑貨屋が多く存在します。
カリフォルニア州の教育制度は、公立学校は幼稚園から高校まで公費で教育が受けられるようになっています。1年生から5年生までが小学生、6年生から8年生(中学2年生)までが中学生、9年生(中学3年生)から12年生(高校3年生)までが高校生になります。移民が多いため、英語を第二言語として勉強している生徒に対するクラスなども充実しています。

プレシディオ・ミドル・スクール

私はプレシディオ・ミドル・スクールという中学校に配属されました。この中学校は サンフランシスコ市内にあり、ゴールデンゲートブリッジのすぐ南に位置しています。サンフランシスコのダウンタウンから車で20分ほど離れた、とても立地のいいところにあると思います。また、この学校がある地区には中国系アメリカ人などのアジア系アメリカ人がとても多く、私の学校の生徒も約50%の生徒がアジア系です。そして、次に白人が多く、そのほかの人種の生徒はごくわずかです。また、プレシディオ・ミドル・スクールでは、英語を第一言語として話さない生徒も多く、約6%の生徒が英語を第二言語として学習しています。サンフランシスコ市内で唯一、公立の中学校で日本語プログラムがある中学校でもあります。
私のアシスタントティーチャー(以下AT)としての業務は、主にテストや提出物の採点、リードティーチャー(以下LT)とのコーティーチング(一つのクラスを二人で教えること)です。そして、LTATである私の二人で、15人から30人程のクラスを一日5クラス教えています。日本語の授業を受ける生徒の約半数は、小学校就学前から日本語に触れたことがある生徒や、家庭で日本語を日常的に使用している生徒です。そこで、レベル分けをしてクラス編成をしていますが、どうしても日本語レベルの差がクラス内でできてしまうため、必要な時は、レベルごとにクラスの中を半分に分けて、LTATでそれぞれのグループを教えています。

学校外での活動

私が勤務している中学校はサンフランシスコ市内で、唯一日本語プログラムがある公立中学校です。しかし、近隣には、日本語プログラムがある公立小学校、高校がたくさんあります。そのため、何度か近くの小学校や高校に授業見学をさせていただきました。いつも教えている生徒とは年齢や授業で扱う単語、トピックなどが違ったため、とても刺激的でした。また、学年が違うと授業のスピードも違い、勉強になりました。
また、J-LEAPの8期生が勤務をしている他の州の学校にも行きました。州が違う学校に行くことで、生徒の日本に対する知識や親しみが大きく違うことにも気づきました。私の住んでいるサンフランシスコでは日本文化がとても浸透しているので、その差にとても驚きました。当たり前のように、私の生徒たちはおやつとして日本のお菓子を食べていたり、日本の百円ショップが身近なところにあったり、と“日本”という文化にとても慣れていることを改めて感じました。
さらに、勤務している学校の夏休み期間には、ミネソタ州で毎年実施される日本語のサマーキャンプのお手伝いをさせていただきました。二週間というとても短い期間でしたが、“日本語を勉強したい”“日本が大好き”と情熱をもった生徒と時間を共有することができ、とても勉強になりました。学校で教えている時とは全く違う環境でしたが、生徒一人一人が、高い学習意欲をもって授業に臨んでいて、感動しました。

二年目に向けて

一年目を終え、振り返ってみると本当に長かったようで短かったです。初めての経験や、慣れない生活で戸惑うこともたくさんありましたが、その度に、ホストファミリーやLTに助けていただき一年を無事に過ごすことができたと思います。アメリカに到着したばかりの時は、不安が大きくアメリカで過ごしていけるか心配でした。しかし、アメリカで生活をしていくうちに、挑戦することや、勇気を持って一歩前に踏み出すことの大切さを学びました。また、ホストファミリーとの生活を通して、気持ちを言葉にすることの大切さや、自分と相手との違いを受け入れることの大切さを学びました。カリフォルニア州には移民が多く、英語を話すことができない人もたくさんいます。しかし、そこで英語を話せない、外見が違うからという理由で差別をするのではなく、相手の気持ちになって考えて行動することの大切さを改めて感じました。
二年目に向けて、一年目よりさらに実りのある一年にしたいと思います。一年目は、生活や全てが新しく慣れることに必死でした。ですが、この一年を通して少しですが、アメリカの生活に馴染むことができたと思います。この少しの気持ちの余裕をもって、もう一歩新しいことに挑戦していきたいです。また、二年目だからといって、気を緩めるのではなく、二年目だからこそ、今以上に気を引き締めて日々生活していこうと思います。

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