米国若手日本語教員(J-LEAP) 9期生 総合報告書
私の2年間のJ-LEAPを通しての経験と成長

シェーラー・エリア・ハイ・スクール
シェーラー・エリア・ミドル・スクール
羽田野 美晴

アシスタントティーチャーとしての活動と学び

アシスタントティーチャーとして主に行った業務は、新しい文法や単語導入時の日本語によるリードティーチャー(以下、LT)との会話のデモンストレーション、指導計画や教材づくりなどの授業準備です。LTと様々なユニットテーマやシチュエーションに合わせて、生徒にたくさんの日本語会話モデルを見せることができました。それらを聞き、生徒は文法や言葉の意味を考えたり、会話の内容を理解することで授業への興味関心を日本語によって促進することができたと思います。生徒と会話をする際は、常に日本語を使用することで、生徒が日本語に触れる機会の増進に貢献できたと考えます。また、絵や写真などをたくさん使ってクラスで用いる教材の作成を積極的に行いました。視覚情報が増えたことで生徒の理解を深めることにつながったと思います。漢字学習においては、ユニットごとに漢字シートを作成しました。熟語や例文を取り入れることで、生徒の漢字学習にバラエティを加えることができました。最も有益だったと思う経験は、LTと二人で教授したことです。LTがどのように生徒と関係を築いているのかを間近で見て感じ、生徒との関係性がどのようにクラスを作りあげていくのか、また、日本語学習と、教師と生徒との関係が、どれほど密に関係しているかを学びました。生徒との関係作りは今後の教授経験において、私が最も大切にしたいと思う点です。

アメリカでのオンライン指導

Asynchronousの授業(生徒が好きな時間に授業動画や課題にアクセスして学習する方法)では、授業動画や課題をLTと作成し、生徒とはGoogle Classroomを通してのやりとりを行いました。Synchronousの授業(リアルタイムで生徒が参加するオンライン授業)では、Google Meetの機能が用いられ、生徒は学校から全員に配布されているiPadを利用して授業に参加することができました。ハイブリッド型(対面とオンラインを組み合わせて行う授業)では、週1日(後に週4日)登校を希望する生徒は2つのグループに分けられ、教室にいる生徒とオンラインにいる生徒に同時に教える体制が行われました。オンライン授業では、生徒が与えられたタスクをこなすことができているのか、個々がどれぐらいできているのかなどを確認することが難しかったです。ハイブリッド型では、オンラインの生徒も同時に楽しませる、同じ空間にいるような雰囲気を作ることが大きな課題でした。一方で良かった点は、オンライン授業に移行してから、対面式では見えなかった生徒の日本語レベルの向上が見られたことです。生徒が自分のペースで授業ビデオを見て、理解し、課題に向き合えたことが、何人かの生徒の日本語の伸びにつながったと思います。また、一時帰国中には、生徒の興味や希望に合わせて、日本の様子や文化がわかる短くて楽しいビデオを作成し、Google Classroomのストリーム機能を用いて、生徒と日本語でやりとりができる場を設けました。また、生徒の課題に対して一人ずつ個別にフィードバックのビデオを作成したり、日本語でメールを送ったりするなど、様々なバリエーションを考え、生徒が日本語に触れる機会が少しでも増えるように心掛けました。

日米間の若者交流を通して

二年間の活動を通して、学校の生徒や地域の日本語クラブでの活動で出会った人と日本語を使ってたくさんコミュニケーションをとり、意思疎通をし、互いに日本の文化について、アメリカの文化について教えあって、学びあえる交流ができたことは大変良い経験になり、一派遣者として、日本とアメリカの架け橋になる役目を果たすことができたのではないかと思います。その中でも特に日米間の若者交流として印象深いのは、夏のイマージョンキャンプでの経験です。同じ教師やスタッフとして参加したアメリカ人の先生方は皆同じぐらいの年齢でした。キャンプの活動を通して、知らなかったアメリカ文化の一面や、各々の異なる考え方に出会い、自分自身もたくさん学びましたが、同時に日本人としての観点を活かして、日本語キャンプのアクティビティや生徒への指導の面でたくさんの意見やアイディアを出しました。日本語という言語の点での交流に加えて、日本人としての感覚や振る舞い等を目で見て感じ、経験してもらえるようなキャンプにするために尽力できたと思います。

活動をする上で大切な姿勢

自分とは異なる考え方や価値観を持つ人に出会った時、すべてのアイディアをまず最初に受け入れる姿勢を常に持つことが大切であると学びました。プログラムを通して、様々な人と出会い話し合う機会がたくさんありますが、すべてのコミュニケーションがスムーズに問題なく進むわけではありません。時には、ぶつかり、衝突することもあります。そんな時に自分の意見を押し通したり、相手の意見をそのまま素直に受け入れるのではなく、相手がなぜそう考えるのか、自分の中に一度落とし込むことで、自分の中にはなかった考えや視野が広がります。それが直接良いコミュニケーションにいつもつながるわけではありませんが、その上で自分を出せる方法や場面を探って、相手を受け入れながら自分も発信する、という自分なりの方法を見つけることができました。これは、どんな場面においても、相手との関係を築き上げていく上で役に立ちました。私は2年間の中で一番学んだことがコミュニケーションです。簡単なことではないからこそ、日々の積み重ねで自分を見直し、相手を尊重し、活動に対する積極性を常に忘れないことが大切だと思います。

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