世界の日本語教育の現場から（国際交流基金日本語専門家レポート）オンラインでつながろう！

世界中が新型コロナウイルスの影響を受ける中、2020年8月末にアルバータ州教育省があるエドモントンに赴任しました。無事に着任したものの、先生たちを始め、外部の人とは対面で会うことができず、リモートワークが続き、この原稿を書いている現在、すべてオンラインでの業務になっています。

アルバータ州教育省の国際教育サービス部にはウクライナ語、スペイン語、ドイツ語、中国語、日本語（私！）の5つの言語アドバイザーが所属しています。日本語プログラムは中等教育、特に高校で行われており、アドバイザーはカリキュラム開発、教師研修、日本語学習者のためのイベントなどへの支援を行っています。また、国際交流基金トロント日本文化センターと連携して、アルバータ州以外のカナダ全域における日本語教育のサポートも行っています。

日本文化紹介を通してオンライン学校訪問

アルバータ州の初等・中等教育機関は、2020年9月からのスクールイヤーは原則対面授業が行われています。しかし、新型コロナウイルスの影響で自宅学習を選ぶ生徒、一定期間自粛を余儀なくされる生徒などが入れ代わり立ち代わり現れるため、教師は教室での感染対策、自宅学習者用の課題やビデオの準備に忙しく、教室と自宅をオンラインでつなぐハイフレックスにも対応しなければなりません。学校を訪問することはできない、生徒の様子はわからない、先生たちに今は余裕がないから負担はかけられない・・・ということで、私が日本文化や日本事情を紹介するオンラインセッションを提供することにしました。2ヶ月に1回程度、新しいトピックのセッションを作り、広報し、リクエストがあった高校の日本語の授業にオンラインで訪問しました。今まで「日本のお正月」、「COVID-19 in Japan」、「日本の春」というテーマでセッションを行い、3つの高校を訪問することができました。全員オンライン参加、先生と一部の生徒は教室、一部の生徒はオンライン参加、一部の生徒は教室、先生と一部の生徒はオンライン参加、といういろいろな形態がありましたが、いずれの場合も、生徒とのインタラクションを考え、スマホやパソコンからクイズに参加したり、意見をディスカッションボードに書き込んだりしてもらいました。今はいろいろなツールがあるので、これからもよりインタラクティブで興味をもってもらえるようなセッションを提供しながら、先生や生徒とつながっていきたいと思います。

日本文化紹介セッションで使用したスライド

オンラインで全国の先生とつながる！

広大なカナダでは、新型コロナウイルスの影響を受ける前から、オンラインでつなぐ取り組みが行われていましたが、今ではそれが当たり前になり、オンラインの日本語教師研修や情報交換の会でいろいろな地域の先生方に簡単に会えるようになりました。とはいっても、オンラインの会でじっくり先生方と話すことはなかなか難しいため、赴任後2ヶ月の間、1対1で私と情報交換をしてくれる先生を募集し、Zoomで話す機会を設けました。個人的に話すことで、学校や日本語教育のことはもちろん、お互いをよく知るきっかけになり、距離が縮まったように感じます。

また、オンライン日本語教師研修ではテーマによって少人数にしぼり、ペアやグループワークを取り入れているため、研修での学び以外に他機関の先生とじっくり話すことができてよかったという声もよく聞きます。テーマを決めたディスカッションの場「つながろう！」という企画も実施しています。

このようにオンラインを通じて、お互いの実践や情報を共有し、いっしょに学び合いながらスキルアップしていければと思います。でも、早く対面で会える日も来ますように！

オンライン日本語教師研修で使用したオンライン絵本の作成例