世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ラオスの地方の都市にも日本を届けたい

ラオス日本センター(LJI
鈴木 千晶

ラオスの日本語教育

人口が700万人に満たない東南アジアの小国ラオス。日本語学習者の数は約2000人と、他の東南アジアの国々に比べて決して多くはありませんが、年々少しずつ増加しています。2015年に中等教育で日本語教育が導入、2017年にはラオス中部にあるサワンナケート大学で日本語主専攻コースが開設されるなど、ラオスの日本語教育は緩やかですが確かな盛り上がりを見せています。

ラオス日本センター(LJI

そんなラオスの日本語教育で重要な役割を担っているのがラオス日本センター(以下LJI)です。LJIはラオス国立大学の中にある機関で、設立は2000年。日本語講座、日本文化イベント、ビジネスコースなど様々な事業を実施しています。現在日本語部門に所属するラオス人講師は全部で8名。日本への留学や研修経験も豊富な彼らは、LJIにおける日本語講座はもちろん、中等教育の教科書作成、教師研修などでも活躍しており、ラオスの日本語教育を支えています。

ことばも文化もいっしょに学ぶ日本語講座

LJIは、2012年より『まるごと 日本のことばと文化』を使ったJF日本語講座を開講しています。受講生は年間約500名。大学生はもちろんのこと、高校生から成人一般まで、多くの学習者が日本語を学びに集まってきています。コース中には、在留邦人を招いたビジターセッションや、プレゼンテーション発表会などの活動も行います。学生が自主的に楽しく日本語・文化を学ぶことができる雰囲気がLJIJF日本語講座の強み。また様々な学習者のニーズに応えられるよう、ガイド体験講座やコミュニケーションアップ講座など単発の講座も行っています。

クラスでプレゼンテーションの写真
クラスでプレゼンテーション

ラオスの日本語教育を盛り上げる様々な活動

LJIはラオスでの日本語・日本文化普及にも力を入れています。ビエンチャン市内の中学生・高校生を対象にした日本語・日本文化イベント、大学内の学生に向けた季節ごとの文化体験ワークショップなど、年間を通して様々な活動を行っています。

2018年からは首都であるビエンチャン以外の地方での普及活動も始めました。残念なことにラオスの日本語教育機関はビエンチャンに集中しているのが現状です。地方においても日本語や日本文化への興味が広がっていくようにと、北部の古都ルアンパバーン・南部の商業都市パクセーの中等教育学校・大学で普及活動を行っています。今後は、こういった地方の学生にも日本語を学ぶチャンスを与えられるかどうかが課題であり、オンラインコースの可能性も含めて、模索していきます。

ルアンパバーンでの普及活動の写真
ルアンパバーンでの普及活動

以上のように、日本語・日本文化の発信地としての役割を大きく担っているLJI。今後もラオスの日本語教育をますます盛り上げていけるよう、活動していきたいと思います。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Laos-Japan Human Resource Development Institute
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ラオス日本センターは日本の政府開発援助により設立され、現在は国際協力機構(JICA)と国際交流基金の協力のもとで、日本とラオス両国によって運営されている。ビジネス経営の知識や日本語を学ぶ場として、市場経済化促進のための人材育成を行うとともに、様々な文化交流事業を実施することにより、日本とラオスの交流・相互理解促進を目指している。2012年10月よりJF講座が開始され、JF日本語教育スタンダードに基づいた日本語教育の普及、及び、教師育成や教育機関ネットワーク促進の拠点としての役割を担っている。
所在地 Vientiane, Laos
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名 調整員:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2005年
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