世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)コロナ禍への対応に向けて

ドゥーレットマーメットアザディ名称世界言語大学
トルクメニスタン国民教育大学(研究所)
大谷 英樹

トルクメニスタンでは、2020年4月以降全ての国際線が運行停止となったまま現在に至り、報告者が緊急避難一時帰国となってから1年以上も経過してしまいました。現地メディアの情報では、トルクメニスタン国内でも新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種が徐々に進められており、いずれは国際線も再開するものと見られています。

このような時こそ、オンラインでの教育環境に焦点を当てていくべきなのかもしれませんが、インターネット環境が十分に整っていないトルクメニスタンでは、先進国のように臨機応変にオンライン授業などに切り替えていくのは難しいようです。

コロナ禍でのリモート業務

報告者は現在リモートで業務を行うという形で、東京で次年度以降の教科書作成に向けた準備をしています。しかしながら、トルクメニスタンでは日常的にEメールでさえあまり使われていないため、現地の情報がほとんど入らず、手探りの状態です。特に教育機関では、新型コロナウイルス感染症対策としてクラスの人数を制限したり、授業時間を分散させたりしているようですので、予定していたカリキュラムの進捗状況が把握できないまま、作業を進めていかなければなりません。

トルクメニスタン日本語弁論大会

コロナ禍で昨年は見送られた弁論大会が今年は実施されることになりました。例年であれば国際交流基金派遣の専門家と日本大使館の館員等々が審査員を務めるのですが、今年は報告者のみがオンライン参加という形で審査を行いました。発表者はアザディ名称世界言語大学とオグズ・ハン記念トルクメニスタン工科大学の学生それぞれ5名ずつで、上位5名が中央アジア日本語弁論大会に参加できるようです。

大会の進行としては、Skypeを用いて報告者が発表者との質疑応答などを行い、採点は他の審査員とメールでやりとりをするという形式でしたが、特に大きなトラブルも発生せず無事に大会を終えることができました。今大会の1番の収穫は、何と言ってもオンラインでのやりとりが可能であることを確認できたということです。これまでも大学でのオンライン授業の検討はされてきたようなのですが、具体的な話にまでは進んでいませんでした。これを機に、本格的にオンライン授業への取り組みが進められていくことを期待しています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Dovletmammet Azadi Turkmen National Institute of World Languages/National Institute of Education of Turkmenistan
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
アザディ名称世界言語大学は国内で最初に日本語専攻が開設(2007年)された、唯一の日本語教師養成機関である。同大学での専門家の業務は、日本語専攻カリキュラムの作成と改善の支援、トルクメン人教師の研修(日本語・日本語教授力の向上)、授業担当など多岐に亘る。
トルクメニスタン国民教育大学(研究所)は、教育省管轄の調査・研究機関で、各分野の専門家たちが、教育に関する基礎調査の計画と実施、全国統一カリキュラムや教科書等の作成・改善、現職教師トレーニング等を行っている。専門家の執務室は同研究所内にあり、初中等向け日本語教科書制作や現地教師研修、国内の日本語教育支援の提言などを行っている。
所在地 Bld.47, 2060 street, Ashgabat, Turkmenistan/Magtymguly sayoli str. 136, Ashgabat, Turkmenistan
国際交流基金からの派遣者数 日本語上級専門家:1名
日本語指導助手:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
東洋言語・文学部日本語専攻
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